2021年から2025年3月までのデータによると、アクセサリーへの月間支出は年収が高いほど多い傾向があるものの、2000万円以上の層では前年同期比で大幅に減少(-59.03%)し、逆に800〜900万円層で101.8%の急増が見られます。中堅層の消費意欲が回復傾向にある一方、超高所得層では消費の選別化が進んでいます。本稿では、年収別支出の特徴と背景、今後の見通しについて章立てで解説します。
年収別のアクセサリー
1世帯当りの月間使用料
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 2000万~ | 1500~2000万 | 1000~1250万 | 800~900万 | 700~800万 | 900~1000万 | 400~500万 | 1250~1500万 | 300~400万 | 600~700万 |
最新値[円] | 565.8 | 2696 | 1709 | 670 | 573 | 537 | 371 | 327 | 287 | 125 | 114 |
前年月同比[%] | -41.98 | -59.03 | 29.96 | 24.07 | 101.8 | 27.86 | -72.72 | -51.19 | -73 | -50 | -57.62 |
これまでの年収別の推移


詳細なデータとグラフ
年収別の現状と今後
アクセサリーはファッションの仕上げであり、時に自己表現の象徴であり、贈答文化や資産的価値も含む複合的な商品です。その支出額は家庭の可処分所得や価値観に直結しやすく、年収別での傾向を見れば、家計行動や心理的消費傾向が見えてきます。
年収別支出の実態と階層構造
最新データによると、2025年3月時点でのアクセサリーの年収別平均支出は565.8円であり、明確な所得階層による違いが表れています。
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最も高いのは2000万円以上(2696円)
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次いで1500~2000万円(1709円)、1000~1250万円(670円)
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中堅層(700~900万円)は500円台で拮抗
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400~700万円や300~400万円層は300円以下
これは「収入が高い=自由に使えるお金が多い」ことを示していますが、同時に中間層からの“意識的な消費”の盛り上がりも見られます。
前年同期比から見える消費傾向の変化
前年同期比ではいくつかの逆転現象が起きています:
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800~900万円層は+101.8%と大きく増加 → コロナ禍明けの自己投資需要や、家庭内余裕の回復が反映
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1000~1250万円、1500~2000万円層もプラス成長 → 相対的に安定した雇用と資産運用の恩恵
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一方で、2000万円以上や1250~1500万円層での支出は大幅減少(-59.03%、-73%) → 富裕層の支出は投資・資産保全志向へと移行し、物品購入は選別される傾向に
また、年収600~700万円や300~500万円の中下層でも大幅な減少(-50%前後)が見られ、物価上昇に伴う「非必需品の抑制」が浮き彫りとなっています。
年収層ごとの消費スタイルと文化的背景
各年収層には、それぞれ異なるアクセサリー消費のスタイルが見られます。
2000万~:選別型・体験重視
高所得層は「モノ」より「コト」への消費が進み、アクセサリーも一点豪華主義・オーダーメイドなどを重視。数ではなく“特別感”を求め、支出総額は減っても単価は高い。
1000~1500万円:分散型・多目的消費
この層は家庭・仕事・自己表現など多用途にアクセサリーを用い、価格とデザインのバランスを重視。
700~900万円:再評価型・成長志向
生活にゆとりが出始め、ブランドへの関心やSNS映えを意識した“自分投資”が活性化。
300~600万円:節約型・機会消費
限られた支出の中で、誕生日や記念日など「特別な機会」に限定した消費が中心。リユース市場の利用も進む。
今後の推移予測と政策的・商業的示唆
今後のアクセサリー支出は、年収層ごとに次のような展開が想定されます。
高所得層:
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インフレ懸念と税制強化により消費の抑制傾向は続く
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一方で、ラグジュアリーブランドとのコラボや限定商品などは一定層に需要が残る
中堅層(700~900万円):
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生活安定化とともに支出の主役層へ台頭
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ブランドのターゲティングもこの層を重視するようになると予想
中下層(300~600万円):
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物価高と実質賃金の低下で引き続き慎重姿勢
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一方で、サブスクやレンタル、フリマアプリの活用で“所有せず楽しむ”流れが浸透
まとめ ― アクセサリーは「贅沢」から「選択」へ
かつては贅沢品だったアクセサリーも、今では消費者の「価値観の反映」としての側面が強まっています。収入が高くても必ずしも支出が多くない層があり、逆に限られた収入でも投資的に消費する層も増えています。
今後は、ブランド・小売・地方自治体いずれにおいても、“誰に・どのようなアクセサリーを提供するか”の戦略が問われる時代になるでしょう。
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