地域別にみた新車の月間支出は2025年3月時点で平均19,170円。中でも**四国の支出は33,000円で前年比+282.7%**と急増し、他地域と大きく差がある。地方圏では自家用車の生活必需性が高く、新車購入への支出が堅調だが、一部地域では減少も見られ、地域ごとのインフラや経済状況の影響が色濃く出ている。今後は地方の車依存が続く中で、人口動態や経済格差による支出の二極化が進行する可能性がある。
地域別の新車
1世帯当りの月間支出
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 四国 | 小都市A | 北陸 | 中国 | 東海 | 九州・沖縄 | 小都市B | 中都市 | 全国 | 東北 |
最新値[円] | 19170 | 33000 | 24060 | 22930 | 22610 | 21370 | 19060 | 18970 | 18780 | 17520 | 17200 |
前年月同比[%] | +2.131 | +282.7 | +28.05 | +21.49 | +29.96 | +30.97 | +14.45 | -22.15 | -1.272 | -0.148 | -47.98 |
これまでの地域別の推移


詳細なデータとグラフ
地域別の現状と今後
2025年3月時点での全国平均は19,170円と、過去の水準に比してやや高めの水準を維持しているが、地域別に見ると格差が非常に大きいのが特徴である。最も高い四国の33,000円と、最下位の東北(17,200円)では倍近い差がある。これは単に所得や人口規模の問題ではなく、生活圏の構造や交通インフラ、地域文化が密接に影響していると考えられる。
四国の急増傾向とその背景
特筆すべきは、四国の前年比+282.7%という異常な伸びである。これは短期的には大口の新車購入(事業用や世帯集中購入)の影響で急上昇した可能性もあるが、長期的には以下の背景が考えられる。
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公共交通の脆弱性:四国の多くの地域では鉄道・バス網が縮小傾向にあり、自動車への依存度が極めて高い。
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高齢化と地方移住の両面:退職後に地方移住を選択する層や高齢者の生活足を確保するための買い替え需要が存在。
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新型軽自動車・ハイブリッド車の地域展開:地方販売強化戦略により、最新車種が比較的早期に流通。
このように、地域生活を維持するための“必需財”としての新車が、支出の急増を裏付けている。
中・小都市の新車支出の中間的な位置づけ
「小都市A」(24,060円)、「中都市」(18,780円)、「小都市B」(18,970円)といった都市別区分においても差がみられる。小都市Aの支出は堅調で前年比+28.05%、一方で小都市Bは-22.15%と対照的である。
これは都市の産業構造や人口減少速度の違いを反映していると考えられる。中小都市では依然として車社会が中心であるが、人口流出が激しい都市では車需要そのものが減退している可能性もある。
その他地域(北陸、中国、東海、九州・沖縄)
これらの地域ではおおむね前年からの増加率が15〜30%台と堅調であり、都市部と地方部の中間に位置する動きといえる。共通する要因としては:
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産業従事者(製造・建設・農業)の通勤・業務用ニーズ
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自家用車なしでは成り立たない居住環境
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EVや低燃費車への買い替えによる支出増加
特に北陸・中国・東海は地方圏ながらも経済基盤が比較的しっかりしており、安定した購買力を背景に堅調な支出が見られる。
東北地域の大幅減少とその意味
一方で、東北は前年比-47.98%と急減しており、これは非常に深刻な動向といえる。考えられる背景としては:
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若年層の流出と高齢化の進行
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震災後の復興・移住による人口構造の変化
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公共交通の復活やカーシェア利用の拡大
などが挙げられる。加えて、雪国特有の維持コスト(除雪・スタッドレス等)を避けるため、新車購入自体が抑制される傾向もある。
今後の地域別支出動向の予測
今後は以下のような傾向が想定される:
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地方圏の新車支出は引き続き堅調 → 公共交通が衰退している地域ほど、自動車の買い替えサイクルが維持されるため。
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都市圏・中都市の支出は二極化 → 収入差が拡大し、購買層が限定される一方、富裕層の大型車・EV購入が突出。
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東北や一部小都市ではさらに減退の可能性 → 過疎化と高齢化により、購入そのものが必要なくなる地域が出現。
地域ごとの車社会の強度、人口構成、インフラ整備状況が今後の鍵となる。
まとめ
新車支出は、単に「物価」や「所得」だけではなく、その地域で暮らす上での車の必要性に大きく左右される。四国のように支出が急増している地域は生活と自動車が直結しており、逆に都市インフラが整い始めた地域では支出が抑えられる傾向も見られる。今後は、新車支出をめぐる「地域格差」がより鮮明になっていく可能性が高く、政策面でも交通と地域活性の両立が課題となるだろう。
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