世界のコットン生産動向:気候変動と環境問題に影響される市場の未来

天然素材

2022年の世界コットン生産量は24.83 Mtで前年比−2.3%減。中国、ブラジル、オーストラリアが増産し、インド・アメリカ・パキスタンが大きく減少。地域格差が拡大中。将来的には技術革新とインフラ整備、環境対応型生産体制の構築が、生産国の競争力と持続可能性を左右する重要要因となるでしょう。

コットンの生産量ランキング

2022年
降順昇順
各国最新値[Mt]全体比[%]前年比[%]
世界24.83100-2.307
1中国5.9824.09+4.35
2インド5.2921.31-11.72
3アメリカ3.1512.69-17.43
4ブラジル2.479.951+10.9
5オーストラリア1.2745.13+125
6トルコ1.0184.098+22.22
7パキスタン0.8353.364-41.05
8ウズベキスタン0.8283.337
9ギリシャ0.5362.16+1.94
10アルゼンチン0.3911.575+14
11カザフスタン0.3621.457+24.6
12ブルキナファソ0.2561.03+9.122
13コートジボワール0.240.967+0.964
14メキシコ0.2340.942+1.221
15ベナン0.2190.883-11.58
16トルクメニスタン0.1810.727
17マリ0.1640.659-48.39
18カメルーン0.1420.571-9.167
19スーダン0.1310.528+0.769
20ナイジェリア0.1040.419+11.83
21タジキスタン0.09950.401-8.673
22アゼルバイジャン0.0910.366-1.617
23エジプト0.090.363+28.57
24ミャンマー0.0850.342+6.25
25エチオピア0.06260.252+1.016
26ジンバブエ0.05250.212-16.64
27ウガンダ0.0470.189
28タンザニア0.0450.181+18.42
29チャド0.04350.175-33.33
30スペイン0.04050.163-30.46
31イラン0.03260.131
32シリア0.02670.108+14.71
33キルギスタン0.02520.102+14.37
34アフガニスタン0.0240.0965-6.777
35バングラデシュ0.02240.09+0.676
36モザンビーク0.02040.0824-5.183
37トーゴ0.01950.0787-8.268
38ペルー0.0190.0765+290.8
39イスラエル0.01750.0705+239.2
40中央アフリカ共和国0.01680.0677+5
41ギニア0.01580.0638+0.454
42南アフリカ0.0140.0563-7.992
43コロンビア0.01290.0519+23.76
44マラウイ0.01240.0498+3.448
45北朝鮮0.0120.0483
46セネガル0.0120.0483+50
47パラグアイ0.009420.038
48コンゴ民主共和国0.00910.0367+1.854
49ザンビア0.00750.0302-23.45
50ガーナ0.00610.0246
51マダガスカル0.004680.0189+4.887
52ボリビア0.002580.0104+125.4
53ニカラグア0.00230.00926
54ソマリア0.002070.00833+0.817
55チュニジア0.001990.008-8.883
56ニジェール0.001950.00785
57イエメン0.001690.00679-11.3
58タイ0.001510.00608
59ギニアビサウ0.001430.00577-4.559
60ベネズエラ0.001420.00571-11.11
61エクアドル0.00140.00566+0.252
62ケニア0.001250.00505+124.3
63アンゴラ0.00110.00443
64ホンジュラス0.000970.00391+1.81
65グアテマラ0.0005940.00239+0.873
66ラオス0.000590.00238-13.24
67ブルガリア0.0004910.00198+2.602
68ブルンジ0.0003970.0016-2.18
69エスワティニ0.0003730.0015-0.193
70ハイチ0.0002890.00116+0.554
71コスタリカ0.0002580.00104-0.209
72ボツワナ0.0002470.000995-3.857
73アルバニア0.000230.000927+0.432
74ガンビア0.0001840.000742+2.322
75カンボジア7.91E-50.000318-0.528
76モロッコ6.8E-50.000274+0.324
77ネパール4.45E-50.000179-0.157
78フィリピン3.33E-50.000134+21.19
79インドネシア2.88E-50.000116-27.3
80アルジェリア2.86E-50.000115+0.918
81グレナダ1.54E-56.19E-5+2.058
82ベトナム1.13E-54.54E-5+36.23
83イラク8.0E-63.22E-5+700
84アンティグアバーブーダ4.73E-61.91E-5-66.53
85セントクリストファーネイビス1.58E-66.36E-6-9.714
86バーレーン00
87エルサルバドル00
88ウルグアイ00
コットンの生産量
コットンの生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

