タンスの世帯別支出は、家族の人数によって大きく異なり、5人以上の世帯で高く、単身・高齢世帯で低い傾向があります。住宅構造の変化や収納スタイルの多様化により全体として支出は減少傾向ですが、子育て世帯や介護中の高齢世帯などでは一定の需要が継続しています。今後は省スペース型や高齢者向け家具が成長分野となる見通しです。
世帯別のタンス
1世帯当りの月間支出
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | |
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名称 | 平均 | 世帯5人 | 世帯6人~ | 世帯3人 | 就業者2人 | 就業者1人 | 就業者3人~ | 世帯4人 | 世帯2人 | 就業者0人 |
最新値[円] | 137.4 | 293 | 285 | 175 | 142 | 111 | 108 | 105 | 38 | 12 |
前年月同比[%] | -6.212 | -7.862 | +33.8 | +6.707 | -17.44 | +14.43 | -32.92 | -33.96 | -26.92 | +20 |
これまでの世帯別の推移


詳細なデータとグラフ
世帯別の現状と今後
タンスはかつて日本の家庭に不可欠な家具でしたが、近年は収納スタイルや住宅構造の変化により、その支出は全体として減少傾向にあります。特に世帯構成によって支出傾向が大きく異なることがデータから明らかです。ここでは、2002年から2025年3月までの長期データを基に、世帯別のタンス支出の実態と課題、そして今後の展望について考察します。
世帯規模による支出の違いと背景
最新データによると、タンスへの月間支出は世帯5人が最も高く293円、次いで6人以上の世帯が285円、3人世帯が175円と続きます。これは家族が多いほど収納スペースの必要性が増し、家具購入の機会が生じやすいことを示しています。特に子育て中の家庭では成長に伴う収納の追加が必要になり、タンスの購入や買い替えが一定の需要を持っています。
一方、就業者0人の世帯(高齢者世帯に多いと推定される)はわずか12円で、家具の買い替えが少なく、既存の家具を長期間使用する傾向が読み取れます。就業者が複数いる世帯や中規模世帯(2〜4人)では、100〜140円前後と中間的な支出が見られます。
支出増減の背景と課題
前年比で支出が増加したのは、就業者0人(+20%)、世帯6人以上(+33.8%)、世帯3人(+6.7%)、就業者1人(+14.4%)といった一部にとどまりました。特に就業者0人世帯の増加は、介護や生活環境の見直しによる収納改善が考えられます。
一方、世帯4人(-33.96%)や就業者3人以上(-32.92%)、世帯2人(-26.92%)のように、広い層で支出が減っており、収納家具に対する消費意欲の減退がうかがえます。これは、クローゼット付き住宅の増加、ミニマリズムの浸透、ネットでの中古家具の流通拡大といった社会的要因の影響を受けていると考えられます。
今後の見通しと注目点
今後、タンスの需要は以下の点で二極化すると予測されます:
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大家族世帯でのニーズの継続:5人以上の世帯では引き続き一定の収納ニーズが見込まれます。ただし、収納効率の良い家具や、折りたたみ・移動式の収納具にシフトする可能性もあります。
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高齢世帯でのリプレース需要:安全性を重視した軽量家具への買い替えが一部で進む可能性があり、バリアフリー家具市場と交差する動きが出てくるかもしれません。
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小世帯・若年世帯の支出減少:1~2人世帯では今後も支出が抑えられ、タンスよりも簡易収納やデジタル化(例:衣類の圧縮・減少)に流れる動きが強まりそうです。
政策・企業への示唆
高齢化社会の中で、安全で省スペースな収納家具の開発は市場の鍵となります。また、子育て世帯への家具購入支援(クーポンやポイント還元)なども、生活支援政策として有効です。企業側も、世帯構成の変化に合わせた商品提案が求められます。
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