全国のにんじん市場価格の動向と地域別特色分析

にんじん

2025年6月時点で、全国のにんじん市場価格は平均171円/kgで前年より24%下落。横浜市が最も高く、大阪市が最も低価格。卸売数量では東京都が最多ながら減少傾向。一方、神戸市や横浜市は取引量増加。気候や物流、需給調整が価格変動の要因であり、安定供給が今後の課題。

にんじんの市場価格

2025年6月
降順昇順
市場卸売価格[円/kg]主要比前年同月比[%]
主要市場171100-24.11
1横浜市200.7117.4-14.12
2名古屋市195114-23.03
3札幌市192112.3-17.12
4金沢市190.7111.5-17.1
5東京都183.3107.2-18.76
6仙台市182.3106.6-19.32
7沖縄県173.7101.6-35.28
8高松市16998.83-28.89
9神戸市159.393.18-33.8
10大阪市149.787.53-32.68
11北九州市146.385.57-28.39
12京都市143.383.82-34.25
13広島市13780.12-36.28
14福岡市125.373.29-35.62

市場価格の推移

にんじんの市場価格

全国の卸売数量

2025年6月
降順昇順
市場卸売数量[kt]主要比前年同月比[%]
主要市場13.03100-5.512
1東京都4.2632.7-16.49
2大阪市2.18316.76-2.458
3名古屋市1.30510.02-6.25
4福岡市1.017.753+3.484
5横浜市0.987.522+10.61
6京都市0.5984.59-2.922
7札幌市0.5924.544+2.957
8仙台市0.4653.569-8.824
9広島市0.3943.024+8.242
10神戸市0.3312.541+53.24
11北九州市0.3162.426-19.59
12金沢市0.2922.241+13.18
13高松市0.1971.512+13.87
14沖縄県0.1050.806+15.38

卸売数量の推移

にんじんの卸売数量

カテゴリー

詳細なデータとグラフ

にんじんの卸売り市場の現状と今後

にんじんの市場価格は、長期的には季節変動や気候条件、流通コストの影響を受けながら変動を続けています。2025年6月時点での全国の主要市場における平均価格は171円/kgです。この価格は前年同月比で-24.11%の下落であり、大幅な値下がりとなっています。

都市別で見ると、横浜市が最も高い200.7円/kgを記録し、以下、名古屋市(195円)、札幌市(192円)、金沢市(190.7円)と続きます。1方、大阪市は最も低く149.7円/kgにとどまり、価格差は都市間で50円以上と地域差が顕著です。

いずれの都市も前年と比較して価格は軒並み下落しており、特に沖縄県(-35.28%)や神戸市(-33.8%)の落ち込みが大きく、1部では価格の急変に対する需給の不均衡が発生していることが示唆されます。


卸売数量の推移と都市別の特色

卸売数量に関しては、主要市場全体で13.03kt(キロトン)の取引量があり、東京都が4.26ktで最も多く、次いで大阪市(2.183kt)、名古屋市(1.305kt)となっています。これは、大都市圏での消費量の多さを反映したものです。

注目すべきは、数量の変化において、横浜市(+10.61%)や神戸市(+53.24%)が前年同月比で大きな伸びを示していることです。特に神戸市は、前年が極端に低水準だった反動もありますが、それでも半数以上の増加は特筆に値します。1方で、東京都(-16.49%)や仙台市(-8.824%)は減少傾向にあります。

数量の減少は、天候不順や流通経路の制約、あるいは生産地からの出荷調整の影響も考えられます。


価格と数量の関係性

価格と数量は基本的に需給バランスによって相関が見られますが、今回のデータでは価格が下落しながらも数量が増加している地域(横浜、札幌、神戸など)もあり、単純な法則には当てはまりません。これは1部地域での過剰供給または在庫の影響、もしくは需要の1時的な増加に伴う価格調整が考えられます。

また、横浜市のように高価格を維持しつつ数量も増加している都市はまれであり、これは市場の競争力の高さや安定した需要層の存在を示唆しています。


価格高騰や下落の要因

にんじんの価格が大きく変動する要因には以下が挙げられます:

  • 天候不順:猛暑、干ばつ、大雨による作柄の悪化。

  • 物流コストの上昇:燃料費や人件費の増加。

  • 生産地の高齢化・担い手不足:出荷量の変動に直結。

  • 需給調整の失敗:1部生産地が出荷を増やしすぎることで市場が供給過多に。

2025年6月の価格下落は、1部地域での出荷増加や在庫調整による影響が強いと推測され、季節的な要因と合わせて相場が大きく崩れた結果と考えられます。


にんじん生産の動向と構造的課題

日本国内におけるにんじんの主要生産地は北海道、千葉県、徳島県などであり、とくに北海道は夏場の安定供給源です。しかし近年は高齢化や若手の就農者不足により生産体制が脆弱化しています。

また、台風や異常気象の頻発によるリスク回避のため、契約栽培や輸入品への依存も増えており、国内市場では安定供給と価格維持の両立が困難になりつつあります。

近年はドリップ農法やハウス栽培の導入も進んでいますが、コスト面や技術面での普及には限界があり、特に中小農家には負担となっています。


まとめと今後の展望

にんじん市場は現在、大きな価格下落と1部数量増加という2極化の様相を呈しています。これは需給のミスマッチや気候条件の不安定さ、さらには物流や生産体制の変化など、複合的な要因によるものです。

今後の課題は、安定供給体制の確立、若手農業従事者の育成、地域間の流通最適化であり、特に価格と数量の均衡を保つ仕組み作りが求められます。都市ごとの特性を生かしつつ、広域的な生産・販売の調整がカギとなるでしょう。

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