2023年のアプリコットの世界生産は3.728Mtで前年比4.2%減。トルコは最大生産国だが減産。ウズベキスタンやイランは成長傾向。南欧は気候で変動が大きく、パキスタンやアフガニスタンは情勢や環境に課題。今後は加工品需要や中央アジアの台頭が鍵。
アプリコットの生産量ランキング
各国 | 最新値[Mt] | 全体比[%] | 前年比[%] | |
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世界 | 3.728 | 100 | -4.216 | |
1 | トルコ | 0.75 | 20.12 | -6.6 |
2 | ウズベキスタン | 0.501 | 13.43 | +10.92 |
3 | イラン | 0.318 | 8.542 | +4.1 |
4 | イタリア | 0.207 | 5.557 | -9.949 |
5 | アルジェリア | 0.201 | 5.38 | -2.636 |
6 | アフガニスタン | 0.155 | 4.169 | -8.843 |
7 | パキスタン | 0.135 | 3.623 | -33.8 |
8 | フランス | 0.128 | 3.427 | -0.234 |
9 | アルメニア | 0.114 | 3.071 | +0.812 |
10 | スペイン | 0.108 | 2.909 | +34.1 |
11 | ギリシャ | 0.0983 | 2.637 | -12.41 |
12 | 日本 | 0.0955 | 2.562 | -1.139 |
13 | ロシア | 0.0745 | 1.998 | -12.25 |
14 | エジプト | 0.0741 | 1.987 | +7.226 |
15 | 中国 | 0.0691 | 1.854 | -4.439 |
16 | モロッコ | 0.059 | 1.583 | -13.21 |
17 | シリア | 0.0547 | 1.467 | -5.353 |
18 | ウクライナ | 0.0408 | 1.094 | -17.98 |
19 | チュニジア | 0.0364 | 0.976 | -1.663 |
20 | カザフスタン | 0.034 | 0.912 | +40.52 |
21 | トルクメニスタン | 0.0337 | 0.904 | -0.0997 |
22 | レバノン | 0.0329 | 0.882 | -4.055 |
23 | アメリカ | 0.0325 | 0.872 | +23.29 |
24 | タジキスタン | 0.0314 | 0.843 | -0.192 |
25 | アゼルバイジャン | 0.0305 | 0.817 | +0.586 |
26 | セルビア | 0.0291 | 0.78 | -34.47 |
27 | アルゼンチン | 0.0276 | 0.741 | +0.364 |
28 | リビア | 0.027 | 0.725 | +4.546 |
29 | キルギスタン | 0.0268 | 0.72 | +0.679 |
30 | 南アフリカ | 0.0249 | 0.668 | -14.99 |
31 | ルーマニア | 0.0246 | 0.659 | +4.468 |
32 | イラク | 0.0238 | 0.637 | -26.52 |
33 | ヨルダン | 0.0226 | 0.605 | +18.99 |
34 | ハンガリー | 0.0163 | 0.437 | -32.39 |
35 | インド | 0.0152 | 0.407 | +0.723 |
36 | ブルガリア | 0.0108 | 0.291 | -43.07 |
37 | モルドバ | 0.00602 | 0.161 | -49.21 |
38 | アルバニア | 0.00558 | 0.15 | +1.424 |
39 | ボスニア・ヘルツェゴビナ | 0.00536 | 0.144 | +30.09 |
40 | スイス | 0.00519 | 0.139 | -36.23 |
41 | オーストリア | 0.00467 | 0.125 | -25.64 |
42 | イスラエル | 0.0045 | 0.121 | -30.77 |
43 | ポーランド | 0.0044 | 0.118 | -4.348 |
44 | チリ | 0.00375 | 0.101 | -5.138 |
45 | 北マケドニア | 0.00342 | 0.0917 | -35.67 |
46 | ポルトガル | 0.00259 | 0.0695 | -35.41 |
47 | オーストラリア | 0.0025 | 0.0669 | -48.06 |
48 | ニュージーランド | 0.00194 | 0.052 | -0.548 |
49 | ジョージア | 0.0018 | 0.0483 | -30.77 |
50 | イエメン | 0.00172 | 0.0462 | +0.0546 |
51 | ネパール | 0.00166 | 0.0446 | -25.3 |
52 | マダガスカル | 0.0015 | 0.0402 | +0.432 |
53 | パレスチナ | 0.00105 | 0.0283 | +2.771 |
54 | メキシコ | 0.00104 | 0.0279 | +45.42 |
55 | カメルーン | 0.00093 | 0.025 | -0.149 |
56 | キプロス | 0.00093 | 0.0249 | -9.709 |
57 | ペルー | 0.00084 | 0.0225 | +24.17 |
58 | チェコ | 0.00071 | 0.019 | -53.59 |
59 | カナダ | 0.000696 | 0.0187 | -4.527 |
60 | スロベニア | 0.00036 | 0.00966 | -60.44 |
