最新の補習教育費データによれば、年収2000万円以上の世帯が月額18,750円を支出する一方、年収400~500万円世帯ではわずか1,118円にとどまっています。中所得層の支出が急減する一方で、高所得層では支出の増加が続き、教育機会の格差拡大が顕著です。今後もこの傾向は強まり、家庭の年収が子どもの進学可能性を大きく左右する状況が懸念されます。
年収別の補習教育費
1世帯当りの月間使用料
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 2000万~ | 1500~2000万 | 1000~1250万 | 1250~1500万 | 900~1000万 | 800~900万 | 600~700万 | 700~800万 | 500~600万 | 400~500万 |
最新値[円] | 6454 | 18750 | 17730 | 12910 | 10490 | 10470 | 4611 | 3348 | 3200 | 2221 | 1118 |
前年月同比[%] | -0.00885 | 1.565 | 28.33 | 28.48 | -13.55 | 29.84 | -44.49 | 3.174 | -38.4 | -18.23 | -35.08 |
これまでの年収別の推移


詳細なデータとグラフ
年収別の現状と今後
補習教育費は、学校教育以外での教育機会(塾、家庭教師、通信教育など)にかかる費用であり、家庭の経済力が如実に反映されます。とりわけ、年収別の支出差は近年顕著であり、格差社会の教育面における現れといえます。
高所得層(年収1000万円以上)の傾向
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年収2000万円以上(18,750円)・1500~2000万円(17,730円)富裕層は補習教育に対して極めて積極的であり、子どもの受験対策や難関校進学、英才教育を前提に支出しています。前年同期比で1.6〜28%増と、物価高にもかかわらず投資意欲は衰えていません。教育を「消費」ではなく「資産形成」として捉えており、補習教育は将来のリターンとして認識されています。
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年収1000~1250万円(12,910円)・1250~1500万円(10,490円)中堅上位層も依然として高い支出を維持していますが、1250〜1500万円層では前年同期比-13.55%とやや減少。物価上昇と実質所得減の影響を受け始めた可能性があります。
中所得層(年収600万〜1000万円)の「支出分岐点」
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年収900~1000万円(10,470円)・800~900万円(4,611円)この層で補習教育費が急激に変化しています。900~1000万円層は+29.84%と大幅増で、上位層に近い行動を示していますが、800~900万円では-44.49%と支出が激減しています。境界にある家庭では、物価上昇や住宅ローン、生活コストなどの負担により、教育支出が最も調整されやすくなっています。
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年収700~800万円(3,200円)・600~700万円(3,348円)教育熱心な層である一方、塾や家庭教師などの費用を完全に賄うのは困難。前年同期比では微増(+3.17%)の600〜700万円層に対し、700〜800万円層は-38.4%と大幅減。支出余力に乏しく、教育投資を控える傾向が強まっています。
低所得層(年収600万円未満)の現実と限界
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年収500~600万円(2,221円)・400~500万円(1,118円)教育費の絶対額が少ないだけでなく、前年比で大幅な減少(-18.23%、-35.08%)が見られます。生活費の上昇により、補習教育費が最初に削られる費目となっている現実があります。塾に通わせたくても断念せざるを得ず、「経済的に無理=進学の選択肢が狭まる」状況が続いています。
補習教育費支出に見られる構造的な格差
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教育格差の固定化:所得によって子どもの学力機会が決まり、再生産される構造が強まっています。特に首都圏の進学校では、補習教育を受けていることが「前提条件」となっているケースも。
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中間層の疲弊:世帯年収700〜900万円の「中の上」の家庭が教育費を支えきれず、子どもの進学に不安を抱えるケースが増加中です。
今後の推移予測と求められる政策
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高所得層の支出は堅調に推移すると予想されます。インフレや教育費高騰にも対応できる購買力を維持しており、教育投資を積極的に継続する姿勢は変わらないでしょう。
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中所得層以下では支出抑制が進む傾向。今後の経済動向次第ではさらに削減が進み、教育機会の格差が拡大する恐れがあります。
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政策の必要性:補習教育における公的補助や、所得制限付きの教育クーポン制度、オンライン学習環境の無料整備など、所得に依存しない学習機会の提供が急務です。
まとめ ― 家計の壁が子どもの未来を制限する社会へ
教育は本来、すべての子どもに等しく与えられるべき権利ですが、現実には家庭の年収によって大きく左右されています。補習教育費の支出データからは、日本社会が「教育による格差是正」どころか、「教育による格差再生産」に進みつつあることが読み取れます。今後、持続可能な社会を築くためには、教育機会の平準化と家計負担の軽減を両立する政策が求められます。
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