携帯本体の年齢別支出傾向｜最も高い世代と今後の動向を徹底分析

携帯電話本体の年齢別支出では、45〜49歳や50代前半が高額で、所得の高さと端末への投資意欲が背景にある。一方、30代は増加傾向にあるものの節約志向が根強く、55歳以上は緩やかな支出増。今後は中高年層の高支出傾向が続き、若年層や高齢層は低位安定すると予測される。

携帯電話は通信手段としてだけでなく、生活・仕事・娯楽の中心となっている。その本体価格が高騰する中、世代別の支出行動にも明確な傾向が表れている。本稿では、2015年から2025年3月にかけての年齢別データに基づき、世代ごとの支出の差、価値観の変化、今後の動向を多角的に分析する。

最新データから見る年齢別支出の実態

2025年3月時点での携帯電話本体の平均支出額は2,507円。これを大きく上回る世代と下回る世代に二極化が見られる。

高支出層（世帯1人当たり）：

• 45〜49歳：6,001円（+24.4%）

• 45〜54歳：5,081円（+32.49%）

• 40〜49歳：4,936円（+11.65%）

• 50〜54歳：4,340円（+43.09%）

• 50〜59歳：3,777円（+22.79%）

中〜低支出層：

• 40〜44歳：3,535円（-8.68%）

• 55〜59歳：3,210円（+2.753%）

• 35〜44歳：3,190円（増減率不明）

• 30〜39歳：2,853円（+30.87%）

• 55〜64歳：2,709円（+3.476%）

このように、40代〜50代前半が支出の中心であり、特に45〜49歳は最も高い水準を示している。

世代別支出の背景と特徴

（1）45〜54歳層：所得とライフスタイルのピーク

この層は、所得が最も高く、かつ家庭・仕事・趣味において複数のデバイスを使い分けるライフスタイルが定着している。端末に対する要求も高く、最新機種への更新頻度が高い。また、子どもの端末購入を親が代理で支払うケースも含まれ、支出が膨らみやすい。

（2）30〜39歳層：支出増加だが依然として節約志向

前年比30%以上の増加が見られるが、まだ本体支出額は比較的控えめ。住宅ローンや育児・教育費など固定費が多く、端末にかける予算は抑えられる傾向がある。一方で、iPhoneの旧モデルや中古端末を賢く選ぶなど、コスパ重視の買い物スタイルが浸透している。

（3）55〜64歳層：緩やかな増加と「必要最低限」志向

この層は比較的端末更新周期が長く、「壊れるまで使う」傾向が強い。増加率はわずかである一方、近年の行政支援やシニア向けプランの拡充によって、スマホ移行が進み、徐々に支出も伸びてきている。

（4）40〜44歳層：唯一の支出減少層

前年比マイナス8.68%という減少は異質であり、世代内の経済格差や「買い控え」が背景にあると考えられる。また、仕事と育児に追われる中で、端末更新の優先順位が低くなりがちというライフステージ的要因もある。

携帯本体支出に見える世代間の価値観

• 若年層（30代以下）は、「安く賢く」が基本姿勢。格安端末、リース、中古市場を活用することで本体支出を抑える傾向。

• 中年層（40〜50代）は、「高機能×長期使用」が主流。高価な端末を購入し長く使うが、2〜3年周期で買い替える人も多い。

• 高齢層（55歳以降）は、「最低限」で十分という意識が強く、LINEやカメラ、電話だけ使えれば良いと考える傾向が依然として根強い。

今後の支出動向と政策提言

（1）40〜50代の支出は今後も高水準維持へ

この世代が今後シニア層に入っていく中で、端末に対する価値観も変化していく。今の中高年はデジタルネイティブに近づきつつあり、支出水準の高止まりが続くと予測される。

（2）30代以下は節約スタイルを維持

格安SIM・中古端末の普及により、「性能はそこそこでOK」という世代的価値観が続き、支出水準は比較的低位安定が続く。

（3）政策的支援の方向性

• シニア層への端末操作サポート体制

• 子育て世代への買い替え補助（教育・在宅勤務目的）

• 若年層へのリース・中古端末市場の安全確保

これらを組み合わせることで、世代間格差を和らげつつ、持続可能な通信環境の確保が可能となる。