コットンの現状と今後

2022年の世界合計コットン生産量は 24.83 Mt。前年と比較して −2.307% の減少となりました。これはグローバルに気候変動や価格下落、農家の離農などの影響が広がった結果と推測されます。


主要生産国別の特徴と傾向

中国(5.98 Mt、+4.35%)

世界最大のコットン生産国。5%近い増加を記録し、政策支援や灌漑インフラ整備、新品種導入などが奏功した可能性があります。国内繊維産業との連携も強固で、安定した増産基盤が見られます。

インド(5.29 Mt、−11.72%)

世界第2位ながら、前年比で大幅減。モンスーンの異常気象、農家の収益悪化、肥料・水不足などの影響が仮定されます。気候リスクと農業構造の脆弱性が浮き彫りです。

アメリカ(3.15 Mt、−17.43%)

大幅減。干ばつや降雨パターンの乱れ、綿実価格や代替作物の魅力の高まりなどが要因とみられます。農地転用や縮小傾向が顕在化しています。

ブラジル(2.47 Mt、+10.9%)

前年比で最大級の伸び。新興栽培地帯の拡大や農法の近代化、輸出志向強化が背景と考えられます。南米での存在感が高まっています。

オーストラリア(1.274 Mt、+125%)

驚異的な増加率。厳密な品質管理と灌漑設備の投資、新規農地開発の成果と考えられます。ただし、基準量が低かった反動上昇の可能性もあります。

トルコ(1.018 Mt、+22.22%)

トルコでは繊維・縫製業との結び付きが強く、国内消費と輸出向けの拡大が寄与しています。22%台の大幅増は注目される成果です。

パキスタン(0.835 Mt、−41.05%)

深刻な減少。水資源の枯渇、電力供給問題、政治・経済不安などの複合的なストレスが影響した可能性があります。

ウズベキスタン(0.828 Mt)

前年との増減比の記述はありませんが、規模はパキスタンと近く、中央アジアとしての安定供給国の1つと推測されます。

ギリシャ(0.536 Mt、+1.94%)

小規模ながら安定増。EUの農業支援政策や市場ニッチへの特化が寄与している可能性があります。

アルゼンチン(0.391 Mt、+14%)

14%ほどの増加を達成。南米内での農業多様化戦略や輸出ルートの確立が成果に繋がっていると考えられます。


共通傾向と背景要因

  • グローバル全体での減少基調:世界生産量は約2.3%減少。これはインド、米国、パキスタンといった主要国の落ち込みが響いた結果です。

  • 地域間の2極化:アジア大国(中国)は増加、1方インド・パキスタンは大幅減、南米やオセアニアでは大きく伸張。

  • 気候とインフラの影響:干ばつや不規則な降水が農作業に直結し、農業技術・灌漑設備の有無で差が出ています。

  • 政策と市場アクセスの差:国家支援、価格保障、輸出チャネルの整備などが生産増減に大きく関与しています。


将来予測と展望

中国・ブラジル・オーストラリアの拡大が続く可能性

これらの国は技術力・資本力・インフラ整備が進んでおり、将来的にも安定した増産が期待されます。

インド・パキスタンの回復要因とリスク

天候不安と資源制約が継続する限り、回復は限定的。構造改革や耐乾性品種の導入、新技術が鍵となります。

気候変動の影響拡大

今後も極端な気象事象が増加することが予想されるため、生産の不安定性が高まり、地域差の拡大が続く恐れがあります。

高付加価値・環境対応型生産の重要性

オーガニックコットンや持続可能な生産プロセスへの需要が増加しており、付加価値を追求する農家や国が競争力を得やすくなるでしょう。


まとめ

2022年の世界コットン生産は 24.83 Mtで前年比 2.3%の減少。中国、ブラジル、オーストラリアが増産を牽引し、インド・米国・パキスタンが大幅減と対照的でした。将来は、気候変動への適応能力、農業技術の革新、環境対応やブランド志向の生産が、国際市場での競争力を左右すると見込まれます。

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