世界のオーツ麦生産動向と主要国の特徴、今後の市場予測を解説

2023年の世界のオーツ麦生産量は1242Mtで前年から約6.8%増加。アメリカ、中国、ブラジルが主要生産国で堅調な伸びを示し、アルゼンチンは減少傾向。健康志向や飼料需要の増加を背景に、世界的に生産は今後も増加が期待されるが、気候変動対策や技術革新が課題となる。

オーツ麦は寒冷地や温帯地域で栽培される重要な穀物で、主に飼料や食用（シリアル、オートミールなど）として利用されます。1961年から2023年の長期データで見ると、最新の世界全体の生産量は約1242Mtで、前年に比べて+6.836%増加しています。生産量の増加は、世界的な穀物需要の拡大や健康志向の高まりが背景にあります。

主要生産国の状況と生産動向

アメリカ（389.7Mt、前年比+12.39%）

アメリカは世界最大のオーツ麦生産国です。大規模農業と先進的な農業技術の導入により安定的に生産量を伸ばしており、2023年は12.39%の増加を示しました。国内市場に加え、輸出も堅調です。

中国（289.1Mt、前年比+4.201%）

中国は世界第2位の生産国であり、主に北部の寒冷地帯で栽培されます。国内の食文化に加え、飼料需要の増加が生産拡大の原動力となっています。生産は堅調に推移しています。

ブラジル（132Mt、前年比+20.24%）

南米最大の生産国であるブラジルは、気候適応型の農業技術や作付面積拡大により大幅な生産増を達成しています。前年比20.24%と顕著な伸びを示し、今後も成長が期待されます。

アルゼンチン（41.41Mt、前年比-29.86%）

アルゼンチンは重要な生産国ですが、2023年は大幅な減少（-29.86%）となりました。気候不順や市場の変動が影響したと考えられ、短期的な回復が望まれます。

インド（38.09Mt、前年比+12.91%）

インドは近年オーツ麦の栽培を拡大しています。主に健康志向の高まりにより食用としての需要が増加しており、生産量も順調に伸びています。

ウクライナ（31.03Mt、前年比+18.5%）

ウクライナは穀物輸出国として重要ですが、政治的・軍事的な影響を受けながらも2023年は生産量を大幅に増やしました。安定供給に向けた回復力が見られます。

メキシコ（27.55Mt、前年比+3.754%）

メキシコは主に国内消費を目的とした生産で、増加傾向にあります。農業の多様化が進む中、安定した生産が続いています。

インドネシア（19.99Mt、前年比-10.61%）

インドネシアは熱帯気候ながらも生産がありますが、2023年は減少傾向。気候要因や農業資源の制約が影響しています。

ロシア（16.6Mt、前年比+4.65%）

ロシアは寒冷地帯でオーツ麦の生産が行われており、安定的に生産量を増加させています。

南アフリカ（16.43Mt、前年比+6.206%）

南アフリカは農業の多様化と国内需要の高まりで増産傾向にあります。主に飼料用途が中心です。

生産の地域別傾向と課題

• 北米（アメリカ、カナダ）高度な農業技術と大規模農業に支えられ、安定して世界最大の生産量を誇ります。

• アジア（中国、インド、インドネシア）中国・インドは寒冷地を中心に生産拡大、特にインドは健康志向による食用需要増が顕著。1方インドネシアは減少傾向。

• 南米（ブラジル、アルゼンチン）ブラジルは成長著しいが、アルゼンチンは気候変動等で減少の影響が大きい。

• ヨーロッパ・東欧（ウクライナ、ロシア）政治的混乱や気象リスクを抱えつつも回復力を見せています。

• アフリカ（南アフリカ）食糧需要の増加に対応し生産拡大が続く。

将来予測と展望

総生産量の増加傾向

世界のオーツ麦生産量は健康志向の高まりや飼料需要の増加に支えられ、今後も緩やかな増加傾向が続くと予想されます。

気候変動への対応

地域ごとに気候変動の影響が異なるため、耐環境性の高い品種開発や栽培技術の革新が生産安定化の鍵となります。

市場と消費の多様化

食品用途としての需要拡大や新興市場の開拓が進む1方で、農業資源の効率的活用も求められます。