北海道・東北の米価格が高騰|ブランド米と格差の最新動向を解説

穀物統計

北海道・東北の米価は2025年5月に前年比+83.97%と大幅上昇。福島・青森・秋田などのブランド米が価格を牽引し、北海道は生産量で全国トップ。気候変動や資材高騰が背景にあり、今後はスマート農業や高付加価値化による持続的生産が鍵となる。

北海道・東北での米価格

2025年5月
降順昇順
市場価格[万円/60kg]平均比前年同月比[%]
平均2.853100+83.97
1福島 (コシヒカリ会津)3.478121.9+111
2秋田 (ひとめぼれ)3.315116.2
3青森 (まっしぐら)3.202112.2+106.6
4福島 (ひとめぼれ)3.02105.9+101.6
5福島 (天のつぶ)3.008105.5+108.4
6福島 (コシヒカリ中通り)2.962103.8+91.15
7山形 (つや姫)2.946103.3+56.92
8北海道 (ゆめぴりか)2.878100.9+79.6
9山形 (雪若丸)2.82398.96+84.88
10宮城 (つや姫)2.81998.82+79.65
11北海道 (ななつぼし)2.77797.35+77.19
12山形 (はえぬき)2.72895.61+87.34
13秋田 (あきたこまち)2.69494.43+71.86
14秋田 (めんこいな)2.69394.4+89.67
15北海道 (きらら)2.61991.8+75.69
16岩手 (ひとめぼれ)2.52288.39+69.22
17宮城 (ひとめぼれ)2.46586.41+58
18岩手 (銀河のしずく)2.40184.16

米価格の推移

米価格(北海道・東北)

北海道・東北での販売数量

2025年5月
降順昇順
市場販売数量[トン]平均比前年同月比[%]
平均48.31100-0.449
1北海道190.2393.7-7.535
2秋田138.6286.9-9.234
3秋田 (あきたこまち)113.2234.3-12.92
4山形99.7206.4-11.06
5北海道 (ななつぼし)89.8185.9-2.179
6福島79.4164.4+34.12
7宮城79.1163.7-7.16
8青森76.5158.4+11.35
9岩手69.1143+25.18
10まっしぐら58.9121.9+21.95
11宮城 (ひとめぼれ)53.7111.2-12.97
12北海道 (ゆめぴりか)53.2110.1+5.138
13岩手 (ひとめぼれ)51.2106+30.28
14山形 (はえぬき)49.7102.9-12.19
15山形 (つや姫)2653.82-14.47
16福島 (コシヒカリ中通り)19.840.99-7.477
17福島 (天のつぶ)19.440.16+83.02
18福島 (ひとめぼれ)17.135.4+90
19山形 (雪若丸)11.624.01+6.422
20岩手 (銀河のしずく)11.523.81+38.55
21福島 (コシヒカリ会津)10.621.94+0.952
22秋田 (ひとめぼれ)816.56-8.046
23宮城 (つや姫)7.615.73-7.317
24秋田 (めんこいな)6.713.87+34
25宮城 (ササニシキ)6.112.63
26岩手 (あきたこまち)48.28-14.89
27福島 (コシヒカリ浜通り)1.93.933-5
28青森(つがるロマン)00-100

販売数量の推移

販売数量(北海道・東北)

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詳細なデータとグラフ

米価格の現状と今後

2025年5月時点での北海道・東北の米の平均価格は2.853万円/60kgと、全国平均(2.744万円)を上回る水準となっています。中でも、福島県産コシヒカリ(会津)3.478万円秋田県産ひとめぼれ3.315万円青森県産まっしぐら3.202万円などが上位に位置し、地域特性を活かしたブランド米が価格面で優位に立っています。

1方、販売数量では北海道(190.2トン)が圧倒的に多く、秋田(138.6トン)・山形(99.7トン)・福島(79.4トン)・宮城(79.1トン)と続きます。全国的な供給基盤としての役割を担う地域であることがうかがえます。


長期的な価格と数量の推移傾向

2008年から2019年頃まで、北海道・東北の米価は1.5~1.8万円/60kg前後で安定推移していました。しかし、2020年以降は以下の要因で価格が急上昇しています。

  • 肥料・燃料・資材価格の高騰

  • 円安の進行

  • 高温・低降水などによる作柄不良

  • 輸入米代替需要の拡大

その結果、2024年後半から2025年にかけては、前年比+83.97%という異例の急騰が観測されました。

1方で、販売数量は地域によって明暗が分かれました。福島(+34.12%)・青森(+11.35%)・岩手(+25.18%)は増加した1方で、秋田(-9.234%)・山形(-11.06%)・北海道(-7.535%)では減少が目立ちます。


道県別の特徴とブランド米の動向

  • 福島県(コシヒカリ・ひとめぼれ・天のつぶ) 内陸性気候と山からの清流を活かした栽培で知られ、3種のブランドがそれぞれ3万円超え。とくに「天のつぶ」は近年評価が急上昇しており、今後さらに流通が拡大する可能性が高い。

  • 秋田県(ひとめぼれ)・山形県(つや姫・雪若丸) 従来の量産に加え、品質特化型ブランドを育成中。特に「つや姫」は首都圏での評価も高く、価格の持続的上昇が見込まれる。

  • 青森県(まっしぐら) 価格の上昇(前年比+106.6%)と数量増(+11.35%)を両立。味よりも食味の安定と価格の適正性が評価され、業務用需要でも注目を集める。

  • 北海道(ゆめぴりか・ななつぼし) 高品質な「ゆめぴりか」が主力だが、作付面積の広さに対して出荷量はやや減少。気候変動の影響で収穫量の確保が課題化しつつある。


価格高騰の要因

  1. 資材・エネルギー価格の上昇 肥料の価格は前年より約2倍、燃油費も高騰。生産コストが直接価格に反映された。

  2. 円安と輸入不安 外国産米の仕入れコスト増により、国内産米への需要が高まり、需給の逼迫が起きた。

  3. 自然環境の影響 2024年夏の高温・日照不足が1部地域で作柄不良を引き起こし、品質・数量ともに落ち込んだ結果、プレミアム米に価格が集中

  4. 高付加価値品種への転換 単なる「食べる米」から「贈答・ブランド米」への転換が進み、つや姫・天のつぶ・ゆめぴりかといった品種の価格が上昇。


今後の展望と生産の持続可能性

  • 農業のスマート化 北海道や東北ではドローン、AI、水管理センサーなどを導入する事例が増えており、省力化と品質安定化が進行中。

  • 農地の集約と法人化 離農が進む中、大規模化を図る農業法人が増え、生産効率とブランド力の両立が求められる。

  • 海外輸出への期待 福島・山形・北海道産米は、品質が評価され、アジア市場への輸出が拡大中。価格高騰の1因にもなっている。

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