中国・四国地方のにんじん市場価格動向:都市別分析と今後の予測

にんじん

中国・四国地方では2025年6月時点で高松市のにんじん価格が169円/kg、広島市が137円/kgと下落傾向。一方、卸売数量は高松市で+13.87%、広島市で+8.24%と増加。地域特性を活かした流通体制の最適化と、品質向上による価格回復が課題となる。

にんじんの市場価格

2025年6月
降順昇順
市場卸売価格[円/kg]前年同月比[%]
1高松市169-28.89
2広島市137-36.28

市場価格の推移

にんじんの市場価格

中国・四国の卸売数量

2025年6月
降順昇順
市場卸売数量[kt]前年同月比[%]
1広島市0.394+8.242
2高松市0.197+13.87

卸売数量の推移

にんじんの卸売数量

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詳細なデータとグラフ

にんじんの卸売り市場の現状と今後

2025年6月現在、中国・4国地方におけるにんじんの市場価格は以下の通りです:

  • 高松市:169円/kg

  • 広島市:137円/kg

全国平均(171円/kg)と比較すると、高松市はほぼ同水準で推移しており、広島市はかなり安価な水準にあります。しかし前年同月比では、高松市が-28.89%、広島市が-36.28%と、いずれも著しい価格下落が確認されています。これは全国的な豊作や、出荷集中による価格調整圧力の影響を大きく受けていることを示します。


卸売数量の傾向と変化

卸売数量においては以下のような結果が出ています:

  • 広島市:0.394kt(前年比+8.242%)

  • 高松市:0.197kt(前年比+13.87%)

両市場とも数量は前年同月より増加しています。これは、中国・4国地域での出荷体制が強化されたことや、需要の安定によるものと考えられます。特に高松市では前年比で13%以上の増加を示しており、地場農産物の出荷拡大や流通体制の効率化が進んだことが影響していると見られます。


地域別の市場構造と流通の特徴

  • 高松市は、4国4県をつなぐ交通・物流の要衝であり、小規模ながら地域密着型の農産物流通拠点として重要な役割を果たしています。高松市場は県内・近県産の野菜を取り扱い、地産地消志向の強い都市特性を持ちます。

  • 広島市は、中国地方の中核都市であり、他県からの流通も多く集まる広域型市場です。扱う品目の多様性が高く、価格競争が激しいため、にんじん単価は低めに抑えられがちです。

いずれの市場も卸売数量は増加していますが、流通量の拡大が価格に連動しておらず、供給過多のリスクが高まっていることがうかがえます。


価格下落の背景と要因

今回の市場価格下落には、以下のような複合的要因が関与していると推測されます:

  1. 全国的な生産量増加:2025年前半は天候に恵まれ、全国的ににんじんが豊作。

  2. 物流の回復と平準化:輸送網の整備・燃料価格の安定で出荷量が増加。

  3. 需要の鈍化:外食産業の回復が遅れ、家庭消費も価格に敏感な傾向が続く。

  4. 価格調整の遅れ:生産者と市場の調整が追いつかず、価格競争が先行

特に広島市は、流通量の増加にもかかわらず、他品目との競合や業務用需要の縮小が重なり、価格が大幅に下落しています。


生産地の構造とにんじん農業の展望

中国・4国地方では、香川県(高松市周辺)や広島県の1部地域でにんじんの生産が行われていますが、いずれも大規模栽培ではなく中小規模の農家が中心です。近年では、

  • 香川県では機械化導入や新規就農支援による生産拡大、

  • 広島県では直販ルートやJAの選果強化

といった取り組みが見られ、安定供給の体制が徐々に整いつつあります。

今後は、天候リスクに強い品種の導入や、契約栽培による出荷量の安定化が求められます。量より質に転換していく姿勢が、価格下落からの脱却の鍵となるでしょう。


まとめと今後の展望

中国・4国地方のにんじん市場は、卸売数量の増加と価格下落が同時進行しているという難しい局面にあります。高松市では流通量の拡大に加え、地場流通の強化が進みつつある1方で、広島市では価格競争の激化と需要の鈍化が顕著です。

今後は、需給のバランス調整、品質志向の強化、契約出荷の普及などを通じて、市場の安定と生産者の収益確保を両立させる施策が求められるでしょう。

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