2023年の世界の油生産量は2.201Mtで前年比+19.38%。インドが全体の約90%を占め、急成長を見せています。モザンビークやブラジルも堅調ですが、中国は減少傾向。今後はインド独走からアフリカ・東南アジアへの分散化と、高付加価値化が鍵となるでしょう。
生産量のデータとグラフ
油生産量の最大と最新
世界 | インド | モザンビーク | ブラジル | 中国 | タイ | ミャンマー | エチオピア | |
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最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 2011年 | 2011年 | 2015年 | 1974年 | 1991年 | 1963年 | 2009年 | 1990年 |
最新値[Mt] | 2.201 | 1.98 | 0.07365 | 0.04306 | 0.02 | 0.012 | 0.01186 | 0.011 |
最大値[Mt] | 2.742 | 2.295 | 0.07535 | 0.5731 | 0.33 | 0.0529 | 0.016 | 0.01395 |
前年比[%] | 19.38 | 22.3 | 0.2313 | 3.422 | -16.67 | 0 | -1.409 | 0 |
全体比[%] | 100 | 89.96 | 3.346 | 1.957 | 0.9088 | 0.5453 | 0.5389 | 0.4998 |
これまでの推移


詳細なデータとグラフ
油生産量についての推移と展望
「油」は農業分野で主に植物性油脂(食用油)を指し、一般的にはゴマ、ヒマワリ、大豆、パーム、キャノーラ(菜種)などから抽出されます。これらは食品用途だけでなく、石けん、化粧品、バイオ燃料にも用いられ、世界的に需要が高い分野です。1961年から2023年にかけて、人口増加・食生活の油脂化・産業利用の増加により、生産量は右肩上がりに成長してきました。
2023年時点の世界の生産状況
2023年の世界の「油」生産量は2.201Mt(220.1万トン)で、前年比+19.38%と大幅な増加が見られました。これは複数の国での収穫増、生産効率の向上、または特定の品目(例:ゴマ油)の需要急増などが要因と推察されます。
主要生産国の特徴と変動
インド(1.98Mt|世界シェア89.96%)
インドは圧倒的な生産量を誇り、前年比+22.3%と急成長。国内ではゴマ油やマスタード油などが伝統的に使われており、人口の多さと自家消費文化が生産を支えています。近年はバイオ油やアーユルヴェーダ製品向けの需要も拡大しており、持続的成長が見込まれます。
モザンビーク(0.07365Mt|3.346%)
アフリカにおいて成長著しい新興生産国。主にゴマやひまわりを原料とした食用油生産が中心で、前年比は+0.2313%と微増。海外輸出も視野に入れた農業開発が進行中です。
ブラジル(0.04306Mt|1.957%)
ブラジルは大豆油の主要国の一つ。前年比+3.422%と堅調に増加しており、食用とバイオディーゼル両面での需要が支えています。農業技術の高さと耕地の広さが強みです。
中国(0.02Mt|0.9088%)
かつての成長国だが、2023年は前年比-16.67%と大幅減少。原材料の輸入依存度が高く、天候不順や国際情勢の影響を受けやすい構造がリスク要因です。
タイ・ミャンマー・エチオピア
これらの国はいずれも0.01Mt前後の小規模生産ながら、地域消費型の油脂産業を支えており、将来的には内需拡大に応じた成長が見込まれます。タイとミャンマーではピーナッツ油や椰子油(ヤシ油)が中心、エチオピアではゴマ油が伝統的に重視されています。
課題と今後のリスク
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単一国依存のリスク:インドに生産が集中しすぎているため、天候不順や政策変動が世界供給に影響する可能性がある。
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気候変動と農地劣化:特に油分が多い種子は乾燥や高温に弱く、干ばつによる収穫量の変動リスクが高い。
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輸出入依存と価格変動:一部の国では原料の輸入や精製技術の未整備により、自国生産の拡大が難しい現状がある。
今後の展望と予測
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インドの独走続くも分散化へ インドの成長は続くと見られるが、他国も生産技術や市場戦略の改善によりシェア拡大を狙う。
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アフリカ・東南アジアの台頭 モザンビーク、エチオピア、タイ、ミャンマーなどの生産拡大は、グローバル供給の多極化を促すと予測される。
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付加価値油の需要増 健康志向により、オメガ3・無精製油・有機圧搾油など、高品質な油の市場が拡大。これにより、生産国も量から質へのシフトが必要になる。
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