世界のハーブ生産動向と主要国比較:インド主導と中東・中南米の成長展望

生産量
生産量



2023年の世界ハーブ生産量は2.83Mtで前年比3.465%増。最大の生産国インドは全体の69%を占め、成長も継続中。トルコやメキシコが続くが、ロシアやトルコはやや減少。シリアは回復局面で急伸。今後は健康志向や伝統医学の需要増を背景に、インドを中心に新興国の生産拡大が進む見込み。課題は気候変動と品質管理の難しさ。

生産量のデータとグラフ

ハーブ生産量の最大と最新

世界 インド トルコ メキシコ ロシア イラン 中国 シリア
最新 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年
最大期 2023年 2023年 2022年 2021年 2015年 2010年 2018年 2017年
最新値[Mt] 2.83 1.961 0.3416 0.1182 0.08422 0.06155 0.05232 0.04864
最大値[Mt] 2.83 1.961 0.3469 0.1329 0.09987 0.0661 0.0534 0.1164
前年比[%] 3.465 4.45 -1.532 3.224 -6.696 0.476 0.3132 46.75
全体比[%] 100 69.28 12.07 4.175 2.976 2.175 1.849 1.719

 

これまでの推移

ハーブの生産量
最新の割合

 

詳細なデータとグラフ

 

ハーブ生産量についての推移と展望

ハーブは香辛料、薬用、化粧品、健康食品など幅広い分野で利用されており、近年ではウェルネス志向や自然派食品の人気により需要が急拡大しています。

1961年から徐々に拡大を続け、2023年には世界全体のハーブ生産量が2.83百万トン(Mt)に達しました。前年からの成長率は3.465%と堅調で、他の農産物と比較して安定性が見られます。


主要生産国の構成と特徴

インド:圧倒的主力国

インドは1.961Mtで世界シェアの69.28%を占め、ハーブ生産の中核を担っています。前年から4.45%増と成長を維持しており、アーユルヴェーダや伝統医学との結びつきが強く、数百種類以上のハーブが商業・薬用目的で栽培されています。輸出も堅調で、欧米市場向けにオーガニック認証の製品が伸びています。

トルコ:気候条件に恵まれた高品質産地

トルコは0.3416Mt(12.07%)で2位ですが、前年比-1.532%減とやや減少傾向。地中海性気候が高品質な芳香ハーブ(タイム、ローズマリー、オレガノなど)に適しており、EU市場への供給地として定評があります。だが、農業補助金削減や若手農業者の不足が課題となっています。

メキシコ:香辛料・薬用用途での成長

メキシコは0.1182Mt(4.175%)で3位。前年比3.224%増と着実に伸びています。中南米地域におけるハーブ文化の根強さや、輸出市場(特にアメリカ)での需要増が成長を支えています。

ロシア:一時的な減退

ロシアは0.08422Mt(2.976%)で4位ながら、前年比-6.696%減と大きく後退しました。地政学的な制約やサプライチェーンの混乱、農業インフラの老朽化が生産減の要因と考えられます。

イラン:中国と並ぶ西アジアの供給地

イランは0.06155Mt(2.175%)で、前年比0.476%増。医薬・伝統医学との関係が深く、気候条件にも恵まれているが、水資源問題と輸出制限が制約となっています。

中国:供給よりも内需重視

中国は0.05232Mt(1.849%)前年比0.3132%増とやや停滞。中国では漢方薬用のハーブが重視されており、農業政策も内需優先の傾向があります。品質管理の厳格化が求められています。

シリア:情勢回復による急伸

シリアは0.04864Mt(1.719%)で、前年比46.75%増と極めて高い伸びを記録しました。長年の紛争の影響から徐々に農業が再建されつつあり、再生産への転換期にあることがこの急増を示しています。


ハーブ生産の課題とリスク

気候変動による作柄の不安定化

乾燥に強い作物が多いとはいえ、極端な高温や水不足は品質と収量に影響します。とくにインドやイランなど水ストレス地域では灌漑問題が深刻です。

品種の多様性と標準化のジレンマ

世界中で数百種のハーブが生産されており、品種ごとに収穫時期・栽培法・用途が異なるため、統一的な品質管理が困難です。

労働力の確保と若手農業者不足

特に伝統農業に依存する地域では、若者の農業離れと都市流出が進行しており、生産の継続性に懸念があります。


今後の推移と展望

  1. インドのさらなる伸長

    • アーユルヴェーダ関連商品の世界的な需要拡大により、インドの生産量は今後も着実に増加する見通し。

  2. シリア・メキシコなど新興生産国の台頭

    • シリアのような回復局面の国、メキシコのような米国市場を背景にする国では、生産拡大の余地が大きい。

  3. 欧州市場へのアクセス競争

    • EUの残留農薬基準やオーガニック認証の影響で、品質管理能力が国際競争力を左右する要素となる。

  4. 医薬品・サプリメント用途の拡大

    • 科学的研究の進展により、ハーブの機能性がより注目され、製薬や健康食品への需要がさらに高まることが予測されます。

 

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