日本の主要市場における野菜価格は平均264.3円/kgで、近年は価格上昇と卸売数量の減少が進行中。金沢や東京など高値都市では観光需要やブランド野菜の流通が影響している。一方で卸売数量では東京が圧倒的に多く、大都市が流通の中心。価格上昇は気候変動や流通コストの高騰が主因。今後はスマート農業の導入や若手農業者支援が安定供給の鍵となる。
野菜全体の市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 主要比 | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|---|
主要市場 | 264.3 | 100 | +1.404 | |
1 | 金沢市 | 308.7 | 116.8 | -2.422 |
2 | 東京都 | 283.3 | 107.2 | +2.779 |
3 | 北九州市 | 272 | 102.9 | +3.686 |
4 | 京都市 | 269.7 | 102 | +1.38 |
5 | 仙台市 | 267.7 | 101.3 | +4.969 |
6 | 横浜市 | 266.3 | 100.8 | +1.653 |
7 | 神戸市 | 262 | 99.12 | +7.819 |
8 | 札幌市 | 262 | 99.12 | +1.03 |
9 | 広島市 | 261.7 | 98.99 | +0.515 |
10 | 大阪市 | 257 | 97.23 | +0.261 |
11 | 名古屋市 | 256.7 | 97.1 | -0.516 |
12 | 高松市 | 252.3 | 95.46 | -3.073 |
13 | 沖縄県 | 227.3 | 86 | -8.948 |
14 | 福岡市 | 199.7 | 75.54 | +0.337 |
市場価格の推移

全国の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 主要比 | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|---|
主要市場 | 252.9 | 100 | -6.341 | |
1 | 東京都 | 89.48 | 35.39 | -10.7 |
2 | 大阪市 | 33.34 | 13.19 | -5.41 |
3 | 名古屋市 | 28.06 | 11.1 | -3.464 |
4 | 横浜市 | 21.91 | 8.666 | +1.864 |
5 | 福岡市 | 21.45 | 8.482 | -5.005 |
6 | 京都市 | 13.94 | 5.512 | -6.613 |
7 | 札幌市 | 12.38 | 4.895 | +3.124 |
8 | 広島市 | 6.291 | 2.488 | -4.711 |
9 | 仙台市 | 6.281 | 2.484 | -11.86 |
10 | 北九州市 | 5.724 | 2.264 | -3.669 |
11 | 神戸市 | 4.413 | 1.745 | -17.05 |
12 | 高松市 | 3.539 | 1.4 | +9.195 |
13 | 金沢市 | 3.403 | 1.346 | -3.843 |
14 | 沖縄県 | 2.632 | 1.041 | -0.717 |
卸売数量の推移

カテゴリー
詳細なデータとグラフ
野菜全体の卸売り市場の現状と今後
日本の主要市場における野菜全体の価格と卸売数量は、長期的な気象変動、輸送コスト、消費者ニーズ、生産地の高齢化など複合的要因によって変動している。2025年6月時点の全国平均価格は264.3円/kg、卸売数量は252.9千トン(kt)であり、全体的には価格上昇・数量減少の傾向が見られる。
都市別の価格ランキングとその背景
価格の高い順で見ると、金沢市(308.7円/kg)が全国トップ。以下、東京都(283.3円/kg)、北9州市(272円/kg)などが続く。これらの都市の特徴には以下のような点がある:
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金沢市:流通量が少ない上に高品質な地場野菜が中心。近年は観光地としての需要増加も価格を押し上げている。
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東京都:取扱量が多く、多品種・高品質な野菜が集まり、平均単価が高くなる傾向。
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北9州市・京都市:西日本産の野菜流通の中心として機能しており、ブランド産地野菜の比率が高い。
1方で、大阪市(257円/kg)や広島市(261.7円/kg)は相対的に低めで、価格の地域差は輸送費、地元消費ニーズ、ブランド野菜の割合などが影響している。
卸売数量ランキングと流通構造
卸売数量では、東京都(89.48kt)が圧倒的に多く、次いで大阪市(33.34kt)、名古屋市(28.06kt)と続く。これらの都市は、
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巨大消費地であること
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複数の地方市場から集荷する集散地機能を持つこと
が背景にある。また、地方の市場(仙台、北9州など)は数量が比較的少ないが、それでも1定の流通を維持しており、地産地消の役割が大きい。
価格・数量の前年同月比推移から見える傾向
2024年6月から2025年6月にかけての推移を見ると、
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価格上昇:全体で+1.404%。特に神戸市(+7.819%)や仙台市(+4.969%)などが大きな伸びを見せた。
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数量減少:全国的に-6.341%。特に仙台市(-11.86%)、東京都(-10.7%)などで顕著。
これは主に、以下の要因によると考えられる:
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気候異常(猛暑・豪雨など)による生産量の低下
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燃料費・人件費などのコスト増による流通制約
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生産者の高齢化や農業従事者不足による供給減少
価格高騰の主因とその地域別影響
価格高騰の要因は大きく4つに分類できる:
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天候不順:特に2024年からの猛暑は、葉物野菜の収穫減を招き、価格を押し上げた。
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物流コストの増加:燃料代や人手不足が配送コストを高騰させ、末端価格に反映。
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需要の集中:大都市での外食・惣菜需要が再び活発化し、需給バランスが崩れた。
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地域ブランドの強化:1部の都市ではブランド野菜への需要が高まり、高値で取引される傾向。
今後の野菜流通と価格の展望
卸売数量が減少し続ける中で、持続可能な供給体制の構築が喫緊の課題である。国や自治体によるスマート農業導入支援、若手農業者の育成、地域間連携物流網の構築などが求められる。
また、価格の安定化に向けては「契約栽培」や「産地指定買付」などの制度化も重要。消費者側でも「旬を選ぶ」「地元産を選ぶ」などの行動が安定的な供給と価格維持につながる。
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