乳卵類の家計支出動向:都市差・世代差と今後の見通し

肉類



総務省家計調査に基づき、2008年から2025年までの二人以上世帯における乳卵類支出の動向を分析。都市ごとの支出差や前年同期比の増減、世代間の消費傾向、物価高騰の影響を踏まえ、都市別特性と今後の予測を解説。大都市では健康志向や家族構成変化により支出増が顕著である一方、地方都市では物価高や需要縮小による減少傾向も見られる。

乳卵類の家計調査結果

乳卵類の多い都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 さいたま市 大津市 相模原市 京都市 岡山市 浜松市 川崎市 神戸市 仙台市 横浜市
最新値[円] 4555 5427 5373 5361 5268 5255 5176 5111 5074 5056 5046
前年月同比[%] +4.015 +28.51 +21.1 +7.456 +21.44 +8.934 +5.353 +0.118 +13.92 +2.869 +0.558

乳卵類の少ない都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 北九州市 和歌山市 長崎市 佐賀市 甲府市 堺市 大分市 福井市 岐阜市 那覇市
最新値[円] 4555 3575 3575 3745 3833 3840 3951 3962 3976 3990 3992
前年月同比[%] +4.015 -5.423 -3.898 -3.604 +13.5 -26.46 -20.65 +12.81 +0.126 -7.101 +0.681

 

これまでの乳卵類の推移

乳卵類の推移
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

乳卵類の肉類現状と今後

2008年以降の家計調査データによれば、二人以上世帯における乳卵類(牛乳、ヨーグルト、チーズ、卵など)の支出額は緩やかな増加傾向を示してきました。2025年3月時点の全国平均は月額4,555円であり、物価上昇と健康志向の高まりが主な要因と考えられます。特に近年は動物性たんぱく質の摂取源として乳卵類の見直しが進んでおり、パン食や簡便調理の浸透も後押ししています。


都市ごとの支出額の比較と特徴

最新データにおいて、乳卵類の支出が最も高かったのはさいたま市(5,427円)、次いで大津市(5,373円)、相模原市(5,361円)といった都市部や周辺住宅都市が上位を占めています。これらの都市では、共働き世帯が多く、調理の簡便性を重視する家庭が多いこと、また子育て世代の多さも乳卵類消費の増加につながっていると考えられます。

一方で、支出が低かった都市には北九州市(3,575円)、和歌山市(3,575円)、長崎市(3,745円)など、やや高齢化の進んだ中小都市が目立ちます。これらの地域では、食生活が保守的であることに加え、高齢者が牛乳などの消化を懸念して控える傾向も見受けられます。


前年同期比から見える増減の傾向と要因分析

さいたま市(+28.51%)や京都市(+21.44%)、大津市(+21.1%)などで大幅な増加が見られるのは、物価上昇の影響に加え、コロナ禍以降の内食志向の継続、栄養志向の高まりが背景にあります。これに対して、甲府市(-26.46%)、堺市(-20.65%)などでの大幅な減少は、地域の購買力の低下や、生活防衛意識の強まりが影響していると推察されます。

特に甲府市では、前年に比べて急激な支出減が見られ、世帯構成や流通価格の影響、あるいは購買行動の変化(まとめ買いの減少や特売商品の不充実)なども考慮されるべきでしょう。


世代間の消費傾向と生活スタイルの影響

若年層・子育て世代は朝食や弁当に活用するために乳卵類を多く消費する傾向があります。特に、共働き家庭では、簡単に栄養が摂れる食品として卵・ヨーグルト・チーズの需要が高まっています。一方で高齢層では、牛乳の消化吸収への不安や、乳製品のコレステロールを懸念する声もあり、全体の支出額が抑えられる傾向にあります。

また、都市部では輸入チーズやオーガニックヨーグルトなど高価格帯商品へのニーズもあり、所得差や健康志向が消費の分岐点となっています。


乳卵類価格の高騰と今後の見通し

近年の原材料価格(飼料、輸送費)の高騰、気候変動による生産不安、円安の影響などにより、乳卵類の市場価格は上昇傾向にあります。特に卵は鳥インフルエンザなどの影響も受けやすく、価格変動の幅が大きい食品です。こうした背景のもと、今後も支出額はやや上昇する見通しですが、消費者の節約志向が強まれば支出が頭打ちになる可能性もあります。

政府による農業支援策や価格抑制策がどこまで機能するかが、今後の家計支出動向に大きく影響を及ぼすでしょう。


今後の消費構造の変化と予測

乳卵類は今後も重要なたんぱく源としての位置づけが続くと考えられますが、代替食品(植物性ミルク、卵代替品など)の台頭や、輸入コスト上昇への消費者反応により、構成比が変化していく可能性があります。

高価格帯商品を選ぶ層と、低価格帯で抑える層の「二極化」も進行しやすく、都市ごとの格差が今後さらに広がるかもしれません。また、冷蔵保存の利便性や保存技術の進展により、業務用・家庭用の境界も曖昧になっていくでしょう。

 

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