2025年3月時点での地域別の机・いすの支出額では、四国や中国、北海道が全国平均を大きく上回っており、地方圏での家具需要の高さが目立つ。一方、東海や小都市Aでは大幅な減少が見られる。これは在宅環境の整備状況や住居スペース、転入転出の動向、物価変動への対応力など、地域ごとの生活様式の違いが反映されていると考えられる。今後は地方と都市部で家具消費の二極化が進行し、地域格差がより鮮明になる可能性がある。
地域別の机・いす
1世帯当りの月間支出
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 四国 | 中国 | 北海道 | 中都市 | 関東 | 大都市 | 全国 | 北陸 | 小都市A | 東海 |
最新値[円] | 252.7 | 543 | 532 | 326 | 301 | 285 | 247 | 236 | 198 | 194 | 147 |
前年月同比[%] | -8.175 | -35.13 | +158.3 | +96.39 | +7.885 | +41.09 | -8.856 | -7.813 | +57.14 | -23.62 | -61.01 |
これまでの地域別の推移


詳細なデータとグラフ
地域別の現状と今後
2025年3月時点の地域別の机・いすの支出平均は252.7円。これは全国的な消費水準の中で中庸にあたるが、地域間の格差は大きく、最高の四国(543円)と最低の東海(147円)では実に約4倍の差がある。このような差異は、地域ごとの住居環境や労働形態、生活文化、人口動態などの複合的な要因に起因している。
支出が高い地域―四国・中国・北海道の背景
四国(543円):支出は高水準だが前年比減
四国はこれまで地方都市ならではの住居の広さや、在宅時間の長さなどから、家具購入への投資が高い傾向が続いていた。しかし、今回のデータでは前年比-35.13%と大幅な減少が見られる。これは、過去にまとめ買いされた影響や、物価上昇による節約志向の高まりが原因と考えられる。
中国地方(532円):急増の背景は世代交代と住宅需要
前年比+158.3%という突出した伸びが見られた中国地方では、若年層の定住やリモートワーク環境の整備による新たな家具需要が生じた可能性がある。都市部との価格差や、住宅の新築・改築ラッシュが影響しているとみられる。
北海道(326円):気候と広い住居の特性
北海道も前年比+96.39%と大幅な増加を見せている。寒冷な気候から在宅時間が長く、室内環境の快適さに対する意識が強いことに加え、住居スペースの広さがデスク・チェアの設置を促す。家具の更新需要と相まって支出が増加したと考えられる。
中都市・関東圏の堅調な支出と変化
中都市(301円)・関東(285円)
これらの地域では、都市部と地方の中間的な位置づけで、比較的安定した家具支出が見られる。特に関東では+41.09%と堅調な増加があり、首都圏でのリモートワーク再拡大や新生活の需要が表れていると考えられる。また、住環境改善のための投資が引き続き続いている様子も読み取れる。
支出が低い地域―東海・小都市・北陸の事情
東海地方(147円):大幅な減少の背景
-61.01%という非常に大きな減少が見られた東海地方では、耐久消費財の買い替え周期の谷間に当たっている可能性がある。また、製造業中心の労働環境では出勤型の働き方が多く、机・いすの購入が他地域ほど重要視されない背景も考えられる。
小都市A(194円):地方圏の経済抑制
小規模自治体に属する「小都市A」では、人口減少や物価高により消費が抑制されやすく、前年比-23.62%と減少幅も大きい。中高年層中心の人口構成も、家具の更新需要の停滞に拍車をかけている。
北陸(198円):意外な支出増加
北陸では+57.14%の増加が見られ、再開発や地方移住の促進により、若年層や子育て世帯の流入が進んでいる可能性がある。これは地方創生政策の効果が家具消費にも表れている一例と見ることができる。
地域別家具支出に影響する主な要素
以下の要因が地域ごとの差を生み出している:
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住居の広さと価格水準:地方の持ち家は広く、家具の導入がしやすい。
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就労形態と在宅率:在宅勤務や高齢者の割合が高い地域では机・いすの使用頻度が増す。
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物価と節約意識:都市部は物価高から支出抑制傾向、地方は逆に住宅余裕が支出を促す。
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人口構成と移住動向:若年層流入の多い地域は家具需要が増加しやすい。
今後の予測と展望
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四国・中国・北海道など地方圏では、家具支出の波はあるが総じて高水準が維持されると見込まれる。地方移住やテレワーク環境整備の継続が後押しとなる。
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関東・中都市圏では安定した需要が続き、住宅事情の変化によって支出水準の微調整が起こる。
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東海・小都市Aなど支出減少地域では、構造的な経済停滞と住環境の固定化により支出は低迷する可能性がある。
一方で、地方自治体による移住支援や住環境整備支援が続けば、消費の再浮上も期待でき、地域ごとの政策対応が家具支出の差をさらに拡大・縮小させる重要なファクターとなる。
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