九州地方の下水道料金動向と課題:1か月20立法メートル料金の現状と展望

下水道料金

九州の下水道料金は都市により大きな差があり、長崎や佐賀は高額、那覇や鹿児島は非常に安価。宮崎では前年比+19.79%と急騰が見られ、今後も更新費や人口減少による料金上昇が予想される。インフラ整備の時期や地形、自治体の運営方針が料金差の背景にある。

1か月20立法メートルの下水道料金相場

2025年5月
降順昇順
都市最新値[円]前年同月比[%]
平均2536+1.934
1長崎3300
2佐賀3168
3宮崎2912+19.79
4大分2791
5福岡2651
6佐世保2461
7熊本2346
8北九州2248
9鹿児島1837
10那覇1641
下水道料金

詳細なデータとグラフ

九州の下水道料金現状と今後

2025年5月時点における9州地方の下水道料金の平均は2,536円で、全国平均の2,572円とほぼ同等の水準です。しかし都市ごとに見ると格差が大きく、最も高い長崎市(3,300円)と、最も安い那覇市(1,641円)では約2倍の開きがあります。地形、人口密度、インフラ整備時期、自治体財政などが料金に大きく影響しています。


高価格帯の都市 ― 長崎・佐賀・宮崎

  • 長崎市(3,300円)は9州で最も高い料金。坂の多い地形と、分散した住宅構造により排水設備の維持管理コストがかさみやすい。また、インフラ更新の影響も受けやすく、高止まりの傾向が見られます。

  • 佐賀市(3,168円)も高水準。人口規模に対して設備維持コストが相対的に高く、利用者数の限界がコスト転嫁を促している可能性があります。

  • 宮崎市(2,912円)は前年比+19.79%と大きな上昇。これは更新投資や整備範囲の拡大など、料金制度改定によるものとみられ、他都市に先行する動きとも言えるでしょう。


中位価格帯の都市 ― 大分・福岡・佐世保

  • 大分市(2,791円)は地域の平均に近い水準で、比較的安定した推移を続けてきました。周辺部への都市化が進んだことで、新規整備区画のコストが料金に反映されていると考えられます。

  • 福岡市(2,651円)は政令指定都市としては抑制された水準。人口密度の高さと効率的な排水インフラが、料金の抑制に寄与しています。

  • 佐世保市(2,461円)も比較的安価な部類に入り、インフラ整備の時期が近代的であることが運用コストを抑えていると推察されます。


低価格帯の都市 ― 熊本・北9州・鹿児島・那覇

  • 熊本市(2,346円)北9州市(2,248円)は地方中核都市として効率的な料金設定が行われており、下水処理施設の統合や広域管理などの取り組みが進められています。

  • 鹿児島市(1,837円)那覇市(1,641円)は9州でも特に低廉で、那覇市は全国でも最安水準です。これは地形条件や簡易的な処理区画が多くを占めること、また自治体による補助制度などが影響している可能性があります。


料金推移と今後の課題

9州全体では、前年比で+1.934%の上昇が見られ、特に宮崎市の急騰は将来の全国的なトレンドを先取りしているとも言えます。1方で、那覇市や鹿児島市などが低水準を維持しており、自治体間での料金差は依然大きいままです。

今後は、老朽化設備の更新や人口減少による負担率の上昇がコスト増加要因として意識され、段階的な料金引き上げが各市で避けられない局面も想定されます。

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