世界のクランベリー生産動向:米加中心の供給構造と課題の分析

果物(南国)

2023年のクランベリー世界生産量は535.2ktで、前年比9.7%減。アメリカが主導し、カナダは大幅減少。新興国では生産が限定的だが、安定的なニッチ需要が見込まれる。今後は気候変動や生産の多極化への対応が鍵。

クランベリーの生産量ランキング

2023年
降順昇順
各国最新値[kt]全体比[%]前年比[%]
世界535.2100-9.657
1アメリカ367.968.73+0.933
2カナダ151.328.27-28.04
3トルコ12.172.273-11.51
4アゼルバイジャン2.8180.527+0.146
5ウクライナ0.4150.0775-1.376
6北マケドニア0.3120.0583-0.208
7チュニジア0.1910.0357+0.988
8ベラルーシ0.1420.0265-27.13
クランベリーの生産量
クランベリーの生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

クランベリーの現状と今後

2023年の世界全体のクランベリー生産量は535.2キロトン(kt)で、前年から9.657%の減少となりました。これは、特定地域での気候影響や市場の調整など、複数要因が重なった結果と考えられます。

クランベリーは、主に北米を中心に生産される特殊作物であり、その地域的偏在性が他の果実と大きく異なります。


アメリカ – クランベリーの世界的中枢

生産量:367.9kt(世界全体の約69%)

前年比:+0.933%

アメリカは依然として世界最大のクランベリー生産国で、特にウィスコンシン州マサチューセッツ州での栽培が有名です。

  • クランベリーは水を張った湿地帯の特殊な農地で栽培され、機械化された収穫手法が確立。

  • 消費はジュースや乾燥果実、サプリメント向けが主流で、加工用果実の需要が圧倒的に高い

  • 近年は気候変動や労働力不足に対する対応が生産現場の焦点。

2023年は微増に留まったものの、基盤の強さと安定的な輸出市場の存在により、今後も世界生産を牽引していくでしょう。


カナダ – アメリカに次ぐ大規模生産国の急減

生産量:151.3kt

前年比:-28.04%

カナダは特にブリティッシュコロンビア州とケベック州でクランベリーの栽培が盛んです。

  • アメリカ同様、広大な湿地と冷涼な気候を活かした生産が中心。

  • 輸出志向が強く、ヨーロッパ市場への供給も多い。

  • 2023年の大幅減は、収穫期の天候不順1部地域での霜害流通調整が影響した可能性が高い。

今後は生産の回復とともに、サステナブル農法の導入や市場の多様化が課題となります。


トルコ – 欧州圏での新興生産地

生産量:12.17kt

前年比:-11.51%

トルコは、ヨーロッパ・中東圏でクランベリー生産の存在感を高めつつある国の1つです。

  • 気候条件としては限られた高地での栽培に適し、国内需要や1部輸出市場向けの生産

  • 他の果実類と比べると栽培面積は限定的だが、地域ブランド化や付加価値化が進行中

2023年の生産減少は、局地的な気象条件病害リスクの影響と考えられます。


その他の国々の動向と特徴

アゼルバイジャン(2.818kt、+0.146%)

わずかな増加ながら、安定した国内需要向けに生産が維持されています。家族経営や小規模農園中心で、伝統的な農法が多いのが特徴です。

ウクライナ(0.415kt、-1.376%)

戦争や政治不安定が生産体制に影響し、規模の縮小や流通の停滞が続いています。

北マケドニア(0.312kt、-0.208%)

バルカン諸国では珍しいクランベリー栽培が行われており、ニッチ市場での活用が期待されています。

チュニジア(0.191kt、+0.988%)

アフリカ北部での生産国としては珍しく、砂漠気候下での限定的な栽培が試みられています。乾燥品や薬効利用を目的とした生産

ベラルーシ(0.142kt、-27.13%)

冷涼な気候を活かした栽培国であったが、政治・経済状況や市場不安により2023年は大幅減。


クランベリーの将来予測と課題

世界的な需要は限定的なまま安定

クランベリーは1般的な果実に比べて消費用途が加工に偏っているため、急激な市場拡大は予想されません。しかし、健康志向やサプリメント需要の増加により、安定したニッチ市場として継続する見通しです。

アメリカとカナダが主導する構図は今後も変わらず

この2カ国の技術・インフラ・物流網の優位性が非常に高く、他国が容易に追随できる状況ではありません。ただし、地球温暖化や水資源の制約が将来的な不確実性を生み出す要因となります。

持続可能性と多角化の必要性

1極集中を避けるためには、新興国での試験的生産や、品種の多様化、機能性食品としての利用開拓が重要になります。特に、乾燥加工やジュース以外の応用分野の開発が期待されます。

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