2025年3月時点の家計調査によれば、無職世帯の月間経常収入の全国平均は4.308万円で、都市によって大きな格差が見られます。最も高い小都市Bは5.932万円で前年同期比+7.501%、最も低い大都市は3.592万円で同-5.241%と減少傾向です。これらの動向は、年金の受給水準や生活支援、家族構成、地域の経済状況と密接に関連しています。今後は高齢化と地域経済の変化により、経常収入の地域格差がさらに広がる懸念もあります。
経常収入の家計調査結果
経常収入の多い都市
経常収入の少ない都市
これまでの経常収入の推移


詳細なデータとグラフ
経常収入の現状と今後
「経常収入」は、無職世帯が日常的に得る安定した収入の合計を指し、主に公的年金、恩給、仕送り、社会保障給付金などが含まれます。臨時的な収入や資産売却とは異なり、生活基盤を支える中核的な収入源であり、無職世帯の生活の安定度を測る上で極めて重要な指標です。
全国平均と地域別の水準 ― 顕著な格差とその背景
2025年3月時点での全国平均は月額4.308万円である一方、小都市Bは5.932万円と高水準、大都市は3.592万円と最も低い水準にとどまっています。小都市Bで高い値が示されている要因としては、生活費の低さと家族間支援の厚さ、公的年金比率の高さなどが挙げられます。
一方、大都市では、核家族化や生活費の高さにより、収入に対して支出が上回る状況が多く、支援制度の相対的な手薄さが経常収入の低下に影響していると考えられます。
前年同期比の変化から見る傾向と警鐘
前年同期比で見ると、小都市Bは+7.501%と顕著な伸びを見せている一方、小都市A(-17.12%)と大都市(-5.241%)は大きく減少しています。これは地域間での社会保障政策の実施状況や、高齢者支援の制度的整備度合いが異なることを反映しています。特に小都市Aのような地域では、高齢世帯の単身化や移住による人口減少、地域経済の縮小が直接的に収入水準の低下につながっている可能性が高いです。
世代・家族構成による収入格差
無職世帯の経常収入は、年齢層や家族構成によっても差が大きくなります。例えば、単身高齢者世帯では収入源が年金のみに依存しやすく、平均値を下回るケースが目立ちます。一方、子どもや親族と同居する世帯では、仕送りや生活支援があることで平均を上回る傾向があります。都市部では単身高齢者の割合が高く、結果として経常収入が低くなりがちです。
将来の推移と課題 ― 高齢化と制度改革の中で
今後の日本社会では、さらなる高齢化の進行が確実視されており、公的年金制度の見直しや社会保障の財源確保が大きな課題となります。そのため、将来的に経常収入が全体として下落する可能性があります。また、地域ごとの経済活性化策の有無によって、都市間格差はさらに拡大する懸念もあるでしょう。
政府には、地方自治体との連携による生活支援の強化、年金以外の収入源(内職や福祉的就労)の創出支援などが求められます。とくに小都市Aや大都市のように減収傾向が顕著な地域に対しては、重点的な施策が不可欠です。
まとめ ― 地域間格差の是正がカギ
無職世帯における経常収入のデータからは、地域・家族構成・制度環境の違いによる構造的な格差が明らかになっています。特に大都市や人口減少が進む地方都市では減収傾向が深刻であり、今後の社会保障政策はこれらの地域特性を踏まえた上で、格差是正に重点を置くべきです。持続可能な高齢者支援体制の構築は、社会全体の安定にもつながる重要課題といえるでしょう。
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