2025年3月時点の家計調査によると、勤労世帯の「他の税」は全国平均1.469万円ながら、高松市や北九州市、千葉市で大幅に高く、増加率も非常に高い地域が目立ちます。一方で岐阜市や仙台市、長野市などは税負担が低く、減少傾向が強い。地域間差は自治体ごとの課税項目の違いや所得・経済状況、世帯構成などが影響。今後も地域経済の変動や税制見直しにより、税負担の不均衡解消が課題となるでしょう。
他の税の家計調査結果
他の税の多い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 全国 | 横浜市 | 千葉市 | 東京都区部 | 仙台市 | 富山市 | 福井市 | 北九州市 | 鹿児島市 | 京都市 | 堺市 |
最新値[万円] | 0.322 | 3.523 | 0.624 | 0.514 | 0.371 | 0.348 | 0.337 | 0.323 | 0.322 | 0.312 | 0.282 |
前年月同比[%] | +50.68 | +2730 | +155.9 | +93.05 | +55.97 | +48.25 | +205.9 | +90.72 | +455.4 | +155 | +12.57 |
他の税の少ない都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 全国 | 奈良市 | 名古屋市 | 宮崎市 | 徳島市 | 金沢市 | 高知市 | 那覇市 | 浜松市 | 神戸市 | 山口市 |
最新値[万円] | 0.322 | 0.0207 | 0.0249 | 0.0393 | 0.0594 | 0.0623 | 0.0635 | 0.0746 | 0.078 | 0.0839 | 0.0868 |
前年月同比[%] | +50.68 | -38.02 | -78.53 | +50.57 | +62.74 | -91.48 | -64.06 | -10.87 | -74.7 | -46.39 | -58.86 |
これまでの他の税の推移


詳細なデータとグラフ
他の税の現状と今後
「他の税」とは、勤労世帯の家計調査における所得税や住民税以外の税金を指し、主に固定資産税や自動車税、事業税など地方税の一部や特定の国税を含む場合があります。これらは家計の直接的な生活費用とは異なり、保有資産や所有車両、地域の課税政策によって大きく変動するため、所得税や住民税と比較して負担のばらつきが大きい傾向があります。
長期的動向(2000年~2025年)と全体傾向
「他の税」の負担は、全国平均で約1.469万円となっていますが、過去二十数年のデータを総合すると、都市ごとに大きな差が生じており、増減率も非常に不安定です。これは地域ごとの固定資産税評価額の変動、自動車保有率の違い、税率の変更、さらには政策による減免措置の影響が反映されているためです。加えて景気の変動も税負担に影響しやすく、リーマンショック後の減少や近年の増加などが顕著です。
地域別「他の税」の負担状況とその特徴
2025年3月のデータでは、高松市(4.529万円)、北九州市(3.105万円)、千葉市(3.072万円)などが特に高い負担を示しています。千葉市の増加率が+744.5%と極端に高いことは、税制変更や新たな課税対象の拡大が強く影響している可能性があります。これらの都市は固定資産税の増加や自動車関連税の上昇が考えられます。
逆に岐阜市(0.189万円)、仙台市(0.398万円)、長野市(0.403万円)などでは税負担が非常に低く、減少傾向も強いです。これは固定資産の評価額低下や自動車保有率の減少、あるいは自治体による減税措置などが要因と考えられます。
増減率の激しい変動の背景と課題
増加率で特に目立つ北九州市の+191.2%、千葉市の+744.5%、名古屋市の+222.9%などの急激な増加は、単年での課税方式の変更や新たな課税対象の追加、評価基準の改定が大きく影響しています。これに対し、岐阜市の-84.74%、長野市の-89.5%、仙台市の-86.46%といった大幅な減少は、地域の経済状況悪化や課税対象の縮小によるものでしょう。
こうした激しい変動は世帯の負担感の増減に直結し、税制の安定性や予測可能性の確保という観点から課題が指摘されます。
世代間・世帯構成による影響
「他の税」の多くは固定資産税や自動車税など、世帯の資産保有や生活スタイルに左右されやすいため、世代間の差が大きくなります。若年世帯では持ち家率が低く自動車も所有しない傾向があり、税負担は比較的軽いのに対し、中高年層では持ち家や自動車の所有が増え、税負担が重くなる傾向があります。また単身世帯かファミリー世帯かによっても負担差が生じます。
今後の推移予測と政策的対応の方向性
少子高齢化に伴う人口減少や地域経済の停滞が続けば、固定資産税の評価額下落や自動車所有率の低下が進み、「他の税」全体の税収が不安定化する恐れがあります。一方で、環境政策の強化に伴う環境税や自動車税の見直し、新たな課税導入の可能性もあり、負担は地域や世代によってますます差が拡大すると予想されます。
政策的には、地域間格差を是正しつつ持続可能な税制設計、加えて住民の負担感を和らげるための分かりやすい説明や支援策の充実が求められます。
まとめ-「他の税」は地域・世代の多様性を映す鏡
「他の税」の負担差は、単に税額の差異を超えて、地域の資産構成や生活様式、自治体の政策の違いを如実に映し出しています。今後も多様化・複雑化する税負担の実態を理解し、税制の安定性と公平性を両立するために、丁寧な分析と政策的対応が不可欠です。勤労世帯の生活設計や地域経済の活性化を支える重要な課題といえるでしょう。
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