世界の砂糖生産動向:国別の特徴と気候・技術の影響を徹底解説

生産量

2023年の世界の砂糖生産量は281.2Mtで前年比+8.15%。ロシアが最大生産国で、アメリカやドイツも高水準。甜菜生産国が中心で、気候や政策が増減に影響。今後は健康志向の消費減と技術革新による安定供給の両面から変化が見込まれ、成長は緩やかに推移する見込み。

砂糖の生産量ランキング

2023年
降順昇順
各国最新値[Mt]全体比[%]前年比[%]
世界281.2100+8.15
1ロシア48.8317.36-0.169
2アメリカ31.9611.36+7.91
3ドイツ31.5611.22+11.9
4フランス30.5810.88-2.908
5トルコ25.258.98+31.14
6ポーランド16.946.025+19.69
7ウクライナ13.134.669+32.07
8エジプト12.794.55+2.068
9中国9.163.258+2.541
10イギリス7.7462.755+38.95
11オランダ6.9432.469-4.328
12イラン5.11.814-0.909
13ベラルーシ4.8441.723+14.61
14ベルギー4.751.689+0.142
15チェコ3.8341.363-5.464
16日本3.4031.21-4.006
17スペイン2.891.028+44.44
18オーストリア2.6760.952-1.249
19デンマーク2.2810.811-0.489
20セルビア2.0410.726+22.41
21スウェーデン1.7440.62-7.868
22モロッコ1.470.523-22.56
23スロバキア1.4080.501+28.35
24イタリア1.3990.497+25.96
25スイス1.20.427-11.36
26カナダ1.1720.417-8.309
27リトアニア1.0410.37+43.01
28ハンガリー0.8760.312+86.29
29キルギスタン0.6210.221+32.67
30チリ0.6040.215-10.61
31カザフスタン0.510.181+66.93
32クロアチア0.50.178-12.63
33モルドバ0.4280.152-10.44
34フィンランド0.4210.15+10.7
35ルーマニア0.4040.144+43.49
36アゼルバイジャン0.2060.0733-2.155
37チュニジア0.09620.0342+3.034
38トルクメニスタン0.0860.0306-39.94
39アルメニア0.05640.02-0.599
40イラク0.03520.0125+9.246
41シリア0.03390.0121-43.93
42パキスタン0.03250.0115+12.7
43コロンビア0.03080.0109-0.468
44ベネズエラ0.02520.00897-0.0174
45アルバニア0.02040.00727-3.797
46オーストラリア0.01620.00575
47ドミニカ共和国0.01290.00459+22.39
48マリ0.009960.00354-11.02
49スロベニア0.006970.00248+57.69
50レバノン0.006840.00243+15.41
51アフガニスタン0.0060.00213+3.878
52エクアドル0.004640.00165+0.331
53北マケドニア0.004240.00151-0.801
54ウズベキスタン0.001760.000627-10.88
55ギリシャ0.001180.00042-76.16
56メキシコ0.0008970.000319-0.399
57ボスニア・ヘルツェゴビナ0.0006860.000244-68.56
58ルクセンブルク0.000550.000196
59ラトビア00
60マルタ00
61ポルトガル00
62キプロス00
63エストニア00
64アイルランド00
砂糖の生産量
砂糖の生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

砂糖の現状と今後

2023年の世界の砂糖生産量は281.2Mt(メガトン)となり、前年比+8.15%という大幅な増加を示しました。これは近年の中でも目立つ上昇であり、要因としては以下が挙げられます:

  • 主要国における気候の安定と収穫量の増加

  • グローバルな砂糖需要の持ち直し

  • 1部国での政策的な増産支援

なお、砂糖はサトウキビ由来(熱帯地域中心)テンサイ(甜菜)由来(寒冷地域中心)の2つの供給源があり、今回のデータから見える主要国は甜菜生産国が主流であることがわかります。


主要生産国の特徴と2023年の動向

ロシア(48.83Mt|-0.169%)

