近年の物価上昇とともに、補習教育費の世帯別支出には明確な差が表れています。特に子どもの多い世帯(4~5人世帯)は月額1万円以上と高額で、教育投資への意識が顕著です。一方、2人世帯や就業者の少ない世帯では支出が極めて低く、教育格差が浮き彫りになっています。今後、物価上昇や教育サービスの多様化により、所得や家族構成に応じた補助や支援の必要性が高まると予想されます。
世帯別の補習教育費
1世帯当りの月間使用料
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | |
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名称 | 平均 | 世帯5人 | 世帯4人 | 世帯6人~ | 就業者2人 | 就業者1人 | 世帯3人 | 就業者3人~ | 世帯2人 | 就業者0人 |
最新値[円] | 5499 | 13430 | 12170 | 9368 | 6968 | 3606 | 3026 | 1872 | 265 | 165 |
前年月同比[%] | -2.619 | 5.266 | 10.91 | -14.81 | 1.117 | -1.233 | -23.33 | -25.3 | -21.83 | -17.91 |
これまでの世帯別の推移


詳細なデータとグラフ
世帯別の現状と今後
補習教育費とは、学校外での学習支援にかかる費用、すなわち塾・予備校・通信教育・家庭教師などへの支出を指します。公教育に加えて私的な教育サービスを利用する家庭が増え、教育費の家計比重が年々高まっており、とりわけ世帯構成によりその支出額は大きく異なります。
世帯人数別の支出動向と特徴
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5人世帯(13,430円)・4人世帯(12,170円)子どもを2人以上抱えるケースが多く、進学や受験対策として塾などの支出が集中しています。家族内の教育的期待や競争意識も高く、物価上昇下でも支出を維持・増加させているのが特徴です。
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6人以上世帯(9,368円)家計負担が大きいためか、前年同期比では-14.81%と大幅減少。教育費の節約傾向が見られ、無料・安価な学習支援への依存度が高まっていると考えられます。
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3人・2人世帯(3,026円、265円)子どもが1人か不在の家庭が多く、補習教育費は限定的。とくに2人世帯では支出がごくわずかで、教育支出の中心世帯ではないことがうかがえます。
就業人数別の支出傾向
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就業者2人(6,968円)・1人(3,606円)ダブルインカム世帯では比較的高い支出が可能で、教育への投資も積極的です。一方、就業者が1人の世帯では支出を抑える傾向が見られ、所得の壁が教育費に反映されています。
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就業者3人以上(1,872円)一見して多就業者世帯は高収入が想定されるものの、支出は意外に低水準です。これは同居する高齢者や非学齢児童との混在世帯である可能性もあり、教育費との直接関係は薄いと推測されます。
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就業者0人(165円)高齢者夫婦や無職世帯が中心で、補習教育支出はほぼ発生していない状態です。
直近の増減率が示す課題
支出が前年より増加したのは主に4人・5人世帯などの典型的な子育て世帯。一方で、就業者0人や小規模世帯では支出が大幅減となっており、教育機会の格差が拡大するリスクがあることがわかります。少子化が進むなかで、子ども一人あたりの教育費が増える構造にあり、教育資源の配分にも課題が残ります。
今後の推移予測と政策的示唆
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今後、物価上昇や教育サービスの高度化により、補習教育費はさらに二極化する可能性があります。
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特定の世帯構成(4~5人世帯)では支出を維持しつつも、低所得・小規模世帯では縮小が進む懸念があり、行政による学習支援の拡充が必要です。
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ICTを活用した低価格教育サービスやオンライン学習の普及が、格差緩和の鍵となるでしょう。
まとめ
世帯構成や就業状況が補習教育費に与える影響は大きく、特に典型的な子育て世帯では支出が集中しやすい傾向があります。今後は、家庭の教育投資能力と子どもの学力・進路との相関がより強くなり、社会全体での教育支援体制の充実が求められます。
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