地域別中古車支出の動向分析:北海道・四国が突出、都市圏との格差拡大

中古車



2025年3月時点の地域別中古車支出は全国平均4360円で、北海道が8623円と最多、関東が2803円と最少。北海道や四国は前年比で大幅増加している一方、東海・九州・関東など都市部中心の地域では大幅減少。地方では移動手段としての中古車需要が根強く、物価上昇と交通インフラの未整備が影響。一方、都市部ではカーシェアや公共交通の普及が進み支出は縮小傾向。今後も地域間で「必要性」による中古車支出の格差が顕著になると見込まれる。

地域別の中古車

1世帯当りの月間支出

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 北海道 東北 小都市B 九州・沖縄 東海 中都市 全国 小都市A 四国 関東
最新値[円] 4360 8623 8053 6491 6424 5552 4538 3948 3871 2977 2803
前年月同比[%] -15.82 +118.8 -17.5 -19.53 -29.57 -41.21 -2.492 -21.82 -43.92 +257 -33.39

 

これまでの地域別の推移

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最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

地域別の現状と今後

中古車は地域によって「生活必需品」としての位置づけが異なり、その支出額にも大きな違いが生じています。2025年3月のデータでは、地域ごとの月間支出に明確な傾向が見られ、地方と都市部でその背景が異なります。


北海道:突出した支出額と118%超の増加

北海道の月額中古車支出は8623円で、全国平均の約2倍に達し、前年同期比+118.8%と驚異的な伸びを示しました。

背景:

  • 公共交通の脆弱さ:地域によってはバスや電車がほぼ存在せず、自家用車は生活の根幹。

  • 冬季の耐久性ニーズ:塩害や凍結対策で車の買い替えサイクルが短く、中古車需要が安定。

  • 若年層の都市流出:所得が限られる高齢者世帯が安価な中古車を選好し、一定の支出を維持。


四国:257%増の急騰とその要因

四国は2977円と額こそ低いものの、前年比+257%と地域中最大の伸び率を記録。

考察:

  • 遅れていた中古車市場の活性化:近年になって地方販売ネットワークやローン制度が整備。

  • 過疎地での車依存:バス廃止や店舗撤退による「買い物難民」問題が車需要を刺激。

  • 物価上昇の影響:新車価格高騰で中古車にシフトした世帯が急増。


東北・九州・東海:減少傾向が示す構造変化

これらの地域はもともと車社会であるにもかかわらず、支出は大きく減少しています(東北-17.5%、九州・沖縄-29.57%、東海-41.21%)。

背景分析:

  • 家計圧迫:ガソリン代や整備費の上昇で、保有を見送る世帯が増加。

  • 車両の長期使用化:買い替えサイクルの延長で一時的に支出が減少。

  • 中古車価格の上昇:需要に比して流通量が限られ、価格高騰によって購入抑制が進行。


関東:都市型生活と支出縮小の典型

関東は月額支出2803円と全国最少、前年比-33.39%と大幅減少しています。

背景:

  • 公共交通の利便性:鉄道網の発達により、車が不要な生活が可能。

  • 若年層の車離れ:維持費負担や環境意識の高まりが影響。

  • カーシェアの普及:所有から利用へと価値観が転換し、支出としては表れにくい形態へ。


小都市・中都市:人口密度と車依存度の中間層

  • 小都市B(6491円)と小都市A(3871円)は、支出額に開きがありつつも、どちらも前年より減少傾向(-19.53%、-43.92%)。

  • 中都市(4538円)は比較的安定し、減少率も-2.49%にとどまる。

考察:

  • 多様な生活スタイルの混在:地域ごとに車の必要性が異なり、統一的傾向を示しにくい。

  • 郊外型ショッピングモールの増加:車を必要とする生活様式は維持されている。

  • 中古車価格の高騰抑制策:地場販売店の工夫や軽自動車シフトが支出を抑制。


今後の予測:地域別格差はさらに拡大

今後も「車が必要な地域」と「不要な地域」の差は拡大する見込みです。

地方:

  • 中古車への依存度は高止まり。特に高齢化・買い物難民対策の文脈で不可欠な手段として位置づけられ、行政支援と連動する形で中古車市場は一定の需要を保つと考えられます。

都市部:

  • シェアリング・モビリティの進展により「所有する車」への支出は減少傾向が続く。中古車市場は若者層では縮小し、特定のファミリー層・配送業用途などに限られる可能性があります。


まとめ:地域の「移動環境」が中古車支出の核心

中古車の支出は単なる嗜好ではなく、「地域における移動の必需性」を如実に表します。北海道のような交通弱者が多い地域では、車は生活インフラであり支出増は避けられません。一方、関東のような交通利便性の高い地域では、「所有しない選択」が合理的とされつつあります。今後は自治体・企業・交通インフラの整備方針によって、中古車の地域別支出はさらに多様化していくと予測されます。

 

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