株価指標の基本、PERとPBRで割高・割安を見極める

株取引



株価の割高割安を計る指標として、PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)がよく使われます。PERは現在の株価が1株あたり純利益(EPS)の何倍に相当するかを示し、PBRは会社の資産に対して現在の株価が割安かどうかを判断する指標です。PERの目安としてよく15倍程度が挙げられますが、これは東証1部の全銘柄の平均値が約15倍だからです。2024年11月末のデータによると、東証のPER平均は16倍ですが、業種ごとにPERの基準は異なります。例えば、水産・農林業の平均PERは9.6倍で、情報・通信業では24倍です。そのため、業種ごとの平均PERを理解し、相対的な割安割高を判断することが重要です。

株価指標の基本、PERとPBRについて

株式投資を行う際、株価が割安割高かを判断するために、株価指標を使うことが非常に重要です。代表的な株価指標として、PER(株価収益率PBR(株価純資産倍率)があります。これらを理解することで、割安株を見つけて得するためのポイントを押さえることができます。


PER(株価収益率)

PER(Price Earnings Ratio)は、株価がその企業の利益に対してどれくらいの価値をつけられているかを示す指標です。

  • 株価:その時点での株式の市場価格
  • 1株当たりの純利益(EPS):企業の純利益を発行株式数で割ったもの

PERの解釈

  • PERが低い:一般的に低PERの株は割安とされることが多いです。株価が企業の利益に比べて安く設定されているということを意味します。ただし、PERが低い理由として業績不振や将来的な成長が見込まれていない場合もあるため、その企業の背景をよく確認することが大切です。

  • PERが高い高PERは割高とされることが多いですが、成長性のある企業では高いPERが許容される場合もあります。例えば、将来の利益成長が期待される企業では、高いPERでも投資家がその成長を見込んで株を買っている可能性があります。

PERで割安株を見つけるポイント

  • 業界平均と比較する:同じ業界内でPERを比較すると、相対的に割安な株を見つけやすいです。同じ業界の企業でも、成長率やリスクが異なるため、業界の平均PERを基準に比較すると良いでしょう。
  • 過去のPERとの比較:企業が過去に安定した利益を上げていた場合、その時期のPERと現在のPERを比較することで、株価が過去に比べて割安割高かを判断できます。

PBR(株価純資産倍率)

PBR(Price Book-Value Ratio)は、企業の株価がその企業の純資産に対してどれくらいの価値をつけられているかを示す指標です。純資産とは、企業の総資産から負債を差し引いた価値で、企業の財務的な健全さを示します。

  • 株価:その時点での株式の市場価格
  • 1株当たりの純資産(BPS):企業の純資産を発行株式数で割ったもの

PBRの解釈

  • PBRが1倍:株価が企業の純資産と同じ価値をつけていることを意味します。つまり、純資産と株価が一致しているという状態です。通常、PBRが1倍以下の株は、企業の資産価値よりも株価が低いと解釈されることが多く、割安株とされることがあります。

  • PBRが1倍を超える:PBRが1倍を超える場合、株価が企業の純資産に対して高く評価されていることになります。成長性や将来の収益性が期待されている企業の場合、PBRが1倍を超えていることは珍しくありません。

PBRで割安株を見つけるポイント

  • PBRが1倍以下を探す:PBRが1倍以下の企業は、純資産に比べて株価が低いとされ、割安と評価されることが多いです。ただし、企業が資産をうまく活用していない場合や利益が上がっていない場合もあるため、その背景を確認することが重要です。
  • 業界平均と比較する:PER同様、同じ業界内でのPBRの比較が有効です。業界によっては、PBRが低くても安定した収益を上げている企業が存在するため、業界平均と照らし合わせて判断しましょう。

割安株で得するための重要なポイント

PERとPBRを利用して割安株を見つけ、利益を得るためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

1. 業界や市場の状況を確認する

  • 業界全体の景気や成長性を確認することが大切です。PERやPBRが低い場合でも、業界の将来性に問題がある場合は、割安とは言えないことがあります。
  • 業界平均と比較することで、PERやPBRの適正な水準を把握することが重要です。

