家計調査のデータから、世帯主収入には都市ごとに顕著な格差が存在し、都市部では50万円を超える地域もある一方、地方では30万円未満の地域も見られます。収入水準の上昇が見られる都市と、著しく減少している都市の違いは、雇用機会や産業構造、物価、世代構成に大きく影響されています。今後も都市間格差の拡大が懸念され、政策的対応が求められます。
世帯主収入の家計調査結果
世帯主収入の多い都市
世帯主収入の少ない都市
これまでの世帯主収入の推移


詳細なデータとグラフ
世帯主収入の現状と今後
家計調査における「世帯主収入」は、勤労世帯の経済的安定や生活水準を測る主要な指標です。特に全国平均や都市別の収入動向を把握することで、日本社会の経済的な分断や地域差が明らかになります。2025年3月時点での全国平均は39.8万円と、ここ数年の物価上昇を考慮すると、実質的な購買力にはやや不安が残る水準です。
世帯主収入の都市間格差の現状
最新のデータによると、最も世帯主収入が高い都市は千葉市(52.51万円)、次いでさいたま市(51.61万円)、東京都区部(49.96万円)と、首都圏の都市が上位を占めています。1方で、那覇市(26.17万円)、青森市(29.06万円)、神戸市(29.4万円)などは大きく全国平均を下回っており、地域によって20万円以上の開きが見られる深刻な格差状況です。
この差は単に賃金の違いだけでなく、地域の産業構造(製造業中心かサービス業中心か)、大企業の本社所在地の有無、物価水準、家族形態など多くの要因によって生じています。
前年同期比の変化に見る地域別の経済回復・後退
前年同期と比較すると、都市ごとに増減の幅が顕著です。例えば:
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増加が大きい都市:
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広島市(+48.29%)
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福岡市(+39.78%)
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名古屋市(+25.12%)
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京都市(+23.52%)
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これらの都市では製造業の回復、観光の再開、再開発による再雇用などが進み、世帯主の収入に反映された可能性があります。
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減少が著しい都市:
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青森市(-25.03%)
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金沢市(-25.9%)-徳島市(-16.7%)
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こうした地域は人口減少や高齢化により雇用の縮小が続き、世帯主の就労機会が減っていることが示唆されます。
世代間の特徴と背景要因
世帯主の年齢構成も収入に大きく影響します。都市部では30~50代の現役世代が多く、かつ共働き世帯の割合も高いため、世帯主の収入も相対的に高くなりやすい傾向があります。1方、地方では60代以上の高齢世帯主が多く、年金に近い水準の就労収入となることから、平均値が引き下げられる原因となっています。
また、世帯構成の違いも大きく、都市部では子育て世帯が多く、地方では単身世帯や高齢夫婦のみの世帯が多い傾向が見られます。
過去からの長期的な動向
2000年からの長期データを見ると、リーマンショックや東日本大震災、コロナ禍といった経済的ショックに応じて世帯主収入は何度も上下しています。全体としては名目で見ると緩やかな上昇傾向にありますが、実質で見ると物価上昇に追いついていないケースが多く、家計への圧迫感は継続しています。
都市部では比較的早く回復に向かう1方で、地方では構造的な低収入状態から抜け出せないまま経済的停滞が続いています。
今後の推移と課題
今後も以下のような課題と見通しが考えられます:
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都市部の収入は安定または緩やかに上昇:リモートワークの普及やスタートアップの増加、大企業の本社集積により、高収入世帯が維持されやすい。
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地方の収入格差はさらに広がる可能性:高齢化、若者流出、雇用機会の減少により、地域経済の再生が急務となる。
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世代交代による収入構造の変化:団塊世代のリタイア後、若年層の収入に依存することになり、賃金水準の底上げが求められる。
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政策面の対応が急務:地方創生、若年層の所得向上、再分配政策(税・社会保障)による所得格差の是正が今後の重要課題となる。
まとめ:格差是正の視点で捉えるべき収入動向
世帯主収入の都市間・世代間格差は、日本の経済と社会の2極化を象徴しています。高所得地域では生活の質や教育環境が改善されやすい1方、低所得地域では地域の持続可能性自体が問われる段階に来ています。単なる統計としてではなく、各地域の背景や世代間のバランスを踏まえた政策的アプローチが不可欠です。今後の調査結果を注視しながら、格差の是正と公平な経済発展を目指す必要があります。
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