2025年の消費者物価指数では、ベネズエラやジンバブエなどの高インフレ国が目立つ一方で、ブラジルやウクライナなどでは比較的安定した物価上昇が見られる。CPIはその国の過去と現在の経済課題を映す重要な指標であり、今後の政策対応が物価安定の鍵となる。
世界経済のデータとグラフ
消費者物価指数、国別今年の予想
2025年 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名称 | ブラジル | ベネズエラ | ウクライナ | ジンバブエ | スーダン | 南スーダン | モルドバ | アルゼンチン | イエメン | コンゴ民主共和国 |
最新値[億指数] | 492500 | 12540 | 1.662 | 0.0116 | 0.00636 | 0.000767 | 0.000455 | 0.000173 | 5.07E-5 | 4.79E-5 |
前年比[%] | +5.272 | +254.4 | +9.001 | +26.13 | +75.57 | +11.99 | +6.301 | +20.03 | +31 | +7.951 |
消費者物価指数の推移


詳細なデータとグラフ
消費者物価指数の現状と今後
消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)とは、1般家庭が購入する商品やサービスの価格変動を測定する指標です。
-
基準年(通常100)に対して、ある年の物価水準を指数化
-
生活費の上昇・下落、つまり「インフレ」や「デフレ」を把握できる
-
政策金利・年金改定・最低賃金などの調整指標にも用いられる
IMF予測における2025年のCPIの国際比較
以下は、IMF予測による消費者物価指数の上位国(指数は億単位、前年比増加率付き)です:
国名 | CPI指数(億) | 前年比増加率 |
---|---|---|
ブラジル | 492500 | +5.272% |
ベネズエラ | 12540 | +254.4% |
ウクライナ | 1.662 | +9.001% |
ジンバブエ | 0.0116 | +26.13% |
スーダン | 0.00636 | +75.57% |
南スーダン | 0.000767 | +11.99% |
モルドバ | 0.000455 | +6.301% |
アルゼンチン | 0.000173 | +20.03% |
イエメン | 5.07E-5 | +31% |
コンゴ民 | 4.79E-5 | +7.951% |
この1覧では、ベネズエラやジンバブエなどの著しいインフレ国家と、安定したインフレ率を維持している中南米・アフリカ諸国との違いが浮き彫りになっています。
超インフレ国家の特徴と背景
ベネズエラ:CPIが爆発的に増加
-
CPI指数:1.25兆(12540億)
-
前年比:+254.4%
-
背景:
-
原油依存経済の崩壊と政治的混乱
-
中央銀行による大量の貨幣発行
-
外貨不足と物資の供給難による悪性インフレ
-
ジンバブエ・スーダン:通貨価値の崩壊
-
ジンバブエ:+26.13%、スーダン:+75.57%
-
輸入依存経済であること、政治不安、農業危機が複合
-
紙幣の信認喪失により、日常生活における現金取引が困難化
比較的安定した新興国のインフレ ― ブラジルやモルドバ
ブラジル:CPIは極端に高いが安定化傾向
-
CPI指数:49.25兆(全体で最も高い)
-
増加率:+5.272%
-
解釈:
-
過去のインフレから通貨切り下げを経験
-
指数は高くとも、実質インフレ率は低め
-
食品・エネルギー価格変動の影響を受けやすい
-
モルドバ・ウクライナ:地政学リスクと物価
-
モルドバ:+6.301%、ウクライナ:+9.001%
-
戦争や隣接国の政治不安が影響
-
物流制限と輸入物価の上昇がCPIを押し上げ
中東・アフリカにおける物価上昇の構造要因
-
イエメン(+31%)やコンゴ民(+7.951%)では、内戦や政治的崩壊によって物資供給が制限され、生活必需品の価格が急騰。
-
為替レートの急落がインフレを増幅。
-
経済統計の整備が不十分なため、指数の信頼性そのものに問題がある場合も。
インフレ率とCPIの違い ― なぜ指数が極端に違うのか?
CPIの「水準」と「伸び率」は別概念です。
-
CPI指数:累積的な物価上昇の蓄積(長年の変動を含む)
-
インフレ率:直近1年間のCPIの変化率
例:ブラジルの指数は高いが、インフレ率は5%台 → 過去のハイパーインフレの影響
今後のCPI動向とインフレ見通し
高インフレ国の未来
-
通貨改革やIMF支援を受けた政策調整が必要
-
経済統治能力と政治的安定性が回復の鍵
安定インフレ国の対応
-
中央銀行の政策金利による制御
-
サプライチェーンの改善が課題
世界的傾向
-
2020年代初頭のコロナ禍とウクライナ侵攻でインフレが世界的に加速
-
先進国では鈍化傾向も、新興国では長期化の懸念
まとめ:CPIは経済の「熱」を測る体温計
消費者物価指数は、単に物価を見るだけではなく、その国の経済構造、政策運営、政治安定度までも映し出す指標です。指数が高すぎる国は「過去の病」、変動率が高すぎる国は「現在の熱病」に苦しんでいるといえるでしょう。
今後の物価安定には、各国が信頼される通貨と健全な財政運営を取り戻せるかどうかにかかっています。
コメント