2025年6月、近畿のにんじん価格は神戸市159.3円/kg、大阪市149.7円/kg、京都市143.3円/kgで全国平均を下回る。神戸市のみ卸売数量が前年より53%増加し他都市と対照的。価格は全国的供給増の影響で大きく下落。地域ごとの流通特性が差を生んでいる。
にんじんの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 神戸市 | 159.3 | -33.8 |
2 | 大阪市 | 149.7 | -32.68 |
3 | 京都市 | 143.3 | -34.25 |
市場価格の推移

近畿の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 大阪市 | 2.183 | -2.458 |
2 | 京都市 | 0.598 | -2.922 |
3 | 神戸市 | 0.331 | +53.24 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
にんじんの卸売り市場の現状と今後
2025年6月時点での近畿地方のにんじん市場価格は以下の通りです:
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神戸市:159.3円/kg
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大阪市:149.7円/kg
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京都市:143.3円/kg
これらは全国平均(171円/kg)を下回る水準で、価格としては比較的安価な傾向にあります。特に京都市は、近畿内で最も低い価格水準となっています。
ただし、前年同月比で見ると、神戸市は-33.8%、大阪市は-32.68%、京都市は-34.25%と、いずれの都市も3割以上の急落が見られます。これは全国的なにんじんの供給増加による価格調整圧力や、地域特有の需要変動が影響していると考えられます。
卸売数量の動向と地域間比較
近畿地方のにんじん卸売数量の最新データは以下の通りです:
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大阪市:2.183kt
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京都市:0.598kt
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神戸市:0.331kt
大阪市は全国的にも有数の取扱量を誇り、近畿地方における最大の流通拠点として機能しています。1方で京都市や神戸市は規模としては小さいものの、地域のニーズに即した選別された供給網が展開されています。
変動率を見ると、
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神戸市:+53.24%(大幅増加)
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大阪市:-2.458%
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京都市:-2.922%
と、神戸市の急増が目立ちます。これは前年の出荷控えに対する反動や、生産地からの供給シフトが神戸市場に向かった可能性が考えられます。また、神戸市の価格は近畿内で最も高いことからも、品質重視の流通が再評価されていることがうかがえます。
都市別の流通構造と市場の特徴
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大阪市は、京阪神地域全体をカバーする広域中央市場として、他府県のにんじんも多く集約される大動脈的市場です。量は多いものの、価格競争が激しくなりやすいため、単価はやや低めで推移します。
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京都市は、地元消費と外食産業を中心に展開される市場で、品目数は限定的ながら安定した流通を担っています。価格は近畿内で最も低いですが、地元農産物との競合も要因と見られます。
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神戸市は、神戸港を通じた他県からの青果物流が強く、近年は質の高い青果物の供給先として注目され、数量が増加傾向にあります。価格も他の近畿市場より高く、都市型高級流通の1端を担っているといえます。
価格変動の要因と地域特性
2025年6月に見られる価格の大幅な下落の背景には、以下のような要因があります:
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全国的な豊作による供給過多
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気候条件の安定により出荷時期が集中
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物流コストの見直しで流通範囲が拡大し、競合が激化
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1部で業務用需要の落ち込み(外食・給食業界の抑制)
特に近畿地方は、大消費地に囲まれながらも地元産との競合が激しく、需要の読み違いが価格の急落に直結しやすい構造です。
生産動向と今後の展望
近畿地方においては、奈良・滋賀・和歌山などでにんじんの栽培が行われていますが、平坦地の少なさや住宅地の広がりから、大規模栽培には限界があります。結果として、他府県からの輸入的な流通に依存する比率が高くなっています。
また、京都や神戸では地場ブランド農産物(京野菜・神戸野菜)とのバランスを取りつつ、輸送品との価格調整が課題となります。今後は、需要予測の精緻化と、契約栽培や直販の拡大が市場安定化の鍵を握るといえるでしょう。
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