2. 割安株の理由を調べる

  • PERが低い、PBRが低い株でも、その企業が業績不振である理由があるかもしれません。割安株を購入する前に、その企業の事業内容や財務状況をしっかりと確認しましょう。
  • 将来的な成長性競争力が低下している場合、割安株でも投資リスクが高くなることがあります。

3. 長期的な視点で投資する

  • 短期的な市場の動きに惑わされず、長期的な視点で株を保有することで、企業の成長を享受できる可能性が高くなります。
  • 割安株がその後成長する場合、時間をかけて利益を享受できるため、短期的な変動に振り回されないようにしましょう。

4. 配当金の確認

  • 割安株を見つけるときは、配当金が安定している企業を選ぶことも一つのポイントです。安定した配当を受け取ることで、株価が回復するまでの間、利益を得ることができます。

割安株の探し方

株式投資において、投資先の株価が「割高」か「割安」かを見極めることは重要です。株価の割高とは、企業価値に対して株価が高く評価されている状態であり、反対に割安は低く評価されている状態を指します。この判断では株価の絶対額ではなく、企業の将来の利益や保有資産との相対的な関係が重要です。例えば、株価が高額でもそれに見合う利益や資産があれば割安と判断され、一方で低額でもそれらが不足していれば割高とされます。株価は短期的には様々な要因で変動しますが、長期的には業績に連動する傾向があります。割安な銘柄を見つけて購入し、本来の評価を受けた際に売却する投資を「バリュー株投資」といいます。また、割高な株を避けることでリスクを軽減することが可能です。このような分析を通じて、合理的な投資判断を行うことができます。

株価収益率(PER)

PER(株価収益率)は「株価÷1株あたりの純利益」で計算され、株価が企業の稼ぐ利益の何倍かを示す指標です。値が小さいほど割安、大きいほど割高とされます。例えば、PERが10倍であれば、10年間保有することで現在の株価相当の利益を直接的または間接的に得られると考えられます。企業の利益は一部が配当として株主に分配され、残りは企業内に留められますが、これも間接的に株主のものとみなされます。

PERには業種ごとに高い・低い傾向があり、絶対的な基準は存在しません。そのため、PERを用いた比較は同業種間で行うことが推奨されます。また、株価上昇への期待が高い企業ほどPERが高くなる傾向がありますが、期待が低ければPERが低くなることもあります。PERが低いからといって必ずしも利益を得られるわけではなく、なぜPERが高いまたは低いのか、その背景を確認することが重要です。

さらに、投資判断にはPER単独での分析では不十分であり、他の指標と組み合わせて総合的に判断する必要があります。また、企業の過去のPER動向を参照することで、株価評価の一助とすることが可能です。PERは投資の一つの指標として有用ですが、それだけに依存せず、多角的な視点で分析することが投資成功の鍵となります。

\(\begin{eqnarray}
\mathrm{PER}&=&\frac{株価}{1株あたり当期純利益}\\
1株あたり当期純利益&=&\frac{当期純利益}{発行済株式総数}
\end{eqnarray}\)

株価純資産倍率(PBR)

PBR(株価純資産倍率)は、株価が1株あたり純資産の何倍にあたるかを示す指標で、企業の資産価値を基準に株価の評価や投資判断に用いられます。PBRが高い場合は株価が割高、低い場合は割安とされますが、この判断には企業の業種や特性を考慮する必要があります。PBRは市場での企業評価や経営状況、成長性を測る材料となり、株価の妥当性を判断する一助となります。一方で、PBRは資産価値を基準とするため、収益性を基準に株価を評価するPER(株価収益率)とは異なる視点を提供します。投資判断を行う際には、PBRだけでなく、PERや他の指標も併用して総合的に判断することが重要です。このように、PBRは企業の資産的価値を評価し、株価が適正かを見極めるための基礎的かつ重要な指標といえます。
\(\begin{eqnarray}
\mathrm{PBR}&=&\frac{株価}{1株あたり純資産}\\
1株あたり純資産&=&\frac{純資産}{発行済株式総数}
\end{eqnarray}\)

