家計調査によると、2025年3月時点での勤労世帯における果物支出平均は2,696円。横浜市や東京都区部など都市部で支出が高く、津市や浜松市では急増傾向。一方、熊本市や堺市などでの減少が顕著。勤労世帯の果物消費には地域差・世代差が見られ、健康志向や物価上昇、都市機能の違いが影響している。今後は高齢化と所得格差を背景に、支出の二極化と高付加価値果物への志向が進む可能性がある。
果物(勤労)の家計調査結果
果物(勤労)の多い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 横浜市 | 東京都区部 | 富山市 | さいたま市 | 川崎市 | 京都市 | 津市 | 相模原市 | 長野市 | 浜松市 |
最新値[円] | 2696 | 3790 | 3697 | 3650 | 3535 | 3450 | 3317 | 3272 | 3218 | 3170 | 3154 |
前年月同比[%] | +15.21 | +41.15 | +23.73 | +29.94 | +38.52 | +37.83 | +53.85 | +135.4 | +41.76 | +60.91 | +71.69 |
果物(勤労)の少ない都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 熊本市 | 堺市 | 大分市 | 高知市 | 那覇市 | 北九州市 | 鳥取市 | 宇都宮市 | 鹿児島市 | 徳島市 |
最新値[円] | 2696 | 1658 | 1772 | 1896 | 1904 | 1921 | 1989 | 2048 | 2135 | 2192 | 2200 |
前年月同比[%] | +15.21 | -36.06 | -26.78 | -13.74 | +12.26 | -9.557 | -13.18 | -17.88 | -8.994 | +29.93 | +8.588 |
これまでの果物(勤労)の推移


詳細なデータとグラフ
果物(勤労)の果物現状と今後
2025年3月時点の家計調査によると、勤労世帯における1世帯当たりの果物支出の全国平均は2,696円。この水準は、長期的には緩やかに増減を繰り返しつつも、近年やや上昇傾向にあることが特徴です。
特に、近年の健康志向の高まりや、果物を使ったスムージー・スイーツなどの家庭内消費トレンドの拡大が、支出の底上げに貢献していると考えられます。また、猛暑による生鮮果物の需要拡大や、国産高級果物のブランディング強化も背景にあります。
都市別の支出格差とその背景
最新のデータでは、果物支出が高い都市は以下のとおりです:
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横浜市:3,790円(+41.15%)
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東京都区部:3,697円(+23.73%)
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富山市:3,650円(+29.94%)
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さいたま市:3,535円(+38.52%)
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川崎市:3,450円(+37.83%)
これらの都市は共通して大都市圏または都市近郊で生活水準が高く、共働き率が高い地域です。特に都市部では「健康」や「時短」を意識した果物の活用(カットフルーツ、冷凍果物など)が支持されており、手軽に消費できる形での果物支出が上昇しています。
一方、支出が少ない都市では以下のような傾向が見られます:
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熊本市:1,658円(-36.06%)
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堺市:1,772円(-26.78%)
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大分市:1,896円(-13.74%)
これらの地域では物価抑制志向や消費抑制の文化、所得水準の地域差が影響していると考えられます。また、地産地消の形で家庭菜園や近隣の無償供給(親族や知人間)による入手がある場合、家計支出として表れにくい側面もあります。
急増都市と急減都市の特徴的変化
特に注目すべきは以下の都市での急増です:
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津市:+135.4%
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浜松市:+71.69%
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長野市:+60.91%
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京都市:+53.85%
これらの地域では、「地域ブランド果物」の展開や、「ふるさと納税」「直売所活用」などを通じた購買行動の変化が見られます。また、高齢者世帯が多くを占めていた地域でも、勤労世帯の流入が進み始めたことで、支出構造に変化が出てきている可能性があります。
逆に、熊本市や堺市のように急減する地域では、物価上昇に対する購買力の低下や、果物よりも保存の効く食品や加工食品を重視する傾向が強まっていると推察されます。
世代間・ライフスタイルによる違い
勤労世帯の中でも、30〜40代の子育て世帯は果物支出が比較的高くなる傾向があります。子どもの栄養バランスや、朝食・おやつの選択肢として果物を重視する家庭が多いためです。
一方で、20代の単身勤労者や共働き世帯では、「果物は高くて手間がかかる」というイメージがあり、敬遠される傾向が見られます。特に冷蔵保存が難しい果物については購入頻度が下がる傾向が強いです。
また、果物を「嗜好品」と捉えるか「必需品」と捉えるかは、地域性・教育背景・家族文化などにも左右されます。
今後の見通しと政策的課題
今後の果物支出については以下の2極化が進むと予測されます:
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健康意識と生活の質を重視する層による、高品質・高価格帯果物の消費拡大
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物価高騰や所得格差の影響による、消費抑制または代替品へのシフト
また、果物農業の担い手不足と流通コスト増により、供給面でも価格上昇が進む見込みです。行政や農協などによる価格安定施策や、学校給食・地域イベントを通じた消費促進が鍵となるでしょう。
さらに、若年層への果物消費促進のため、スナック的に食べられる小分け果物や、簡単調理レシピの普及が期待されます。ITを活用したサブスクリプション型果物配達サービスの広がりも、今後の動向に影響を与える可能性があります。
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