住宅の種類により携帯通信料には大きな差があり、「その他」「持ち家(ローンあり)」が高く、「公営住宅」が最も低い。2025年3月時点では、所得や家族構成、通信インフラの整備状況が金額に影響。今後は高齢者支援や通信環境整備、格安プラン普及が鍵となり、住宅別のきめ細かな対応が求められる。
住宅別の携帯通信料
1世帯当りの月間使用料
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | |
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名称 | 平均 | その他 | 持ち家のうち住宅ローン有り | 都市再生機構・公社等 | 民営 | 給与住宅 | 持ち家 | 公営 |
最新値[万円] | 1.193 | 1.377 | 1.321 | 1.236 | 1.186 | 1.186 | 1.135 | 0.963 |
前年月同比[%] | 1.65 | 17.66 | -4.185 | 16.38 | 1.056 | 3.681 | -1.381 | -16.75 |
これまでの住宅別の推移


詳細なデータとグラフ
住宅別の現状と今後
携帯電話の通信料は、日本の家計にとって無視できない支出項目であり、住居形態によっても差異が見られます。2017年から2025年にかけての統計によると、住宅の種類によって通信料には明確な傾向があり、居住形態が経済状況やライフスタイルに直結していることがうかがえます。本章では、住宅別に携帯通信料の実態を分析し、背景と今後の見通しについて検討します。
住宅別携帯通信料の現状(2025年3月時点)
2025年3月時点における1世帯あたりの携帯通信料は、平均で1.193万円でしたが、住宅の種類によって顕著な差があります。
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最も高いのは「その他」:1.377万円不明確な住宅形態(社宅、寮、賃貸住宅に分類されない一時的住居など)に居住する世帯が多く、通信手段が限られWi-Fi環境が乏しいことが高額化の一因と考えられます。
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「持ち家(住宅ローンあり)」:1.321万円働き盛りの世帯が多く、家族全員がスマートフォンやタブレットを保有している可能性が高いため、通信料も平均より高くなっています。
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「都市再生機構・公社住宅」:1.236万円中間所得層が多く、通信費の意識はありつつも、生活利便性を重視する傾向が通信料に表れています。
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「民営住宅・給与住宅」:ともに1.186万円通信料は平均並みですが、就業者世帯が多くテレワーク等による通信需要も増えつつあります。
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「持ち家(全体)」:1.135万円住宅ローンがない世帯も含まれ、リタイア世代も多く含まれるため、全体としては控えめな通信料です。
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「公営住宅」:0.963万円通信料が最も低く、所得制限などによって低所得者層が多く、スマホの所有台数やプランに制限がある可能性が高いと考えられます。
住宅別の通信料変化とその背景(前年比)
前年比を見てみると、「その他」が17.66%増、「都市再生機構・公社等」も16.38%と大幅に増加しており、これらの層では通信環境の整備やスマートフォンの利用拡大が進んでいると考えられます。一方、「公営住宅」は-16.75%と大きく減少しています。これは低所得層における節約志向の強まりや、格安SIMや無料Wi-Fiの利用が進んだ結果とも言えるでしょう。
「持ち家(住宅ローンあり)」も-4.185%と減少しており、通信費見直しや家族プランへの切り替えが進んでいると推察されます。全体的に、支出削減を目指す動きと、利便性を重視する動きが交錯しています。
住宅別にみるライフスタイルと通信料の関係
住宅の種類は、その世帯のライフスタイルと経済状況をある程度反映しています。
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「持ち家(ローンあり)」:若年~中年の子育て世帯が多く、複数人がスマホやタブレットを利用しているため、データ容量の大きなプランを契約しがちです。
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「公営住宅」:高齢者や単身世帯が多く、スマホを最低限の用途にとどめており、通話中心の安価なプランを利用している可能性が高いです。
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「都市再生機構」や「給与住宅」:中間層の働く世帯が多く、動画やSNSの利用頻度も高く、通信料がやや高めになる傾向があります。
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「その他」:定住性が低く、安定したネット環境を持たないため、モバイル通信に依存しやすく、支出が高くなる傾向があります。
今後の予測と課題
今後の通信料の動向は、以下のような影響を受けると考えられます。
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① 通信技術の進化(5G/6G)より高速・大容量化が進めば、高価格プランの導入が増える一方で、旧来のプランは値下げされ、選択肢は広がる可能性があります。
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② 高齢化の進行と情報格差公営住宅や高齢者世帯におけるスマホ利用の支援が進めば、一定の通信料増加が見込まれますが、デジタルデバイドへの対応も急務です。
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③ 賃貸住宅における通信インフラ整備民営住宅などでは、賃貸契約にWi-Fiが組み込まれるケースが増えており、個人負担の通信料が減少していく可能性があります。
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④ 物価上昇と節約志向物価高騰が続けば、通信料の見直しや格安SIM利用がさらに広がるでしょう。今後も価格に敏感な動きが住宅別に色濃く現れると予想されます。
おわりに
携帯通信料は、住宅の種類によって支出に大きな違いが見られ、その差はライフスタイル、所得、世帯構成、インフラ状況に起因しています。今後も技術革新や経済環境の変化によって通信料の構造は変化を続けるでしょうが、住宅別にきめ細かな政策支援や教育が必要不可欠です。各家庭が自分に合った通信環境を見直すことが、家計全体の安定につながるといえるでしょう。
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