外国パック旅行費の年収別支出傾向と今後の見通しを徹底解説

パック旅行費(外国)

パック旅行費(国内)パック旅行費(外国)


2025年3月時点で外国パック旅行費の年収別月間支出は高所得層ほど高く、特に年収1250~1500万円層が急増しています。一方、2000万円以上の層では前年からの支出減が目立ち、全体の動向は分化が進んでいます。本稿では、年収別にみた旅行支出のこれまでの推移、所得階層ごとの特徴、支出の背景にある経済心理と今後の予測について解説します。

年収別のパック旅行費(外国)

1世帯当りの月間使用料

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 1250~1500万 1500~2000万 2000万~ 800~900万 1000~1250万 700~800万 400~500万 600~700万 300~400万 500~600万
最新値[円] 2589 6810 4439 3465 3126 2576 2465 2216 2213 1751 1427
前年月同比[%] -0.0827 193.3 -25.05 -33.86 28.48 40.15 3.441 -11.75 28.74 -1.74 -49.56

 

これまでの年収別の推移

パック旅行費(外国)
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

年収別の現状と今後

2025年3月時点における、1世帯あたりの外国パック旅行費の月間支出平均は2,589円です。これを年収別に見ると、以下のような明確な階層構造が見られます。

  • 年収1250~1500万円層:6,810円(+193.3%)

  • 年収1500~2000万円層:4,439円(-25.05%)

  • 年収2000万円以上層:3,465円(-33.86%)

  • 年収800~900万円層:3,126円(+28.48%)

  • 年収1000~1250万円層:2,576円(+40.15%)

このように、「準富裕層(1250~1500万円)」が支出額・増加率ともに群を抜いていることが特徴的です。一方で、最上位層(2000万円~)の減少は顕著であり、支出に慎重な行動がみられます。


2004年以降の支出傾向と経済環境の影響

リーマンショックからパンデミックまで

2004年からリーマンショック(2008年)、東日本大震災(2011年)、新型コロナ(2020年以降)といった大きな経済・社会ショックのたびに、外国旅行支出は中~高所得層で激しく上下動しました。

  • 低所得層(~500万円)ではそもそも支出が低く、変動幅も小さい

  • 中所得層(500~900万円)では、景気に応じて支出の増減が生じる

  • 高所得層(1000万円~)では、旅行は生活の一部として支出が安定していたが、パンデミック中はほぼ壊滅


各所得層の行動特徴と動機

高所得層(1000万円以上)

  • 支出の弾力性が大きく、急激に増減する

  • 旅行は「自己投資」「リラクゼーション」として重要視

  • 2025年現在、1250~1500万円層が爆発的に回復しているのは、円安・物価高のなかでも“今行けるうちに”という心理が働いているためとみられます。

中所得層(600~1000万円)

  • 支出の優先順位として旅行が上がるのは、家計にゆとりがある時のみ

  • 今回のデータで800~900万円・1000~1250万円層が大きく増加しているのは、コロナ後のリベンジ需要と子育て後のライフスタイル変化が背景にあると考えられます。

低~準中所得層(~600万円)

  • パック旅行は「贅沢支出」であり、物価高で最初に削減される項目

  • 今回、500~600万円層が-49.56%という大幅減少となっているのは、生活費圧迫が強く、旅行どころではない現実を反映しています。


支出増減の背景にある心理・経済構造

  • 物価上昇(特に航空燃料、円安、ホテル代)が旅行費の負担を増加

  • 高所得者層は「インフレでも旅行価値は上がっている」と判断し、支出を拡大

  • 一方、超富裕層(2000万円~)は「投資・資産保全」にシフトしており、支出抑制

特に1250~1500万円層の193%増という異常値は、2024年末〜2025年初頭のリベンジ旅行需要の再燃と、一部では円高回復期待による先取り消費が背景にある可能性があります。


今後の予測と注意点

短期予測(~2025年内)

  • 1250~1500万円層の旅行熱は一時的で、2025年後半には落ち着く見通し

  • 800~900万円層、1000~1250万円層の支出は持続的に拡大する可能性あり

  • 一方、低所得層では円安や物価高が収束しない限り、旅行支出回復は困難

中長期予測(2026年以降)

  • 若年世帯の低所得化が進むなか、旅行市場は高齢の中~高所得層中心に再構成

  • サブスクリプション型・分割支払い型のパック旅行が中所得層を取り込む可能性

  • 海外旅行に代わって「近距離ラグジュアリー国内旅行」が台頭する可能性もある


政策的視点と市場の対応

政府や旅行業界が注目すべきは、「中所得層の取り込み」です。彼らが旅行市場に戻るには、価格の透明性・お得感・家族向け対応が不可欠です。

また、格差拡大によって外国パック旅行の階層化が進行中であり、「誰でも気軽に行ける」という幻想が崩れつつある点には警戒が必要です。

 

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