日本の二人以上世帯における生鮮肉支出は平均6,767円で増加傾向。京都市など近畿・中国地方で高く、北関東・東北では低水準。高齢者は品質重視、若者は価格と利便性を重視。今後は物価高や環境意識の高まりが支出の中身に影響し、地域格差も広がる可能性がある。
生鮮肉の家計調査結果
生鮮肉の多い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 京都市 | 広島市 | 岡山市 | 堺市 | 奈良市 | 大津市 | 和歌山市 | 大阪市 | 熊本市 | 川崎市 |
最新値[円] | 6767 | 9674 | 9078 | 8592 | 8385 | 8277 | 8246 | 8087 | 7936 | 7890 | 7887 |
前年月同比[%] | +2.175 | +25.25 | +18.08 | +18.59 | -6.008 | +10.17 | +15.54 | +25.93 | +2.678 | +8.903 | +19.97 |
生鮮肉の少ない都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 前橋市 | 福島市 | 長野市 | 水戸市 | 那覇市 | 宇都宮市 | 浜松市 | 新潟市 | 青森市 | 盛岡市 |
最新値[円] | 6767 | 4641 | 5100 | 5129 | 5140 | 5184 | 5271 | 5464 | 5553 | 5620 | 5714 |
前年月同比[%] | +2.175 | -6.431 | -19.85 | +4.802 | +8.119 | -5.488 | -10.68 | -2.966 | -14.63 | +0.88 | +3.178 |
これまでの生鮮肉の推移


詳細なデータとグラフ
生鮮肉の肉類現状と今後
日本の家庭における食生活の中心に位置づけられる「生鮮肉」は、栄養価・保存性・調理の多様性の面からも重要な食品群です。特に二人以上世帯では、共働き家庭、高齢者夫婦世帯、子育て世帯など多様な形態があり、その消費動向は社会構造の変化や経済的影響を如実に反映します。
生鮮肉支出の全体的な推移と背景
2025年3月時点での全国平均は1世帯あたり月額6,767円。2008年から長期的に見ると、支出額は物価上昇と家庭内調理の習慣回帰により、やや増加傾向にあります。特に新型コロナ以降、外食から家庭調理への回帰が進み、生鮮食品、とりわけ肉類への支出が底上げされました。
また、牛・豚・鶏いずれも値上がり傾向にあり、量を減らしても支出額が上昇するという現象も確認されています。
地域間の支出格差とその背景
高支出都市の特徴
京都市(9,674円)、広島市(9,078円)、岡山市(8,592円)など、近畿・中国地方の都市が上位を占めています。これらの地域は伝統的に家庭での手作り料理を重視する文化があり、肉料理のレパートリーも豊富です。また、比較的高齢者世帯が多く、加工品よりも新鮮な食材を選ぶ傾向が強いことも特徴です。
京都市では前年比+25.25%と突出しており、観光需要の回復や地域ブランド肉の消費増加など、地元経済の復調も影響している可能性があります。
低支出都市の特徴
一方、前橋市(4,641円)、福島市(5,100円)、長野市(5,129円)などは、生鮮肉への支出が抑制されています。福島市では前年比-19.85%と大幅減で、消費の落ち込みが顕著です。これらの地域では、経済的理由や世帯構成の高齢化、あるいは農産物中心の食生活が主因と考えられます。
特に寒冷地では、保存性重視で冷凍肉や加工肉へのシフトも見られ、生鮮肉の購入頻度自体が少なくなりがちです。
世代間の消費スタイルの違い
若年層は安価で調理しやすい鶏肉・豚肉を中心に購入し、冷凍保存やミールキットとの併用も多くみられます。手早く作れる料理に向いた薄切り肉やひき肉が好まれます。
一方で高齢世帯は、健康志向から脂肪の少ない部位(もも肉、ヒレ肉)を選ぶ傾向があり、価格が高くても品質を重視する傾向があります。また、料理を一から手作りする頻度も高いため、支出総額が高くなる傾向にあります。
今後の推移と課題
価格高騰の影響
輸入飼料の高騰、円安、気候変動による生産コストの増加が続く限り、肉類価格の上昇は避けがたく、生鮮肉の支出は引き続き上向くと予測されます。結果として、量を減らして価格の高い品質の肉を買う“高単価・低量”の傾向が進行するでしょう。
地域格差と対応策
地域ごとの経済格差がそのまま食生活の格差に反映される状況が懸念されます。特に生鮮食品は価格弾力性が高いため、地方では消費抑制の影響が直ちに支出に現れやすく、国や自治体の物価支援や地産地消の促進策が鍵となります。
環境・倫理志向の影響
若年層では「サステナブルな食生活」への関心も高まりつつあり、植物性代替肉や放牧・非遺伝子組み換え飼料を使用した肉など、選択の幅が広がることが生鮮肉消費の未来を左右する要因ともなります。
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