自己資本利益率(ROE)

ROE自己資本利益率)は、企業が株主の拠出した自己資本をどれだけ効率的に活用して利益をあげたかを示す指標です。具体的には、株主の投資効率を測るもので、企業の収益性や成長性、株主還元の可能性を示唆します。ROEは有価証券報告書などで「自己資本利益率」、決算短信では「自己資本当期純利益率」と表記され、計算方法において「自己資本利益率」は期末の自己資本を用い、「自己資本当期純利益率」は期首と期末の自己資本の平均を使用します。ROEは、売上高純利益率、総資本回転率、財務レバレッジに分解することで、詳細な要因分析を行うことができます。

ROEが高ければ、企業が資本を効率よく運用して収益を上げている証拠であり、低いROEは経営効率の悪さを示すことがあります。一般的には、ROEが10%を超えている企業は優良企業とされ、投資価値が高いと見なされます。しかし、業種によってROEの平均値が異なるため、一概に高いROEが優れた企業を意味するわけではありません。例えば、長期的に赤字を計上していた企業が一時的に大きな利益を上げた場合、ROEが一時的に高くなることもあります。このような場合、ROEだけで企業の実力を判断するのは不十分であり、過去の推移や他の指標と組み合わせて分析することが重要です。

\(\begin{eqnarray}\mathrm{ROE}=\frac{当期純利益}{自己資本}\times100\end{eqnarray}\)

PERランキング

2024年の日本企業の株価収益率(PER)ランキングを見ると、マルマエ(1,051.61倍)、ブランディングテクノロジー(795.14倍)、井関農機(729.68倍)、ミアヘルサホールディングス(495.02倍)、VALUENEX(480.16倍)が上位を占めています。このように非常に高いPERを示す企業は、一部の成長期待が高い業種や新興企業に多く見られる傾向があります。

日本の株価収益率の動向は、業種や市場全体の投資家心理、経済環境の影響を大きく受けます。特に成長が期待されるテクノロジー分野や革新的なビジネスモデルを持つ企業は、将来的な利益の増加が期待され、PERが高くなる傾向があります。一方で、成熟産業や安定的な利益を上げる企業ではPERが低めに推移することが一般的です。(参考:みんかぶ-PERランキング

証券コード 銘柄 PER 株価(円) 配当利回り
6264 マルマエ 1,051.61倍 1,630.0 1.84%
7067 ブランディングテクノロジー 795.14倍 1,638.0 0.98%
6310 井関農機 729.68倍 934.0 3.21%
7129 ミアヘルサホールディングス 495.02倍 1,094.0 2.74%
4422 VALUENEX 480.16倍 581.0

PBRランキング

2024年の日本企業の株価純資産倍率(PBR)ランキングでは、エー・ピーホールディングス(117.57倍)、エスポア(109.79倍)、GFA(77.55倍)、メタプラネット(77.24倍)、AppBank(3.11倍)が上位に挙がっています。これらの企業のPBRが非常に高い理由として、成長期待が強い新興企業や資産の実態よりも将来の収益性が重視されていることが考えられます。

日本のPBR傾向を見ると、業種や企業の成長性に応じて大きな幅があるのが特徴です。特に、新興市場に上場する企業や革新的なビジネスを展開する企業は、将来的な利益や資産増加への期待が株価に反映されやすく、PBRが高くなる傾向があります。一方で、成熟した業種や安定した事業モデルを持つ企業は、PBRが低い場合が多いです。(参考:みんかぶ-PBRランキング

証券コード 銘柄 PBR 株価(円) 配当利回り
3175 エー・ピーホールディングス 117.57倍 940.0
3260 エスポア 109.79倍 3,380.0
8783 GFA 77.55倍 440.0
3350 メタプラネット 77.24倍 3,480.0
6177 AppBank 63.11倍 92.0

 

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