自動車教習料の月間支出は全国平均で約8.17万円だが、地域間で大きな差が見られる。特に北陸や北海道、近畿での急騰が目立つ一方、小都市Bなどでは支出額・利用率共に大幅減少している。教習を受けた世帯の割合は全国平均で0.413%と非常に低く、しかも前年同月比で15%以上の減少。少子化、若者の車離れ、経済的負担増などが背景にある。今後は、需要低下に伴う価格競争や業界再編、オンライン教習やEV対応教習などの変化が進む可能性がある。
家計調査結果
自動車教習料の相場
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 北陸 | 北海道 | 近畿 | 九州・沖縄 | 大都市 | 小都市A | 全国 | 中都市 | 関東 | 小都市B |
最新値[万円] | 8.172 | 15.32 | 15.05 | 15 | 11.79 | 11.16 | 9.22 | 9.048 | 8.428 | 8.175 | 4.204 |
前年同月比[%] | -0.0762 | +2027 | +26.98 | +78.77 | +59.11 | +3.505 | +113.1 | +11.52 | -4.458 | +4.457 | -48.19 |
自動車教習料支出の世帯割合
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 小都市A | 北陸 | 関東 | 大都市 | 四国 | 近畿 | 全国 | 九州・沖縄 | 東海 | 北海道 |
最新値[%] | 0.413 | 0.58 | 0.55 | 0.5 | 0.44 | 0.44 | 0.43 | 0.43 | 0.42 | 0.36 | 0.36 |
前年同月比[%] | -15.62 | +11.54 | +22.22 | +6.383 | +18.92 | -12 | -28.33 | -12.24 | -19.23 | -20 | -29.41 |
自動車教習料の推移


詳細なデータとグラフ
自動車教習料の自動車関連現状と今後
2025年4月時点での自動車教習料の全国平均支出は8.172万円ですが、地域別にみるとその金額には著しい開きがあります。北陸(15.32万円)、北海道(15.05万円)、近畿(15万円)などでは平均を大きく上回る1方、小都市Bでは4.204万円と半分以下の水準です。このような差は、教習所の数・運営形態・人件費・需要の地域偏差など、複数の要因が絡み合っています。
とくに北陸の+2027%という異常な増加率は、前月・前年の数値が極端に低かった反動とみられますが、その他の地域でも軒並み上昇傾向が確認できます。
支出世帯割合の低下とその意味
自動車教習料を実際に支出した世帯の割合は平均で0.413%、これは非常に低い数字です。さらに、前年同月比では全国平均で-15.62%の減少。東北や中都市では-39%超となっており、減少傾向が顕著です。
これは単なる季節要因ではなく、構造的な需要減が背景にあります。たとえば、若年人口の減少、都市部での車不要生活の定着、コストの高さによる取得控えなどです。
価格上昇の背景と影響
教習料が高騰している地域では、インストラクターの人件費、燃料費(ガソリンや電気)、保険料などの運営コストの上昇が影響しています。また、地方では教習所の統廃合や閉鎖が進み、需給のバランスが崩れて価格が上昇しやすくなっている面もあります。
加えて、EV教習車の導入など、新たな設備投資が教習料に転嫁されている可能性もあります。
今後の見通しと課題
自動車教習にかかるコストと世帯の経済的負担のギャップが拡大しており、今後も利用者数の減少が続く可能性があります。特に若者の車離れと少子化は1時的なものではなく、構造的変化です。
教習所側は以下のような方向性を模索せざるを得ないでしょう:
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オンライン学科教習の拡充
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EVや自動運転車向け教習の導入
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合宿免許の強化による効率化
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外国人向け教習の開拓
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地方自治体との連携による補助制度の構築
こうした施策がなければ、特に地方の教習所は経営的に厳しくなると予想されます。
政策的な支援の必要性
国や自治体による教習費補助は1部で実施されていますが、全国的には十分とは言えません。免許取得を若者支援政策の1環として位置付ける必要があります。自動車免許は就職や移動手段として不可欠なものであるため、交通政策や雇用政策との連携が望まれます。
また、将来的には免許制度そのものの見直し(たとえば自動運転車時代の教習内容の再構築)も検討課題となるでしょう。
まとめ
現在の自動車教習料は地域ごとに格差が大きく、支出する世帯の割合も減少しています。これは、経済的な問題と社会的な変化が複合的に作用しているためであり、教習所業界の再編、制度改革、若者支援策の強化が求められます。自動車教習が将来にわたって持続可能な形で提供されるためには、柔軟かつ抜本的な変化が不可欠です。
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