補習教育費の地域差と支出傾向を徹底解説｜教育格差の今と未来

日本の補習教育費は平均4.142万円で、北陸（5.385万円）や東北（5.254万円）が最も高く、九州・沖縄（3.774万円）が最も低い。支出額は北陸が78.91%増と急増する一方、近畿や九州では大幅減も見られる。支出世帯割合は全国平均7.626%で、北陸・近畿は高水準だが、多くの地域で前年より減少。補習教育は教育格差の一因となっており、今後は公的支援や地域格差是正が求められる。

補習教育費とは、学校外での学習支援や学力強化のためにかかる費用を指し、主に学習塾、家庭教師、通信教育などに使われる費用です。義務教育の補完や進学対策として広く利用され、都市部ではほぼ当然の支出項目となっています。

公教育に対する不安や、受験競争の激化が背景にあり、家庭の所得や地域によって支出の格差が拡大しています。

地域別の支出額の特徴と傾向

2025年4月時点での補習教育費の全国平均は4.142万円ですが、北陸（5.385万円）・東北（5.254万円）・関東（5.115万円）などでは全国平均を大きく上回っています。1方、9州・沖縄（3.774万円）は最も低く、地域によって教育支出の差が明確に現れています。

注目すべきは北陸の+78.91%増、東北の+33.57%増という急増傾向です。これには中学・高校受験への関心の高まりや、都市部に倣った塾文化の拡大が関係していると考えられます。

逆に、近畿（-18.34%）や9州・沖縄（-19.57%）では減少が顕著で、少子化の影響や家庭の教育投資意欲の低下が影を落としている可能性があります。

補習教育を支出した世帯の割合の変動

補習教育に費用をかけた世帯の割合は、全国平均で7.626%です。地域別では、近畿（8.89%）、北陸（8.65%）が高く、4国（5.89%）、小都市B（5.32%）などが低い水準にあります。

しかし、前年同月比では平均-9.363%と大きく減少しており、特に4国（-34.77%）や東北（-19.62%）、中国（-22.01%）などの減少幅が目立ちます。これにより、家庭の経済的な余裕や教育熱の差が、支出行動に直結していることが伺えます。

なお、北陸では+15.18%、9州・沖縄でも+3.338%と支出世帯が増加している地域もあり、局地的な教育熱の再燃も確認できます。

これまでの動向と補習教育の意義と問題

2010年以降、補習教育費は長期的に見れば緩やかな増加傾向にあります。少子化にもかかわらず、子ども1人あたりへの教育投資が高まり、特に中学・高校受験においては、塾や予備校が不可欠な存在になっています。

しかし、この流れには大きな課題もあります。第1に、家庭の経済格差が学力格差に直結するという点です。補習教育へのアクセスが家庭の所得に依存しており、地域間・階層間の教育機会の不平等が深刻化しています。

第2に、子どもの負担の増大です。過剰な補習によって自由時間が奪われ、心理的ストレスや健康問題の要因ともなりえます。

今後の補習教育費の見通しと期待される政策

今後の補習教育費は、地域や家庭の教育観に応じて2極化が進むと考えられます。教育に投資する家庭はますます増額し、1方で費用対効果を重視する層は、無料のオンライン教材や公立校支援に頼る方向へシフトするでしょう。

これに対応するためには、以下のような公的支援や政策の強化が求められます：

• 地域教育格差を埋める補助金制度の導入

• 低所得世帯向けの塾代助成や所得連動型教育クーポンの導入

• 公立学校での補習教育の拡充（放課後学習支援等）

• 地方自治体と連携した地域学習支援センターの設置

これらの取り組みが広がれば、補習教育費の高騰による教育格差を1定程度抑制できるでしょう。

まとめ：教育投資と格差のバランスを見極める時代へ

補習教育費は、家庭が子どもの将来を見据えた投資を行う中核的支出の1つです。しかし、それが過度に家計を圧迫し、格差の拡大を助長するのであれば、持続可能とは言えません。

今後は「誰もが必要な補習教育を受けられる」社会を目指し、家庭の負担軽減と公的支援の充実のバランスが求められます。教育の質と公平性の両立こそが、未来の日本を支える礎となるでしょう。