日本の新車購入支出の地域差と今後の動向:世帯支出データから読み解く

家電・車

日本の世帯支出における新車購入は、長期的に見ると地域ごとの差が大きく、中都市や関東で特に高額支出が目立つ。最近は価格の高止まりに加え、購入世帯の割合はわずか0.481%と非常に低水準にとどまる。背景には物価高や維持費の上昇、車離れの傾向があり、地方では依然として需要は高いが、都市部では停滞傾向も見られる。今後は電動化やカーシェア普及の影響を受け、支出構造の変化が予想される。

家計調査結果

新車の相場

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 中都市 関東 北陸 東海 大都市 近畿 北海道 全国 小都市A 中国
最新値[万円] 271.9 325.5 319.1 303 301.2 300 296.2 295.9 291.1 277.1 262.9
前年同月比[%] -3.464 +26.03 +5.771 +6.788 -2.303 -10.66 +2.684 -4.838 +0.557 -5.521 +8.648

新車支出の世帯割合

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 北陸 東海 四国 東北 小都市B 中都市 関東 中国 全国 小都市A
最新値[%] 0.481 0.77 0.66 0.65 0.6 0.54 0.53 0.47 0.47 0.46 0.44
前年同月比[%] +3.858 +45.28 +13.79 +51.16 +17.65 +20 +1.923 +27.03 -14.55 +2.222 -8.333

新車の推移

新車の支出額
支出世帯の割合

詳細なデータとグラフ

新車の自動車関連現状と今後

日本における新車の購入は、世帯支出の中でも最も高額な項目の1つです。しかしながら、その支出額や購入頻度は世帯の経済状況、地域性、ライフスタイルの変化などに大きく左右されてきました。本稿では、2010年から2025年4月までのデータをもとに、新車購入に関する月間支出の動向や問題点、今後の展望について解説します。


地域別の支出水準と傾向

中都市・関東:高水準な支出

最新のデータでは、中都市(325.5万円)、関東(319.1万円)が最も高く、新車への支出意欲が強い地域です。所得水準が比較的高く、家族構成や生活ニーズによって購入される車のグレードも高いと考えられます。

北陸・東海・大都市:やや高めで安定

北陸(303万円)、東海(301.2万円)、大都市(300万円)と続き、地方でも都市部でも1定水準の需要があります。特に北陸や東海では、公共交通が弱いため1家に複数台の保有が1般的で、支出額も安定して高い傾向があります。

中国・小都市A:やや低調だが堅調

中国(262.9万円)や小都市A(277.1万円)は平均よりやや下ですが、前年同月比では中国で+8.648%と回復の兆しも見られます。


世帯あたりの購入率とその意味

新車を購入した世帯の割合は全国平均でわずか0.481%に過ぎず、特に9州・沖縄(0.19%)や北海道(0.20%)では顕著な落ち込みが見られます。これは、新車購入が「1時的かつ高額な支出」であり、毎月の支出としては例外的であることを意味します。加えて、経済的不安や中古車志向、カーシェアリングの普及が影響していると考えられます。


年度ごとの増減から見える動き

  • 前年比増加:関東(+5.771%)、北陸(+6.788%)、中都市(+26.03%)→ 収入安定層の購入が増加傾向。

  • 前年比減少:大都市(-10.66%)、北海道(-4.838%)、小都市A(-5.521%)→ 価格高騰や経済的な様子見による買い控えが疑われる。

支出額が下がっている1方で、購入世帯割合は微増傾向(全国平均+3.858%)である点は興味深いです。少数だが購入意欲のある層が支出を抑えながら車を買っている可能性があり、軽自動車やエコカーへのシフトが起きていると推測できます。


新車購入を巡る課題と背景

価格の上昇

円安や原材料費の高騰によって、新車価格は近年上昇傾向にあります。エントリーモデルでさえ200万円を超える時代に突入し、購入のハードルが高くなっています。

② 維持費の負担

保険料や税金、車検費用など、車両取得後のコストも大きな負担です。特に若年層はその負担を敬遠しがちです。

③ 車離れと都市部の交通事情

都市部では電車やバスなどの公共交通網が整っており、車の必要性が低下しています。そのため、新車購入の支出が低調にとどまる地域も増えています。


今後の展望と期待

電動車・EVへの移行

政府の方針もあり、今後は電気自動車(EV)やハイブリッド車への移行が加速するでしょう。それに伴い、購入価格が1時的に上昇するものの、環境配慮や燃費効率の観点から支出意欲が変わってくる可能性があります。

中古車とカーリースの伸長

新車の代替として、中古車やサブスクリプション型のカーリースも注目されており、これらが新車支出を圧迫する要因となるかもしれません。

地方需要の底堅さ

1方で、地方では依然として車は「生活の足」であり、1定の需要は堅調に推移する見通しです。今後も地域差が続く可能性が高いです。


おわりに

新車購入にかかる月間支出は、依然として世帯支出の中でも突出した金額であり、その動向は社会経済の影響を大きく受けます。地域ごとの違いや家計の構造変化を丁寧に見ていくことで、今後の自動車市場や支出トレンドを読み解くヒントが得られるでしょう。

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