家計調査から、無職世帯のクレジット購入には都市規模や世代による差があることが明らかになった。大都市は購入額が高いが減少傾向、小都市は金額は少ないが増加率が大きい。今後は高齢層の世代交代や地方のデジタル決済の普及により、クレジット利用はさらに多様化・拡大していく可能性が高い。
クレジット購入の家計調査結果
クレジット購入の多い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | |
---|---|---|---|---|---|
名称 | 全国 | 大都市 | 中都市 | 小都市A | 小都市B |
最新値[万円] | 6.885 | 7.696 | 7.125 | 6.76 | 5.273 |
前年月同比[%] | -3.768 | -3.196 | -15.11 | +6.527 | +19.55 |
クレジット購入の少ない都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | |
---|---|---|---|---|---|
名称 | 全国 | 小都市B | 小都市A | 中都市 | 大都市 |
最新値[万円] | 6.885 | 5.273 | 6.76 | 7.125 | 7.696 |
前年月同比[%] | -3.768 | +19.55 | +6.527 | -15.11 | -3.196 |
これまでのクレジット購入の推移


詳細なデータとグラフ
クレジット購入の現状と今後
2020年1月から2025年3月までの家計調査データによると、無職世帯におけるクレジット購入の全国平均は6.885万円でした。このデータは、現役を引退した高齢者層などの無職世帯がどのように消費活動を行っているか、特に分割払いやカード決済という形でどれだけクレジットを活用しているかを示しています。
都市規模別に見ると、1世帯当たりのクレジット購入額は以下の順に高くなっています:
-
大都市:7.696万円(前年比-3.196%)
-
中都市:7.125万円(前年比-15.11%)
-
小都市A:6.76万円(前年比+6.527%)
-
小都市B:5.273万円(前年比+19.55%)
この数値から、都市規模と消費行動との関連性、地域経済の動向、そして無職世帯の暮らし向きの違いが読み取れます。
過去からのクレジット購入の推移と背景
かつて、無職世帯、特に高齢者層におけるクレジット購入は一般的ではありませんでした。日本では「現金主義」が根強く、特に年金生活者の中には「借金=悪」という価値観が存在していたためです。
しかし、2000年代後半以降、年金受給者を中心とする高齢者層にも「クレジットカードによるポイント還元」や「支払いの柔軟性」といった利点が浸透し、緩やかにクレジット利用が増加してきました。とりわけ、コロナ禍以降は非接触型決済の拡大により、現金離れが進行。ネットショッピングや配達サービスの拡大も一因となり、無職世帯の間でもクレジット購入が増加傾向にありました。
都市間での差異が示す経済状況の格差
都市別に見ると、大都市や中都市のクレジット購入額は高い一方で、前年比では減少しています。これは、以下の要因が複合的に影響していると考えられます:
-
大都市・中都市では生活コストが高く、支出抑制が進んだ可能性
-
医療・介護などの負担増により自由消費が減少
-
購買行動の見直し(節約志向)
逆に、小都市A・Bでは前年同期比でプラス。特に小都市Bで+19.55%と大幅に増加している点は注目に値します。小都市では、地域内の経済活動の回復や地元商店によるキャッシュレス推進、あるいは地方における生活様式の変化(ネット通販の普及など)が、クレジット活用の増加につながっていると考えられます。
世代間の特徴 — 高齢者と中高年のクレジット意識の差
無職世帯と一括りにしても、年代によってクレジットへの向き合い方には差があります。たとえば:
-
70代後半以上:現金主義が根強い。クレジット利用は公共料金や固定費の引き落としが主。
-
60代〜70代前半:リタイア後も現役に近い意識を持ち、ネットショッピングやサブスクなどクレジット活用が進む傾向。
-
50代後半の早期退職層:新しい消費様式に柔軟で、ポイント活用やキャンペーン参加にも積極的。
このように、無職世帯の中でも高齢者層の世代交代により、クレジット利用のパターンは今後さらに変化すると予測されます。
今後の展望と政策的課題
今後、以下のような動向が予想されます:
-
小都市におけるクレジット利用のさらなる普及 → 特に地元商店や自治体がキャッシュレス支払いを推進すれば、支出額が増える可能性があります。
-
大都市では頭打ち傾向も → 消費抑制が続けば、クレジット購入額は減少に転じるか横ばいになる可能性が高いです。
-
高齢者の金融教育・トラブル対策の重要性 → 利用が拡大する中で、詐欺被害や過剰与信を防ぐための仕組み作りが重要になります。
-
政府によるクレジットカードや電子マネー利用促進策の影響 → マイナポイントなどの制度によって、高齢層のデジタル決済導入が今後さらに進む可能性もあります。
まとめ
家計調査によるクレジット購入データは、無職世帯の暮らしの実態を示す貴重な指標です。都市規模による違い、世代交代による意識の変化、そして社会全体のキャッシュレス化の影響が複雑に絡み合いながら、今後もこの分野は動き続けると予想されます。特に地方都市における急伸は注目に値し、将来的には都市間のクレジット利用格差が縮小する可能性もあります。
コメント