2023年のパパイヤ世界生産量は14.23Mtで前年比+2.1%の成長。インドは減産したが、ドミニカ共和国やインドネシアが急増中。輸出志向の国々が生産を伸ばす一方、天候や病害によるリスクも。今後は新興国の成長と市場多様化が鍵。
パパイヤの生産量ランキング
各国 | 最新値[Mt] | 全体比[%] | 前年比[%] | |
---|---|---|---|---|
世界 | 14.23 | 100 | +2.105 | |
1 | インド | 5.24 | 36.82 | -1.891 |
2 | ドミニカ共和国 | 1.587 | 11.15 | +23.8 |
3 | インドネシア | 1.239 | 8.703 | +13.69 |
4 | メキシコ | 1.149 | 8.07 | -3.992 |
5 | ブラジル | 1.138 | 7.998 | -4.221 |
6 | ナイジェリア | 0.863 | 6.065 | +0.573 |
7 | 中国 | 0.685 | 4.815 | +1.029 |
8 | コンゴ民主共和国 | 0.209 | 1.468 | -0.234 |
9 | コロンビア | 0.178 | 1.254 | +17.15 |
10 | ペルー | 0.167 | 1.173 | -5.674 |
11 | タイ | 0.162 | 1.139 | +0.661 |
12 | ベネズエラ | 0.159 | 1.118 | +1.628 |
13 | フィリピン | 0.157 | 1.1 | -1.666 |
14 | バングラデシュ | 0.145 | 1.021 | -1.38 |
15 | ベトナム | 0.132 | 0.931 | +6.852 |
16 | マリ | 0.0968 | 0.68 | +9.802 |
17 | キューバ | 0.0889 | 0.625 | +8.155 |
18 | グアテマラ | 0.085 | 0.597 | -0.227 |
19 | ケニア | 0.0811 | 0.57 | +6.105 |
20 | ガイアナ | 0.0793 | 0.557 | +5.727 |
21 | エチオピア | 0.0656 | 0.461 | +8.821 |
22 | コスタリカ | 0.0642 | 0.451 | +3.52 |
23 | マラウイ | 0.0607 | 0.427 | +0.488 |
24 | エクアドル | 0.0479 | 0.337 | +0.231 |
25 | モザンビーク | 0.0432 | 0.304 | +0.19 |
26 | マレーシア | 0.0389 | 0.273 | -28.98 |
27 | ハイチ | 0.0293 | 0.206 | +2.891 |
28 | ラオス | 0.0287 | 0.202 | +7.682 |
29 | イエメン | 0.023 | 0.162 | -15.02 |
30 | オーストラリア | 0.0218 | 0.153 | +12.41 |
31 | ボリビア | 0.0181 | 0.127 | +0.772 |
32 | パナマ | 0.0146 | 0.103 | -36.2 |
33 | ネパール | 0.0146 | 0.102 | -26.04 |
34 | コートジボワール | 0.0145 | 0.102 | -0.3 |
35 | パキスタン | 0.0123 | 0.0861 | +0.286 |
36 | パラグアイ | 0.0112 | 0.079 | -0.0793 |
37 | ジャマイカ | 0.0103 | 0.0724 | -21.18 |
38 | 南アフリカ | 0.00763 | 0.0536 | -8.362 |
39 | プエルトリコ | 0.00749 | 0.0526 | +12.49 |
40 | メラネシア | 0.00693 | 0.0487 | +33.06 |
41 | フィジー | 0.00693 | 0.0487 | +33.06 |
42 | オマーン | 0.00586 | 0.0412 | +0.222 |
43 | ガーナ | 0.00571 | 0.0401 | -0.234 |
44 | サウジアラビア | 0.0048 | 0.0337 | +8.597 |
45 | アメリカ | 0.00465 | 0.0327 | -12.43 |
46 | ポリネシア | 0.00414 | 0.0291 | -0.126 |
47 | コンゴ | 0.00386 | 0.0271 | -0.342 |
48 | サモア | 0.00331 | 0.0233 | -0.556 |
49 | ギニアビサウ | 0.00311 | 0.0219 | -0.518 |
50 | モロッコ | 0.003 | 0.0211 | +31.58 |
51 | アルゼンチン | 0.00221 | 0.0156 | +0.0967 |
52 | 東ティモール | 0.00221 | 0.0156 | -0.225 |
53 | チリ | 0.00212 | 0.0149 | -1.187 |
54 | イスラエル | 0.00191 | 0.0134 | |
55 | エルサルバドル | 0.00154 | 0.0108 | +29.21 |
56 | モルディブ | 0.000805 | 0.00565 | +1026 |
57 | トリニダード・トバゴ | 0.000648 | 0.00455 | -47.25 |
58 | バハマ | 0.000595 | 0.00418 | +0.388 |
59 | スリナム | 0.000587 | 0.00412 | +141.9 |
60 | クック諸島 | 0.000581 | 0.00408 | +0.552 |
61 | ベリーズ | 0.000402 | 0.00282 | -12.99 |
62 | ホンジュラス | 0.000349 | 0.00245 | -2.689 |
63 | イラン | 0.000302 | 0.00212 | -0.333 |
64 | ルワンダ | 0.000295 | 0.00207 | -80.93 |
65 | フランス領ポリネシア | 0.000248 | 0.00174 | +4.244 |
66 | ブータン | 0.000132 | 0.000928 | +8.656 |
67 | エジプト | 0.00011 | 0.000773 | |
68 | ドミニカ | 9.12E-5 | 0.000641 | +0.64 |
69 | チュニジア | 7.75E-5 | 0.000544 | +1.07 |
