2002年から2025年までの物価推移を踏まえた、年収別における「机・いす」への月間支出額は、富裕層が多く支出する一方で中間層・低所得層の支出額は限られています。特に近年では、高所得層の支出減少や中堅層の支出急増が目立ち、コロナ禍によるテレワーク需要の波及や物価高の影響が色濃く反映されています。今後は高付加価値・実用性を重視した支出傾向が続くと見込まれ、所得別の消費スタイルもさらに多様化するでしょう。
年収別の机・いす
1世帯当りの月間支出
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 2000万~ | 1000~1250万 | 900~1000万 | 500~600万 | 800~900万 | 1250~1500万 | 1500~2000万 | 600~700万 | 300~400万 | 700~800万 |
最新値[円] | 319.4 | 1258 | 627 | 494 | 354 | 322 | 312 | 257 | 140 | 119 | 116 |
前年月同比[%] | -15.88 | -20.98 | +67.65 | +4 | +49.37 | -31.92 | -61.43 | +147.1 | -63.54 | +4.386 | -45.54 |
これまでの年収別の推移


詳細なデータとグラフ
年収別の現状と今後
「机・いす」は生活や仕事の質に直結する家具であり、家庭の経済力や生活様式を強く反映する品目です。本分析では2002年から2025年までの長期的な統計に基づき、特に年収別に見た支出動向と変化の背景、そして今後の動向について多角的に考察します。
年収別支出ランキングの読み解き
最新の平均支出は319.4円とされる中で、最も支出が多いのは年収2000万円以上の世帯(1258円)であり、次に1000~1250万円(627円)、900~1000万円(494円)と続きます。これは、収入が高い世帯ほど高品質な家具を選ぶ傾向があるためと考えられます。また、500~600万円の中堅層も354円と健闘しており、在宅勤務の定着や子どもの学習環境整備に伴い、比較的堅実に支出をしていることが伺えます。
一方、600~800万円帯の支出は140円、116円と意外に低く、生活費全体のバランスを優先している可能性が高いと見られます。
増減率から見る変動の要因
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最も支出が急増したのは1500~2000万円層(+147.1%)であり、これまで抑制されていた家具支出に再び関心が向き始めたと考えられます。
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一方で1250~1500万円層は-61.43%、600~700万円層は-63.54%と大幅減少しており、物価上昇や住宅事情の変化、ライフスタイルの見直しが影響していると推察されます。
また、1000~1250万円層は+67.65%の増加で、富裕層に近い層での「買い替え需要」や「在宅環境の再構築」が背景にあると見られます。
過去20年の動向と背景
2002年から2020年代前半までの間、家具への支出は概ね横ばいから微増傾向にありましたが、2020年の新型コロナウイルス以降の在宅勤務の浸透により、机・椅子への支出は一時的に高まりました。その後は「買い替えサイクル」が一巡し、2023~2025年には減少傾向に転じた層も見られます。
一方、若年層や低所得層はリサイクルやサブスクリプション家具の活用にシフトしつつあります。
年収別の支出傾向とその特徴
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2000万円以上層は、デザイン性・ブランド志向が強く、高額商品への集中投資傾向
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1000万円前後の層は、家庭の学習環境やワークスペースへの機能的投資を重視
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500~700万円層は、実用性とコストパフォーマンスの両立を模索
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300~400万円層以下は、新品よりも中古・レンタル家具への関心が高まっており、消費の形態が異なります
今後の予測と家具市場への示唆
今後は以下のような傾向が進むと予測されます。
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高所得層は「サステナブル家具」や「カスタム家具」など高付加価値品に投資
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中間層は「多機能性」と「省スペース」を重視した選定にシフト
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低所得層では家具そのものの購入頻度が減少し、シェアリングや中古市場が拡大
また、物価上昇や資源価格の変動に伴い、「買い控え」や「価格重視」のトレンドはしばらく続くでしょう。
まとめ
「机・いす」という家具一つとっても、世帯の年収やライフスタイルの違いが色濃く反映されています。支出が多い層=豊かとは限らず、支出を抑えている層も明確な価値観や事情があります。今後も家具に対するニーズは多様化し、所得や世代に応じたマーケティング戦略が重要になると考えられます。
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