2021年から2025年3月までのデータでは、アクセサリーの年齢別月間支出において、29歳以下(704円)と高齢層(60〜64歳:660円)が支出額上位を占めており、29歳以下では1228%という驚異的な増加率が記録されています。これは若年層のSNS影響や「自分磨き」志向、高齢層の自己投資・終活意識の高まりを反映したものです。一方、55〜59歳層では支出が大幅減少。本稿では、年齢別消費の背景と今後の展望を章立てで詳述します。
年齢別のアクセサリー
1世帯当りの月間使用料
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | ~29歳 | 40~44歳 | 60~64歳 | 60~69歳 | 65~69歳 | 55~64歳 | 40~49歳 | 35~44歳 | 45~49歳 | 55~59歳 |
最新値[円] | 327.9 | 704 | 666 | 660 | 611 | 569 | 527 | 516 | 439 | 403 | 384 |
前年月同比[%] | -27.54 | 1228 | 35.37 | 192 | 176.5 | 163.4 | -29.26 | -9.79 | -7.579 | -36.03 | -71.24 |
これまでの年齢別の推移


詳細なデータとグラフ
年齢別の現状と今後
アクセサリーは、ファッションだけでなくアイデンティティやライフステージを象徴するツールでもあります。年齢に応じて用途や目的が変化する中で、支出の実態はその世代の価値観と経済状況を如実に反映しています。
年齢別支出の実態と特徴
2025年3月時点のデータから見ると、アクセサリーへの支出額の上位層は若年層と高齢層に集中しています。
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29歳以下:704円(前年比+1228%)
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40~44歳:666円(+35.37%)
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60~64歳:660円(+192%)
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60~69歳:611円(+176.5%)
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65~69歳:569円(+163.4%)
一方で、中年層の一部、特に55~59歳は384円で前年比-71.24%と大幅減少しており、世代間の消費行動が鮮明に分かれています。
世代別支出増減の背景分析
若年層(~29歳):SNSと“自分磨き経済”の象徴
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大幅な増加(+1228%)の理由:
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コロナ禍明けの外出・イベント需要の急回復
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SNS・TikTokを通じた「見せる」ファッション意識の高まり
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プチプラ・セレクトショップ・韓国系ブランドの台頭によりアクセシビリティが向上
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この世代では「高価な装飾品」よりも「着回せるデザイン性」「トレンド性」を重視した消費行動が中心です。
高齢層(60~69歳):自己実現と終活の意識
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増加傾向(+160~190%)の理由:
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定年後のゆとりある時間を活かした「自分のための支出」
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終活・人付き合い・法事など、社会的役割の中での“装い”の重要性
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「高齢でもおしゃれに」という社会風潮の広がり
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退職金や年金をベースに、自分のための贅沢を許容する風潮も背景にあります。
中高年層(40~59歳):支出抑制と実用志向
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支出の減少(特に55~59歳で-71.24%)の理由:
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子育てや介護、住宅ローンなど経済的負担が大きい世代
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「モノよりコト」消費の志向が進んでいる
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自分にかける支出が二の次になりがち
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この層は「アクセサリー=贅沢品」と認識しやすく、支出削減の対象にもなりやすい傾向があります。
世代ごとの価値観と消費パターンの違い
世代 | 主な動機 | 支出傾向 | 影響要因 |
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~29歳 | SNS映え、自分磨き | トレンド重視・安価でも回数多い | インフルエンサー、韓国ファッション |
30~44歳 | 仕事・家庭・趣味 | バランス型、機能性も重視 | 子育て支出との兼ね合い |
45~59歳 | 実用・節約志向 | 減少傾向 | 教育費・住宅費のピーク |
60~69歳 | 自己表現・社交・終活 | 高級志向も一部 | 余暇・地域活動・人付き合い |
今後の推移予測と市場への提言
若年層:
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今後もSNS起点のトレンドアクセ需要が継続
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AIによるパーソナルスタイル提案やAR試着など新技術と親和性高く、EC経由の消費が主流化
中年層:
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当面は支出抑制傾向が継続
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一方で、サステナブル素材や長く使える品質の高いアイテムに価値を感じる消費者も増える可能性
高齢層:
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60代は今後もアクセサリー消費の“隠れ主役”に
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高級感と簡便性を両立する商品(軽量・着脱しやすい・医療対応素材など)が求められる
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アクティブシニア市場との親和性も高く、贈答・生前整理・終活分野と連動した提案が鍵
まとめ ― 年齢を超えて広がる“個性表現”のアクセサリー文化
今やアクセサリーは単なる装飾品ではなく、「その人らしさ」や「生き方」を語るアイテムとなっています。世代ごとに動機や支出は異なりますが、共通するのは“個性を大切にする”姿勢です。
若年層と高齢層に支出が集中する現象は、経済的余裕よりも「自己表現の自由」が広がっている証とも言えるでしょう。
今後の市場戦略では、年齢ではなく“ライフスタイル”を基軸にした提案がより重要になっていくと考えられます。
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