世界の油生産動向|インドの圧倒的シェアと新興国の今後の可能性

生産量

2023年の世界の油生産量は2.201Mtで前年比+19.38%と大幅増加。特にインドが全体の9割を占め成長を牽引。アジア・アフリカでの増産傾向が続く一方、中国などは減少。今後は健康志向や環境配慮を背景に、多用途かつ持続可能な生産への移行が進むと予想されます。

油の生産量ランキング

2023年
降順昇順
各国最新値[Mt]全体比[%]前年比[%]
世界2.201100+19.38
1インド1.9889.96+22.3
2モザンビーク0.07363.346+0.231
3ブラジル0.04311.957+3.422
4中国0.020.909-16.67
5タイ0.0120.545
6ミャンマー0.01190.539-1.409
7エチオピア0.0110.5
8ベトナム0.0070.318
9パラグアイ0.0070.318
10南アフリカ0.006580.299+0.428
11アンゴラ0.004210.191+0.404
12パキスタン0.003260.148-28.26
13タンザニア0.0030.136
14ケニア0.0030.136
15エクアドル0.0030.136
16マダガスカル0.002810.128+0.482
17ハイチ0.00160.0727+0.458
18シリア0.001560.0708+0.286
19インドネシア0.001420.0644+0.0968
20カンボジア0.001290.0584-0.00467
21スーダン0.0010.0454
22ウガンダ0.0010.0454
23ベナン0.0006420.0292
24メキシコ0.0003020.0137+1.544
25バングラデシュ0.0002780.0126-0.448
26モロッコ0.0001640.00745-0.359
27ロシア0.0001350.00612+89.61
28トーゴ8.1E-50.00368+0.297
29カーボベルデ7.14E-50.00324+0.337
30フィリピン3.37E-50.00153-5.554
31イラン2.71E-50.00123-0.951
32韓国1.3E-75.91E-6
33ペルー00
油の生産量
油の生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

油の現状と今後

ここで言う「油の生産」は、食用植物油や産業用植物油の抽出量を指します。対象となる油は以下のような作物から得られます:

  • ゴマ、ピーナッツ、ひまわり、綿実、菜種などの種子系油

  • ヤシ油、パーム油、大豆油、とうもろこし油などの果実・穀物由来油

これらの油は、食用以外にも石けん、化粧品、潤滑油、バイオ燃料など多様な用途があります。


世界全体の生産傾向と2023年の動向

2023年の世界全体の油生産量は2.201Mt(220.1万トン)で、前年から+19.38%の大幅増加となりました。これは過去10年間でも有数の成長率であり、主にインドの大幅増が牽引しています。


主要生産国別の特徴と傾向

インド(1.98Mt|+22.3%)

世界の油生産の約9割を占めるインドは、まさに圧倒的な存在です。伝統的にゴマ油やマスタードオイルの消費が多い文化を背景に、家庭用から業務用まで広く生産されています。2023年の+22.3%という大幅増加は、作付け面積の拡大や気象条件の良化、政府の奨励策によるものと考えられます。

インドの今後の課題は、需要に追いつかない国内供給をどう補うかです。技術革新と高収量品種の導入が進めば、持続的成長が可能です。

モザンビーク(0.0736Mt|+0.231%)

アフリカにおける新興油生産国のひとつで、ヒマワリや綿実の作付けが中心。2023年は微増でしたが、安定した農業基盤が形成されつつあり、将来的にはアフリカ域内の供給国としての地位を確立する可能性があります。

ブラジル(0.0431Mt|+3.422%)

大豆油やヒマワリ油の供給が主体。農業大国としての強みを活かし、油分の多い作物の栽培に適した環境を持ちます。食品加工・バイオディーゼル市場との相互関係もあり、今後も安定成長が見込まれます。

中国(0.02Mt|-16.67%)

大幅な減少が見られました。これは作付け転換や気象災害、輸入依存の増加などが要因と推測されます。中国はかつて食用油の大消費国でしたが、現在は国内生産よりも輸入にシフトしている傾向が強まっています。

ミャンマー(0.0119Mt|-1.409%)

伝統的なごま・ピーナッツ油の生産国でありつつも、2023年は微減。政治的・経済的不安定さが影響している可能性が高いです。インフラ整備が進めば中長期的に回復も期待できます。

エチオピア(0.011Mt)

油の用途が宗教・文化的背景により広く、手作業での圧搾が依然として1般的です。近年は都市部を中心に油製品の需要増が起きており、潜在的な成長性が高い国です。

タイ、ベトナム、パラグアイ、南アフリカ(0.006〜0.012Mt)

これらの国々は、気候や土壌の適性を活かして小規模ながら特定作物に特化した油の生産を行っています。たとえばタイやベトナムではピーナッツ油、南アフリカではひまわり油が中心。いずれも農家の生活支援や国内消費が主目的です。


生産構造の特徴と課題

油生産の構造には以下のような特徴があります:

  • 気候への依存性が高い(干ばつや洪水が打撃になる)

  • 食用と非食用の2重需要がある(例:バイオ燃料)

  • 品種や精製技術の差で国際競争力が決まる

  • 1部地域では依然として圧搾技術の遅れがある

課題としては以下が挙げられます:

  • 輸出主導型か国内消費型かの明確化

  • 環境負荷と持続可能性への対応(例:水の使用量)

  • 国際価格の変動と政治リスク


将来予測と市場の展望

今後の生産量予測

2023年の大幅増は例外的であり、今後は年平均+2〜4%程度の安定成長に落ち着くと予想されます。特にアジア・アフリカでの成長余地が大きく、インド以外の国でも潜在能力が高いです。

需要の多様化と持続可能性

以下のような需要分野が生産の拡大を支えます:

  • 健康志向による植物油の選別(オリーブ油やごま油)

  • 環境配慮型の産業用油(バイオ潤滑油、エコソープ)

  • 伝統料理や地域産品との結びつき

同時に、油の大量生産は土地利用・水資源・農薬問題を伴うため、持続可能な農業との両立が求められます。今後は、環境認証付き製品やフェアトレード油への移行も鍵を握るでしょう。

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