無職世帯の世帯主の平均年齢は2025年時点で75.3歳に達し、後期高齢者中心の構造が明確になりました。地方では特に高齢化が顕著で、今後は見守り体制や高齢者支援制度の充実が社会課題となります。
世帯主の年齢の家計調査結果
世帯主の年齢の多い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | |
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名称 | 全国 | 小都市A | 大都市 | 中都市 | 小都市B |
最新値[歳] | 75.3 | 76 | 75.8 | 75 | 74 |
前年月同比[%] | -0.397 | -0.131 | -0.525 | -0.266 | -0.804 |
世帯主の年齢の少ない都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | |
---|---|---|---|---|---|
名称 | 全国 | 小都市B | 中都市 | 大都市 | 小都市A |
最新値[歳] | 75.3 | 74 | 75 | 75.8 | 76 |
前年月同比[%] | -0.397 | -0.804 | -0.266 | -0.525 | -0.131 |
これまでの世帯主の年齢の推移


詳細なデータとグラフ
世帯主の年齢の現状と今後
2025年3月時点での家計調査において、無職世帯の世帯主の平均年齢が75.3歳となったことは、次の社会的状況を示唆します。
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日本社会における高齢化の定着と進行
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無職世帯の多くが年金生活を送る高齢夫婦または単身者であること
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就労可能年齢層(60代前半など)が無職世帯に含まれにくくなったこと
つまり、無職世帯=老齢世帯という図式がより鮮明化しているといえます。
2018年からの年齢上昇の背景
2018年1月当初の同様の統計では、平均年齢は概ね72歳台後半でした。この7年間で約3歳近く上昇した背景には以下の要因があります:
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団塊の世代(1947~1949年生)が後期高齢者(75歳)に達した
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医療の進展や生活習慣改善による健康寿命の延伸
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高齢夫婦世帯の増加により、世帯主の死亡後も配偶者による無職世帯として統計に含まれ続ける
結果として、「働かない高齢者世帯主」の平均年齢が、統計上でも75歳超という水準に達しました。
都市間の差異とその要因
世帯主の平均年齢が高い都市と低い都市には明確な特徴があります。
平均年齢が高い都市の傾向:
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地方圏・農村部(例:秋田、山口、島根など)
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若年層の都市流出により高齢世帯の比率が高い
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高齢世帯主が長寿で地域に居住し続ける傾向
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地域に密着した生活基盤があり、転居や施設入居を避ける傾向
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平均年齢が低い都市の傾向:
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都市部・ニュータウン(例:川崎、つくば、福岡市西部など)
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リタイア直後の比較的若い高齢者(60代後半)が移住・定住している
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高齢単身世帯よりも高齢夫婦世帯が多く、早期世帯主交代が進行
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都市型生活により健康意識や再雇用の影響が残る
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世代別構成と「後期高齢者社会」の定着
2025年時点では、世帯主の年齢層に以下の傾向が見られます:
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70代後半~80代前半が中心層:定年後15年超が経過した層で、年金と貯蓄で生活
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80代後半以上も増加:医療・介護を受けながら在宅生活を続ける層
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60代の無職世帯主が減少:就労継続制度や嘱託勤務で「就業者世帯」にとどまるため統計から外れる
これにより、無職=75歳以上の後期高齢者という構造が完成しつつあるといえます。
課題と懸念される社会的影響
【1】高齢者世帯の「見守り社会」構築の必要性
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平均年齢が75歳を超える無職世帯では、認知症・身体機能低下・孤立死のリスクが急増
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特に地方では隣人関係の希薄化が進み、地域包括支援の拡充が求められる
【2】高齢単身世帯の増加
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世帯主が後期高齢者で配偶者がすでに他界しているケースが増加
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家事能力や金銭管理能力の低下が社会問題化
【3】行政支援と制度の再設計
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要介護・要支援認定の手続きの煩雑さが高齢世帯主を圧迫
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高齢者向け住宅供給の偏在(都市部集中、地方は不足)
将来予測とその対処策
【2030年頃の予測】
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平均年齢はさらに76~77歳に到達すると見込まれる
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特に85歳以上の世帯主の比率が大きく増加
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「無職世帯=超高齢者世帯」化が定着する
【必要な社会対応】
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地域単位での見守り支援体制の整備
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「後期高齢者向け行政サービス」の専門部署の設置
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AIやIoTを活用した在宅介護・健康管理の支援
さらに、住宅政策や交通政策にも高齢者移動困難層への配慮が必要です。
政策と市民社会の役割
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自治体:高齢者情報の把握と戸別訪問による支援制度の導入(例:高齢者名簿・ライフラインチェック)
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民間:高齢世帯向けの訪問販売・生活支援・配食事業の拡充
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地域住民:高齢者とのゆるやかなつながりを維持するためのサロン・町内会活動の推進
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