無職世帯の平均人員数は2025年に2.33人となり、介護同居や高齢夫婦の長寿化により微増傾向を示しています。都市間で大きな差があり、今後は単身高齢者の増加により再び減少へ転じる可能性もあります。社会的支援の拡充が急務です。
世帯人員数の家計調査結果
世帯人員数の多い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | |
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名称 | 全国 | 大都市 | 小都市A | 中都市 | 小都市B |
最新値[人] | 2.33 | 2.38 | 2.31 | 2.31 | 2.29 |
前年月同比[%] | +2.146 | -0.858 | -1.717 |
世帯人員数の少ない都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | |
---|---|---|---|---|---|
名称 | 全国 | 小都市B | 中都市 | 小都市A | 大都市 |
最新値[人] | 2.33 | 2.29 | 2.31 | 2.31 | 2.38 |
前年月同比[%] | -1.717 | -0.858 | +2.146 |
これまでの世帯人員数の推移


詳細なデータとグラフ
世帯人員数の現状と今後
2025年3月時点の家計調査によると、無職世帯における1世帯あたりの平均人員数は2.33人でした。これは以下のような社会的背景を反映しています。
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無職世帯は高齢世帯が大半を占めるため、「高齢夫婦+扶養される家族」「単身高齢者+同居人(家族・親族など)」のような構成が一般的
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核家族化が進行しつつも、高齢化に伴う“再同居”(子との同居や介護目的)が一部で増えている
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「単身世帯の増加」と「介護的同居の増加」が並存し、平均人員数は微増または横ばい圏で推移
2018年からの推移と微増の傾向
2018年には無職世帯の平均人員数は2.20人台前半で推移していました。そこから7年で2.33人に微増した背景には以下の要因が考えられます:
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介護目的の再同居の増加:高齢者の介護が必要になり、子世代と同居する事例が増加
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高齢夫婦世帯の寿命延伸:配偶者が長寿になり、単身化する前の「2人世帯」として長く残る
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親族による扶養の復活傾向:就職氷河期世代など、無職の子が親と同居し続けるケースも一定数存在
このように、世帯の縮小傾向に逆行するような微増が見られるのは無職世帯特有の現象ともいえます。
都市間の世帯人員数の差と地域的特徴
世帯人員数が多い都市の傾向:
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中山間地域や伝統的家族文化が残る都市(例:長野、鳥取、鹿児島)
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三世代同居や親子同居が根強く残る
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高齢者の無職世帯でも子や孫と同居しているケースが一定数存在
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地価が安いため、分離より同居が選ばれやすい
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世帯人員数が少ない都市の傾向:
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大都市圏(例:東京23区、川崎、神戸市中心部)
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単身高齢者世帯が多数
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地価・住宅事情により同居が困難
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高齢者が配偶者と死別し、独居を続ける例が多い
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世代別に見る人員構成の特徴
【高齢夫婦世帯】
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人員数は2人
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最も多い構成
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高齢化が進むにつれ、配偶者が亡くなり1人世帯へと移行
【高齢単身世帯】
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人員数は1人
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配偶者と死別、子との別居により増加傾向
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無職世帯平均の引き下げ要因となる
【高齢親+子世帯】
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人員数は3人以上もあり得る
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特に地方や中間層で一定数存在
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子が非正規または失業状態で扶養されていることもある
世帯人員数の社会的課題
【孤立高齢者の増加】
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1人暮らしの無職高齢者が増加することで、
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社会的孤立
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健康リスク
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安否確認困難が顕在化
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【介護の家庭内対応】
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子世代との同居が進む場合、
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介護負担の家族内集中
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社会保障制度とのミスマッチ(介護保険利用の制約)
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【地域ごとの制度対応格差】
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地方では人員数が多くても行政支援が乏しい
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都市部では人員数が少ないが支援制度は充実
今後の推移と対応の方向性
【2030年頃の予測】
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平均人員数は2.3人台前半で横ばいもしくは再び減少へ
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高齢単身世帯の比率増により、再び2.2人台へと下がる可能性も
【重要な対応策】
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単身高齢者向けサービスの拡充
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再同居・多世代同居を支援する住環境整備
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見守り・配食・通院支援などの地域ネットワークの強化
行政・社会・個人の役割分担
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行政:
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高齢単身世帯向けの家賃補助・福祉住宅政策の拡充
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世帯人員数に応じたきめ細かな支援策の導入
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民間:
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介護・生活支援のビジネスモデル拡張(シェア型住居、定額サービスなど)
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個人・家族:
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多世代での生活設計・資金設計
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将来の同居・扶養のあり方についての早期相談
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