2025年九州の家賃相場:長崎・福岡・大分が上昇、地方都市に格差

家賃

九州の2025年5月の家賃平均は1坪当たり4,145円。長崎・福岡・大分が上昇傾向で、長崎が九州内で最高値を記録。一方、那覇や鹿児島、宮崎、佐賀は下落傾向にあり、都市の規模や再開発の有無が家賃に大きく影響している。

1カ月1坪当り都市別の家賃相場

2025年5月
降順昇順
都市最新値[円]前年同月比[%]
平均4145+0.521
1長崎5010+2.141
2福岡4812+1.476
3那覇4533-1.713
4鹿児島4526-0.876
5佐世保4085+0.69
6熊本3822-0.365
7北九州3794-0.0527
8大分3780+5.882
9宮崎3673-0.997
10佐賀3418-0.755
1カ月1坪当りの家賃

詳細なデータとグラフ

九州の家賃現状と今後

9州は地方圏の中でも人口が多く、経済的にも活力のある地域です。特に福岡都市圏は西日本の中枢としての役割を担い、不動産市場も活発です。2025年5月現在、9州の1坪当たりの平均家賃は4,145円と全国平均よりもやや低めですが、都市によって家賃水準や傾向は大きく異なります。


長崎市 ― 9州最高水準の家賃に到達

長崎市(5,010円)は、9州内で最も高い家賃水準を示しています。前年比+2.141%という力強い上昇は、港湾整備や観光・商業施設の再開発が進んでいることが1因です。近年は新築マンションの供給が相次ぎ、都市中心部の居住ニーズも高まっています。従来、長崎は中位の水準でしたが、ここ数年で急激に価格上昇が進み、福岡を追い越す形となりました。


福岡市 ― 安定成長を続ける大都市

福岡市(4,812円)は9州最大の都市で、住宅需要も堅調です。前年比+1.476%と緩やかな上昇を続けており、安定的な市場といえます。特に天神・博多周辺ではオフィスと住宅の混在によって地価が上昇し、それに伴って家賃も押し上げられています。2000年代以降、全国でも有数の成長都市として評価されており、将来的にも堅調な上昇が見込まれます。


那覇市・鹿児島市 ― 南方の都市の揺れ動く家賃

那覇市(4,533円)鹿児島市(4,526円)はほぼ同水準ですが、那覇は前年比-1.713%、鹿児島は-0.876%といずれも下落しています。那覇では近年の観光業の冷え込み、住宅供給過剰、台風等の災害リスクなどが要因となって家賃が下押しされています。鹿児島も似たような状況で、特に郊外地域での空室率増加が影響しています。


中規模都市(佐世保・熊本・北9州) ― 地域差が明確に

佐世保市(4,085円)+0.69%と上昇、熊本市(3,822円)-0.365%とやや下落、北9州市(3,794円)はほぼ横ばい(-0.0527%)と、地域ごとにばらつきが目立ちます。佐世保は基地経済の影響で賃貸需要が比較的安定。熊本は地震以降の再建需要が1段落し、相場が調整局面に入ったと見られます。北9州は人口減と空き家問題の影響で家賃上昇は抑制されています。


大分市 ― 異例の高騰とその背景

大分市(3,780円)前年比+5.882%と、9州で最大の上昇率を記録しています。この背景には、近年の都市再開発と企業進出による転入増、駅周辺の地価上昇、住宅供給の不足などが挙げられます。また、マンション建設の活発化により平均家賃が引き上げられている可能性もあります。今後の推移を注視する必要があります。


宮崎市・佐賀市 ― 地方中小都市の家賃低下傾向

宮崎市(3,673円)佐賀市(3,418円)はいずれも家賃が下落しており(それぞれ-0.997%、-0.755%)、地域経済の停滞や若年層の流出が影響しています。住宅需要の低下と築古物件の多さが家賃水準を下押ししており、今後も下落基調が続く可能性があります。地域間格差の象徴的な存在とも言える状況です。


総括 ― 都市の機能と人口動態が家賃を分ける

9州全体での家賃平均は+0.521%と微増ですが、都市間の格差は拡大しています。福岡や長崎、大分のように成長や再開発のある都市は家賃上昇が目立ち、1方で地方中小都市では需要減により家賃が下落または停滞しています。将来的にも、人口流入や都市機能の集中によって家賃水準は2極化していくと考えられます。

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