2025年3月時点の地域別食器戸棚の月間支出は平均80.07円で、近畿が160円と最多。東海(112円・+239.4%)や小都市B(116円・+36.47%)なども上昇傾向。一方で北海道(-66.14%)や北陸(-71.47%)は大幅減。地域特性として、都市の住宅様式や再開発、単身世帯率、収納付き住宅の普及状況が支出差を生んでいる。今後は収納一体型住宅の増加やライフスタイルの都市集中化により、地域間格差がさらに広がる可能性がある。
地域別の食器戸棚
1世帯当りの月間支出
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 近畿 | 北海道 | 小都市B | 東海 | 北陸 | 中都市 | 九州・沖縄 | 全国 | 大都市 | 小都市A |
最新値[円] | 80.07 | 160 | 128 | 116 | 112 | 93 | 89 | 86 | 82 | 70 | 68 |
前年月同比[%] | -29.05 | +58.42 | -66.14 | +36.47 | +239.4 | -71.47 | -27.05 | +32.31 | -9.89 | -25.53 | +47.83 |
これまでの地域別の推移


詳細なデータとグラフ
地域別の現状と今後
2025年3月時点での地域別に見る食器戸棚の月間平均支出は80.07円。地域ごとの支出には大きな差があり、最も高い近畿(160円)と最も低い小都市A(68円)では2倍以上の開きがある。
以下は上位の支出地域:
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近畿:160円(+58.42%)
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北海道:128円(-66.14%)
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小都市B:116円(+36.47%)
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東海:112円(+239.4%)
下位には以下の地域が並ぶ:
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中都市:89円(-27.05%)
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大都市:70円(-25.53%)
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小都市A:68円(+47.83%)
地域別の特徴と背景分析
地域別の支出差には、次のような要因が考えられます。
近畿(160円・+58.42%)
戸建比率が比較的高く、またリフォーム・買い替え文化が根強いため、家具類に対する投資意欲が高い地域。近年の再開発地区での新居入居も背景にあると推察。
東海(112円・+239.4%)
支出の伸び率が非常に高く、短期間に購買が集中した可能性。新築戸建需要や、郊外の大型商業施設での家具購入促進策が影響していると考えられる。
北海道(128円・-66.14%)
一時的な支出が高水準だった反動減か、あるいは人口減少・世帯数の減により、買い替えや新規購入の必要性が薄れてきた。寒冷地では壁面収納付き住宅も多く、独立型食器棚のニーズが減少している可能性も。
小都市B(116円・+36.47%)
郊外や地方中核都市に該当すると思われ、住宅価格が安価なため広めの家屋が多く、収納家具の設置余地がある。家具の地場メーカーや量販店が強い地域では支出が安定的に推移しやすい。
大都市(70円・-25.53%)
マンション中心で収納が既設の物件が多く、家具購入は抑えられる傾向。在宅時間の短さや省スペース志向も影響している。
ライフスタイルと地域性の関係
地域ごとの生活様式は、家具への支出と密接に関係しています。
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郊外や地方都市では広い住宅が一般的で、収納家具を自ら選んで購入する傾向が根強い。
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都市部・大都市圏では、既製の収納やシステムキッチン付きの物件が多く、食器棚を個別に購入する需要が限定的。
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人口動態としては、単身世帯が多い都市部では簡易収納家具が選ばれる一方、家族世帯が多い地域では大型のしっかりした家具が好まれる。
家具市場・流通面の地域格差
家具販売チャネルの地域差も支出に影響しています。
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東海や近畿では地場に強い家具チェーンやアウトレットが多く、購買機会が多い。
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北海道や北陸では、流通コストや配送事情が家具の価格に反映されやすく、買い替え頻度が低い。
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大都市圏ではIKEAやニトリの都市型店舗が増えているが、狭小住宅では大型食器棚の需要自体が少ない。
今後の予測と地域格差の広がり
今後の地域別支出は、以下のような動向が想定されます。
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高支出地域(近畿・東海)は、家具の買い替え需要や住宅更新により高水準を維持。ただし、ピークアウト後は緩やかに安定する可能性がある。
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低支出地域(大都市・中都市)は、省スペース志向・収納一体型住宅の普及が進み、支出がさらに抑制される。
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地方都市(小都市A/B)は、地場の家具文化が支出を支えており、家具消費の最後の砦として残る可能性も。
一方で、全国的にミニマル志向や収納統合型設計が主流化することで、独立型食器戸棚の役割は今後さらに限定的になると予測されます。
家具選びと生活設計への示唆
地域別の支出から見えるのは、「家具は住宅環境と密接に結びついている」という事実です。
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家具を長く使う地方と、頻繁に住み替える都市部では、求める家具の耐久性・価格帯が異なる。
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住宅供給側がどのような収納計画を取るかで、家具支出は大きく左右される。
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消費者も「家の間取り・収納力」と「自分のライフスタイル」に合った家具選びをすることが今後ますます重要となる。
結語
地域別の食器戸棚支出は、単なる価格差ではなく、「暮らし方」「住環境」「地域文化」の総体を映す鏡である。地域によって住宅の構造や生活様式が異なる日本において、家具支出は今後ますます細分化・分極化していくことが予想される。その動きを丁寧に読むことが、住宅政策・家具市場の未来を見通す鍵となるだろう。
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