世界最大の砂糖生産国であるロシアは、甜菜糖に強く依存しています。2023年の生産量は横ばいで、既に成熟した生産体制を持ち、効率化が進んでいます。ただし、気候変動や経済制裁の影響は今後のリスクとなり得ます。

アメリカ(31.96Mt|+7.91%)

アメリカは甜菜とサトウキビの両方を生産しており、地域による分散が強みです。2023年は天候が好調で、増産に成功。食品加工業やバイオエタノールへの転用も含め、安定した内需と輸出基盤を持ちます。

ドイツ(31.56Mt|+11.9%)

ドイツはEU内最大級の砂糖生産国で、全量を甜菜に依存しています。近年は環境規制に対応しつつも、高効率な農業技術によって生産量を維持・拡大。2023年は降雨と気温のバランスが良く、大幅な増産につながりました。

フランス(30.58Mt|-2.908%)

フランスも甜菜糖主体の大国ですが、2023年は1部地域の干ばつや害虫被害により、生産量がやや減少。農業支援策の再検討が求められています。1方で、高付加価値な加工糖市場での強みを保持しています。

トルコ(25.25Mt|+31.14%)

トルコは2023年に急増を記録した注目国で、政策的な生産奨励や国内需要の回復が背景にあります。生産地の拡大と新規農家の3入があり、砂糖自給率の向上を目指す国家的戦略の1環です。

ポーランド(16.94Mt|+19.69%)

ポーランドも甜菜に依存し、2023年は好天候と作付け面積の拡大により大幅増産。EUの農業補助金を活用した機械化・自動化の進展が成果を上げています。

ウクライナ(13.13Mt|+32.07%)

戦争下にありながらも、農業基盤の強靭さを示したウクライナ。2023年は戦火の及ばない地域で甜菜栽培が拡大し、驚異的な増産となりました。ただし、長期的にはインフラの安定化が鍵です。

エジプト(12.79Mt|+2.068%)

乾燥地での砂糖生産が進むエジプトは、灌漑農業を用いた甜菜栽培により安定成長。人口増加による内需拡大が継続的な生産支援を支えています。

中国(9.16Mt|+2.541%)

中国はサトウキビ生産が主力で、南部の熱帯地域が中心。2023年は好天により微増。消費量の多さに対し、生産は自給できていないため、今後も輸入依存が残る見込みです。

イギリス(7.746Mt|+38.95%)

イギリスでは甜菜糖の復活が見られ、2023年は大幅な増加を記録。これは生産効率の改善と、EU離脱後の農業政策の独立化による柔軟な対応が功を奏したものです。


砂糖の生産構造と需給の特徴

サトウキビ vs テンサイ(甜菜)

  • サトウキビ:熱帯・亜熱帯地域で栽培。収穫に時間がかかるが収量が多く、主に南米、アジア、アフリカで生産。

  • テンサイ:温帯・冷涼地向け。育成期間が短く、機械化しやすいためヨーロッパで普及。

今回の上位国はほぼ全て甜菜型砂糖であり、寒冷地における効率生産と加工インフラの充実が高い生産性を支えています。


将来の砂糖生産の展望と課題

成長率は緩やかだが安定

今後の世界の砂糖生産量は、年率1~2%前後の穏やかな増加が見込まれています。これは、人口増加に伴う需要増と健康志向による消費抑制が拮抗するためです。

健康問題による政策的制限

各国で糖分摂取制限や「砂糖税」の導入が議論されており、需要サイドの圧力が高まるリスクがあります。これにより、単なる量ではなく、用途の多様化(例:バイオエタノール、工業用)が求められるでしょう。

気候変動と水資源リスク

特にサトウキビ生産国では、水資源の枯渇や極端気象が今後の安定供給を脅かすと懸念されています。甜菜型の生産国でも、土壌劣化や気候の不安定化が課題です。

生産構造の自動化と再編

多くの国でスマート農業技術や省力化機械の導入が進んでおり、労働力不足への対応と生産効率の両立がテーマとなっています。特にヨーロッパ諸国はその先駆けです。

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