70 | クウェート | 6.2E-5 | 0.000436 | +1967 |
71 | カメルーン | 4.94E-5 | 0.000347 | +1.982 |
72 | ジンバブエ | 4.65E-5 | 0.000327 | +0.845 |
73 | ミクロネシア | 2.16E-6 | 1.52E-5 | +7.463 |
74 | ナウル | 2.16E-6 | 1.52E-5 | +7.463 |


詳細なデータとグラフ
パパイヤの現状と今後
パパイヤ(Carica papaya)は熱帯・亜熱帯で栽培される果実で、短期間で結実し、高収量が期待できる果物です。栽培管理も比較的容易で、小規模農家から大規模農園まで広く導入されており、食料・医療・加工の複合的な用途があるのが特徴です。
2023年時点での世界全体の生産量は14.23Mt(1,423万トン)で、前年に比べて+2.105%の成長を示しています。これは熱帯地域における農業多角化、国内需要の増大、輸出志向の高まりが反映された結果と考えられます。
主要生産国の動向と特徴
インド(5.24Mt、前年比-1.891%)
世界最大のパパイヤ生産国であり、全体の36.8%を占める圧倒的なシェアを持ちます。主に国内消費向けであり、ジュース・乾燥果・酵素(パパイン)などの加工需要も大きいです。2023年はやや減産しましたが、これは天候不順、病害虫(例:リングスポット病)、価格変動などによるもので、中長期的には安定・微増傾向が続くと予想されます。
ドミニカ共和国(1.587Mt、+23.8%)
急成長が著しい国の1つで、前年比23.8%増という大幅な伸びを記録。これは輸出志向型農業政策と、アメリカ・カリブ諸国への安定供給を反映した結果とみられます。今後も輸出インフラ・貿易協定の整備によってさらなる成長が期待できます。
インドネシア(1.239Mt、+13.69%)
東南アジアにおける有力なパパイヤ生産国。2023年は13.69%の増加を示し、農村経済支援や農業政策の影響、国内需要増が背景にあります。輸出は限定的ですが、国内供給の安定化と加工業の成長により、引き続き堅調な成長が見込まれます。
メキシコ(1.149Mt、-3.992%)
かつての主要輸出国であり、アメリカ市場向けの供給拠点でしたが、近年は減少傾向。2023年は4%弱の減産で、これは農地転用、価格低迷、気候リスクによるものです。今後も安定供給のための耐病性品種導入やサプライチェーンの改善が求められます。
ブラジル(1.138Mt、-4.221%)
中南米の有力生産国で、国内需要・加工向けの生産が中心。2023年はやや減少しましたが、これは地域的な干ばつや輸送コストの上昇が原因と推定されます。長期的には微増~横ばいの傾向が続くでしょう。
ナイジェリア(0.863Mt、+0.573%)
西アフリカ最大のパパイヤ生産国であり、伝統的な果実栽培の1部として浸透しています。国内消費がほぼすべてであり、地域経済における重要作物です。今後も人口増加と都市化に伴う需要の拡大が予測されます。
中国(0.685Mt、+1.029%)
主に南部(広西・広東)での生産が中心。ハウス栽培や気候順応型農業による拡大が進み、2023年も小幅ながら増加。国内市場向けに特化しており、食習慣の変化や健康志向の高まりが需要の支えとなっています。
コンゴ民主共和国(0.209Mt、-0.234%)
人口増加に対して農業生産力の向上が遅れている背景があり、パパイヤも地域消費に依存。2023年はわずかな減少ですが、都市部需要と支援政策次第で将来的には成長余地があります。
コロンビア(0.178Mt、+17.15%)
前年比17%以上の増産は、輸出志向と農地転用政策の効果です。パパイヤは中南米での気候リスク回避型作物として評価されており、将来的に輸出先の多様化(アメリカ、欧州、アジア)で伸びしろが見込まれます。
ペルー(0.167Mt、-5.674%)
近年は他果物(アボカド、ブルーベリー)への注力により、パパイヤは減産傾向。2023年も5.7%の減少を記録。今後はニッチ市場や有機栽培ブランド化などで活路が見出される可能性があります。
地域別傾向と構造変化
アジア圏(インド、インドネシア、中国)
高温多湿な気候に適し、生産量の多い地域。加工需要・国内消費ともに堅調で、今後も微増基調。特にインドは気候変動対策が鍵。
中南米(ドミニカ、メキシコ、ブラジル、コロンビア)
輸出指向型の成長戦略が目立つ。中でもドミニカ共和国の急成長は注目。ブラジル・メキシコのような大国では、国内経済や政策変化が影響大。
アフリカ(ナイジェリア、コンゴ民主共和国)
都市化と人口増が今後の需要増を支える要因。1方、インフラ未整備や技術不足が課題。
今後の予想と注目トレンド
成長要因
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熱帯果実の需要増加(健康・ダイエット・美肌)
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酵素需要(パパイン)と加工食品市場の拡大
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輸出志向の強化と農業支援政策
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都市部での中間層拡大と果物消費の高まり
課題とリスク
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気候変動による病害虫リスク(例:カビ病、ウイルス)
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単1品種依存による栽培リスク
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インフラ整備の遅れと輸送ロス
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価格の不安定さと農家のモチベーション低下
まとめと展望
パパイヤは熱帯果実の中でも成長性が高く、栽培効率がよい作物として注目されています。2023年の世界全体での生産は増加しており、ドミニカ共和国やインドネシアなど新興勢力の台頭が目立ちました。1方、インドのような従来の大生産国は、気候変動や病害の影響を受けやすくなっています。
今後の生産傾向は、輸出志向国での生産拡大と、国内市場重視の地域での安定供給体制構築が並行して進むと予想されます。パパイヤは今後も、熱帯農業の主力果実として地位を保ちつつ、機能性食品としての新市場開拓にも貢献していくでしょう。
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