航空運賃の月間支出は平均6.265万円。東海や小都市Aで高水準だが、全国的には前年比減少。利用世帯割合は約2%と限定的で、物価高や遠距離旅行の抑制が影響している。今後は燃油費、為替、観光施策の影響が支出動向を左右する見通しだ。
家計調査結果
航空運賃の相場
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 東海 | 小都市A | 関東 | 全国 | 東北 | 北海道 | 大都市 | 近畿 | 中都市 | 四国 |
最新値[万円] | 6.265 | 10.76 | 8.566 | 6.791 | 6.409 | 6.209 | 6.134 | 6.113 | 5.943 | 5.881 | 5.865 |
前年同月比[%] | -14.69 | -23.59 | +19.97 | -11.59 | -16.42 | +5.745 | +44.13 | -24.74 | -41.01 | -23.13 | -24.4 |
航空運賃支出の世帯割合
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 北海道 | 四国 | 大都市 | 九州・沖縄 | 関東 | 全国 | 中都市 | 近畿 | 小都市A | 中国 |
最新値[%] | 1.902 | 4.64 | 2.92 | 2.51 | 2.28 | 2.06 | 1.86 | 1.7 | 1.6 | 1.49 | 1.43 |
前年同月比[%] | +5.717 | +35.67 | +82.5 | -7.037 | -20.56 | -9.251 | -5.102 | -15.84 | -23.44 | +13.74 | +43 |
航空運賃の推移


詳細なデータとグラフ
航空運賃の旅行関係費現状と今後
航空運賃は旅行関係費の中でも比較的高額かつ利用者が限定される支出項目であり、国内・国際の長距離移動に伴う費用を示す。月額ベースでの支出は、旅行回数や行き先の遠さ、利用者の所得水準によって大きく左右され、特にビジネス層や帰省、観光目的の遠距離移動に強く関係している。
2010年以降の航空運賃支出の推移
2010年代前半はLCCの台頭や訪日外国人増加に伴い航空業界が活性化。2015年以降、インバウンド需要と国内旅行の回復により支出は上昇傾向にあった。しかし、2020年のコロナ禍では移動自粛や国際便停止により急減。以降、2022年~2023年には回復し、2025年4月の最新の月間支出平均は6.265万円と、全体的には持ち直しの傾向が見られる。
地域別の航空運賃支出状況
航空運賃支出が最も高いのは東海(10.76万円)で、次いで小都市A(8.566万円)、関東(6.791万円)と続く。1方で、4国(5.865万円)・中都市(5.881万円)・近畿(5.943万円)と比較的低い地域もある。
東海が突出して高い理由としては、中部国際空港の利用やハワイ・東南アジア方面への直行便需要、ビジネス客の多さが影響していると考えられる。小都市Aも意外な高水準であり、特定地域からの航空依存度の高さや、価格の高い航空路線の利用が想定される。
前年比の支出増減と地域ごとの変動要因
最新データでは、全国平均が-14.69%減少しており、回復傾向にあった航空支出が再び落ち込んでいる。この背景には、
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燃油サーチャージの高止まり
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為替の円安による国際便の割高感
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国内旅行需要の頭打ちなどが挙げられる。
特に近畿(-41.01%)・大都市(-24.74%)・中都市(-23.13%)は大幅減少。ビジネス移動のオンライン化継続、旅行の地元回帰などが影響している可能性がある。
1方で、北海道(+44.13%)・小都市A(+19.97%)・東北(+5.745%)は増加しており、観光復興や遠方旅行のリバウンド消費が見られる。
航空運賃を支出した世帯割合の実態
全体の支出者割合は平均1.902%と極めて低く、宿泊費(約7.3%)と比べても1部層の支出にとどまる。関東(2.06%)・全国(1.86%)が平均を上回るが、北陸(0.82%)・東海(0.98%)・東北(0.99%)などでは1%を下回っている。
航空運賃支出割合が少ないのは、
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高価格で手が出しにくい
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鉄道や車による移動で代替される
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遠距離移動の必要が少ないといった要因が影響している。
また、支出額は増えても利用者割合が減っている地域(例:近畿、関東)があり、高価格化により旅行が選別的になっている兆候が表れている。
今後の航空運賃支出の展望と課題
期待される要素
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国内観光需要の再刺激:地方空港利用促進や補助制度により航空移動が促進される可能性。
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国際線の本格回復:ビジネス・レジャー両面で海外旅行が戻れば、航空運賃支出は再上昇が見込まれる。
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地方創生の推進:航空移動が不可欠な地方との往来が政策的に支援されれば、航空利用は堅調に推移する。
懸念される課題
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価格高騰と利用率低下の2重苦:LCCの値上げや正規運賃の高止まりで、航空利用が敬遠される。
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エネルギー価格・為替の不安定性:燃油価格や円安が続けば、家計への圧迫要因となる。
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高齢化による移動控え:高齢世帯の移動手段として航空機は敬遠されやすく、今後の利用拡大に限界もある。
まとめ
航空運賃支出は依然として1部の高所得・移動志向層に偏っており、地域・層ごとの差が大きい支出項目である。近年の物価高や経済不透明感は家計にとって航空移動を「ぜいたく」と位置づけさせつつある。1方で、観光再生やビジネス往来の復調によって再び上昇する余地もあり、価格と利便性のバランスをどう取るかが今後の鍵となる。
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