腕時計支出、民営住宅が最多に｜持ち家層では支出減少が顕著

腕時計の住宅別月間支出において、2025年3月時点での平均は263.1円。特に民営住宅では546円と支出が最も高く、給与住宅や都市再生機構などの賃貸系でも増加傾向が見られます。一方、持ち家層（ローン有無を問わず）では前年同期比で大きく減少。これは住宅負担や家計全体の節約志向が影響していると考えられます。今後は、家賃に余裕がある層や単身若年層を中心にアクセサリー支出が継続される見込みです。

2021年1月から2025年3月までの統計に基づくと、日本における住宅別の腕時計に対する月間支出額の平均は263.1円。住宅の形態によって支出傾向が大きく異なる点が特徴であり、居住形態が消費意欲に影響を与えていることがうかがえます。特に民営住宅に居住する世帯は546円と他の属性を圧倒しており、支出の差は住宅形式による生活環境の違いと密接に関係しています。

住宅別支出傾向の詳細分析

民営住宅

民営住宅居住者の腕時計支出は546円と最も高く、前年比でも35.82%の増加を記録。民営賃貸に住む層は比較的自由なライフスタイルを持つ若年〜中堅層が多く、流行やファッションに敏感で、腕時計をアクセサリーとして楽しむ傾向があります。また、都心部や利便性の高い地域に住む世帯が多いため、外見的装飾やビジネス需要としての腕時計の役割も大きいと考えられます。

持ち家（住宅ローン有・無）

持ち家全体としては267円と平均程度の支出だが、前年同期比では住宅ローンありで-38.42%、ローンなしの持ち家も-38.62%と大幅な減少が見られます。これは、住宅取得後の家計負担増や固定資産税等の支出により、贅沢品や嗜好品への出費が抑えられる傾向を反映しています。また、持ち家世帯は中高年層が多く、腕時計の買い替え頻度が低いことも一因です。

給与住宅

給与住宅においては前年比+119.2%という極めて高い伸びを示しています。これは企業提供の社宅に住む世帯が、家賃補助などにより生活費に余裕を持ちやすく、個人消費への転化が起きている可能性があります。とくに、都市部の企業勤務者で、外見を整える必要性のある職種に従事する人々では、腕時計の需要が一定の役割を果たしていると考えられます。

都市再生機構・公社住宅、公営住宅

都市再生機構・公社等では前年比+45.24%の増加、公営住宅では52円と支出額が最も低く、前年比でも-10.34%と減少傾向です。これらの住宅層では、収入が限定的な世帯が多く、家計における娯楽・嗜好品支出の優先度が低くなりやすいことが背景にあります。ただし都市再生機構のように中所得層も混在する住宅では、一定のファッション・生活用品への支出回復が見られるようになっています。

腕時計支出の背景と住宅形態の相関

住宅の所有形態や賃貸の種類は、家計の自由度と直結しており、それが腕時計のような半嗜好品の支出に表れています。民営住宅や給与住宅では、可処分所得の使い方に柔軟性があり、外的スタイルに関わる消費（腕時計、衣類、靴など）が比較的活発です。一方、住宅ローンを抱える家庭や低所得層の集合住宅では、支出は慎重に管理され、アクセサリー類は優先順位が下がる傾向があります。

今後の予測と消費動向

今後も民営賃貸住宅層を中心に、腕時計支出は一定の水準を維持すると見られます。理由としては、

• ファッション・ビジネス用途の継続的需要

• SNS・動画メディアでの「見た目意識」の高まり

• スマートウォッチとの共存による新たな購買層の出現

一方で、持ち家層や公的住宅居住者では支出減少傾向が続くと予想されます。特に物価上昇や金利の上昇により家計負担が増す中、腕時計のような耐久財の買い替えサイクルは今後さらに延びる可能性があります。

まとめ

住宅形態は腕時計支出に明確な影響を与えており、自由な消費が可能な層と抑制的な層で二極化が進んでいます。今後もファッションや自己表現に積極的な世帯では消費が維持される一方、生活重視・節約志向の世帯ではさらに購入が減少する可能性があります。住宅事情は可処分所得の現れともいえるため、腕時計市場の先行指標として注目すべき要素といえるでしょう。