2025年の世界インフレ率は4.048%と鈍化傾向にあるが、ベネズエラやスーダンなど一部の国では依然として極端なインフレが続いている。CPI変化率は経済の信頼性を映す重要な指標であり、今後は金融政策の安定性と通貨の信認回復が鍵となる。
世界経済のデータとグラフ
消費者物価指数(変化率)、国別今年の予想
2025年 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 世界 | ベネズエラ | スーダン | イラン | ブルンジ | ミャンマー | トルコ | イエメン | ナイジェリア | ハイチ | ジンバブエ |
最新値[%] | 4.048 | 254.4 | 75.57 | 45 | 36.34 | 33 | 31.04 | 31 | 30.03 | 29.67 | 26.13 |
前年比[%] | -18.01 | +439.2 | -49.99 | +17.8 | -0.0523 | +17.86 | -30.07 | +246.9 | -13.7 | +6.444 | -96.2 |
消費者物価指数(変化率)の推移


詳細なデータとグラフ
消費者物価指数(変化率)の現状と今後
「CPI変化率」とは、消費者物価指数(Consumer Price Index)の前年比の上昇率を指します。これは1般に「インフレ率」として知られ、以下のような役割があります:
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家計の購買力の変化を測る指標
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金融政策(金利)や賃金調整の基準
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経済の過熱または停滞を可視化
たとえばCPI変化率が30%であれば、前年に比べて物価が30%上昇したことを意味します。
2025年のCPI変化率 ― 世界のインフレ傾向
IMFによる2025年の世界の予測値は4.048%。これは前年より18.01%低下しており、世界全体ではインフレ圧力がやや緩和している傾向が読み取れます。
しかし、1部の国では依然として深刻なインフレが続いています。以下に、CPI変化率の上位10カ国を示します:
国名 | 変化率(2025年) | 前年比増減幅 |
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ベネズエラ | 254.4% | +439.2% |
スーダン | 75.57% | -49.99% |
イラン | 45% | +17.8% |
ブルンジ | 36.34% | -0.0523% |
ミャンマー | 33% | +17.86% |
トルコ | 31.04% | -30.07% |
イエメン | 31% | +246.9% |
ナイジェリア | 30.03% | -13.7% |
ハイチ | 29.67% | +6.444% |
ジンバブエ | 26.13% | -96.2% |
なぜCPI変化率が極端になるのか?
インフレが急上昇する原因は多岐にわたりますが、主な要因は次の通りです:
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貨幣の過剰供給:政府が財政赤字を補うために通貨を発行
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供給制約:戦争、災害、経済封鎖などで物流が停止
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通貨下落と輸入物価の上昇:為替の下落によって輸入品が高騰
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政治不安と中央銀行の信認失墜:政策の予見可能性がなくなり、インフレ予想が悪化
各国の高インフレの構造分析
ベネズエラ(254.4%、前年比+439.2%)
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異常な貨幣供給と原油依存経済の破綻
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2024年は物価が1時的に抑制されたが、再び急上昇
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インフレ率上昇は、深刻なスタグフレーションを意味
スーダン(75.57%、前年比-49.99%)
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インフレ率は大きく減少したが、依然高水準
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軍政と内戦による物資不足と価格不安定
イラン(45%、+17.8%)・ミャンマー(33%、+17.86%)
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経済制裁や政情不安が引き金
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通貨価値の下落がCPIを押し上げる典型的なパターン
トルコ(31.04%、-30.07%)
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政策金利の転換とエルドアン政権の介入により2024年より低下
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しかし依然として高インフレ水準
イエメン(31%、+246.9%)
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内戦の影響で食料・燃料の輸入依存が悪化
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国際支援が届かず、通貨の価値が実質消滅
前年比変化幅から見た「急変国」の実態
特筆すべきは前年比のインフレ変化率(ΔCPI)です。
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最も悪化:ベネズエラ(+439.2%)・イエメン(+246.9%)
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最も改善:ジンバブエ(-96.2%)・トルコ(-30.07%)
これは、CPIの絶対値だけでなく、経済政策の成果や政情の変化を読み取る重要な指標となります。
世界全体ではどうか?―「鈍化するが根強い」インフレ
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世界平均は4.048%。1時の8〜9%台から明確に低下。
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ただし、途上国では依然として生活必需品の価格上昇が直撃している。
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食品・エネルギー・住宅価格は構造的に下がりにくく、「粘着性の高いインフレ」が続く見通し。
今後の予測と経済政策の課題
抑制のための対応策
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政府債務の健全化と中央銀行の独立性の確保
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通貨安定化と外国資本の信頼回復
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社会的支援(補助金や価格統制)は1時的措置として活用
リスク要因
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地政学リスク(戦争、テロ、政変)
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気候変動による食料供給の制限
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原油価格の高騰と為替市場の不安定化
まとめ:インフレ率の変化は「経済の温度計」
CPI変化率は、単なる物価上昇を超えて、国家の政策・構造・信頼性のバロメーターです。国によっては通貨がもはや「経済の単位」として機能しておらず、インフレ率の改善には国家再建レベルの改革が求められています。
世界全体では落ち着きを見せ始めたものの、高インフレ国では今後も長期的な対処が必要です。インフレとの闘いは、各国の政治的意思と経済の統治能力が試される、深い国家課題であると言えるでしょう。
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