2002年から2025年までの「机・いす」に関する年齢別月間支出データを見ると、40代前半を中心に支出が増加しており、特に40~44歳層では前年比+68.66%と顕著な伸びを示しています。一方、50代以降は支出が大きく減少しており、世代ごとのライフスタイルの違いや生活環境の変化が反映されています。今後は、働き盛りの世代を中心に機能性や快適性を重視した家具需要が伸びる一方で、高齢層では消費抑制と省スペース化が進むと予測されます。
年齢別の机・いす
1世帯当りの月間支出
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 40~44歳 | 35~44歳 | 40~49歳 | 30~39歳 | 35~39歳 | 45~49歳 | ~34歳 | 45~54歳 | 50~54歳 | 50~59歳 |
最新値[円] | 258.1 | 565 | 529 | 499 | 484 | 470 | 450 | 396 | 343 | 257 | 239 |
前年月同比[%] | -14.12 | +68.66 | +61.77 | +15.51 | +11.52 | +49.21 | -10.36 | -53.52 | -22.92 | -35.43 | -40.4 |
これまでの年齢別の推移


詳細なデータとグラフ
年齢別の現状と今後
家庭用家具、とりわけ「机・いす」は、個人や世帯の生活段階や就労・学習環境を如実に反映するアイテムです。年齢層によって「なぜ、どれだけ支出するのか」という背景が大きく異なります。本章では年齢別の支出動向とその要因、そして今後の市場の予測を丁寧に紐解いていきます。
年齢別支出額の分布と注目ポイント
最新の年齢別平均支出は月258.1円ですが、特に以下の層が全体平均を大きく上回っています:
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40~44歳:565円(+68.66%)
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35~44歳:529円(+61.77%)
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40~49歳:499円(+15.51%)
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30~39歳:484円(+11.52%)
このように、30代後半から40代にかけての層が「机・いす」への支出の主役となっており、子育て世帯の学習環境整備や自身の在宅勤務環境の充実などが主な要因と考えられます。
急増と急減 ― 増減率から見る世代の家具意識
一方で、以下の層では前年比で大きな支出減が見られました:
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~34歳:396円(-53.52%)
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45~54歳:343円(-22.92%)
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50~59歳:239円(-40.4%)
若年層では転居の頻度が高く、家具にコストをかけることを避ける傾向が強まっています。また、中高年層では生活空間の再整理や物を減らす意識が浸透しており、結果として家具の買い替え頻度が落ちています。
2000年代からの長期的な推移
2002年からの20年間、年齢別支出には以下の傾向が見られました:
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2000年代前半:全体的に安定。家具は長期使用が前提であり、大きな変動なし。
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2010年代前半:共働き世帯や核家族の増加で30〜40代の支出が上昇傾向。
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2020年以降:コロナ禍により、在宅勤務対応として再び「机・いす」支出が増加。ただし高齢層は反応が鈍い。
コロナ禍以降の家具支出の変化は一時的なブームだけでなく、「仕事や学習の場所としての家庭空間」に対する意識の変化も背景にあります。
年齢層別の特徴と家具選びの傾向
~34歳:
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ミニマル志向やシェア・レンタル利用が主流
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支出は控えめで、引っ越しや賃貸物件の事情も影響
35~44歳:
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学齢期の子どもがいる世帯が多く、学習机や作業用デスクに積極投資
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在宅勤務対応として、自分のワークスペースへのこだわりも強まる
45~54歳:
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子どもの独立やライフスタイルの変化で家具の買い替えは減少傾向
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家の中の整理を進め、「減らす」方向の支出調整
55~59歳:
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定年やリタイア準備段階で、家具は「長く使うもの」から「不要なもの」へ
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支出は必要最小限にとどまる傾向
今後の展望と予測
若年層(~34歳):
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支出は今後も控えめだが、低価格・高機能・組立簡便型家具の需要増加
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サブスクリプション型家具サービスへの親和性が高い
働き盛り層(30~44歳):
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自宅の生産性向上がキーワードとなり、高機能かつスタイリッシュな家具が選ばれる
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今後も支出は安定的か微増傾向
中高年層(45歳以降):
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支出はさらに縮小傾向
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リフォームや空間リノベーションと連動する家具需要が限定的に発生する可能性あり
まとめ
年齢別に見た「机・いす」への支出は、人生のフェーズと密接に連動しています。特に30代後半から40代前半が家具市場を牽引しており、学習・仕事・育児という複数のニーズを同時に満たす機能性が求められています。一方で、若年層や高齢層は支出を控えつつ、自分にとっての「必要最小限」の家具を選ぶ傾向にあり、今後もこの傾向は強まるでしょう。
メーカーや販売業者にとっては、「年齢別ニーズに即したマーケティング」こそが競争力の源になると考えられます。
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