61 | エクアドル | 0.000347 | 0.0093 | +0.208 |
62 | スロバキア | 0.00027 | 0.00724 | -41.3 |
63 | クロアチア | 0.00027 | 0.00724 | -59.7 |
64 | ケニア | 7.72E-5 | 0.00207 | -0.31 |
65 | ジンバブエ | 4.54E-5 | 0.00122 | +0.598 |
66 | ブータン | 2.4E-5 | 0.000645 | -31.43 |
67 | マルタ | 1.0E-5 | 0.000268 | -66.67 |
68 | ルクセンブルク | 0 | 0 | |
69 | リトアニア | 0 | 0 | |
70 | ラトビア | 0 | 0 | |
71 | ベルギー | 0 | 0 | |
72 | フィンランド | 0 | 0 | |
73 | デンマーク | 0 | 0 | |
74 | スウェーデン | 0 | 0 | |
75 | オランダ | 0 | 0 | |
76 | エストニア | 0 | 0 | |
77 | アイルランド | 0 | 0 |


詳細なデータとグラフ
アプリコットの現状と今後
2023年の世界のアプリコット生産量は3.728百万トン(Mt)で、前年比-4.216%とやや大きな減少が見られました。これは、主要生産国の1部で天候不順や構造的課題が影響した結果であり、世界的にアプリコット生産は気候と地政学的条件に左右されやすい果実であることが表れています。
トルコ – 世界最大のアプリコット供給国の揺らぎ
生産量:0.75Mt(世界全体の約20%)、前年比:-6.6%
トルコはアプリコットの最大の生産・輸出国であり、特に乾燥アプリコット(ドライアプリコット)の生産では世界1を誇ります。しかし2023年は減産傾向となりました。これは以下の要因が推測されます:
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春季の霜害や降雨不足
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古木の更新が追いつかない構造的問題
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1部地域での農地転用
それでも、トルコのインフラと輸出ネットワークは強固であり、将来的にも主要供給国としての立場は変わらない見込みです。
中央アジア諸国の台頭 – ウズベキスタンとイラン
ウズベキスタン(0.501Mt、+10.92%)
2023年、前年比で約11%の増加を見せたウズベキスタンは、近年アプリコットの急成長産地です。
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内陸性気候による糖度の高い果実
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国策による果樹栽培振興
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ロシア・中国などへの輸出志向
今後も乾燥品・加工品としての需要が高まることで、ウズベキスタンの影響力はさらに増すと考えられます。
イラン(0.318Mt、+4.1%)
イランは、古くからアプリコットの栽培が盛んな国です。2023年も小幅ながら増加を見せ、内需と周辺国への供給を両立しています。
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乾燥地向け品種が多く、環境耐性が高い
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加工・輸出ともに1定の品質と量を維持
将来的にも、安定した供給源として継続的な生産が見込まれます。
南ヨーロッパ – 品質重視と気候リスクの共存
イタリア(0.207Mt、-9.949%)・スペイン(0.108Mt、+34.1%)・フランス(0.128Mt、-0.234%)
南ヨーロッパのアプリコット生産は、食味・品質に優れる品種が多く、主に国内市場やEU圏への供給を目的としています。
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イタリアは伝統的な果樹地帯を持ちますが、2023年は霜や干ばつの影響で減産。
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スペインは気候条件の改善と栽培管理の見直しにより、前年比+34.1%の大幅増加。
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フランスは前年とほぼ同水準を維持し、品質第1の生産志向を堅持しています。
この地域は天候の変動に生産量が左右されやすく、毎年の変動幅が大きいのが特徴です。
北アフリカと西アジア – 地場消費を支える重要生産地
アルジェリア(0.201Mt、-2.636%)・アフガニスタン(0.155Mt、-8.843%)・パキスタン(0.135Mt、-33.8%)
これらの地域では、アプリコットは地場での食用・加工用・乾燥品としての重要果実とされてきました。
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アルジェリアは比較的安定した生産を続けているが、気温上昇と水不足が今後の課題。
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アフガニスタンは古くからの生産国ですが、情勢不安や農業基盤の不整備により減少傾向。
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パキスタンは2023年に大幅な減産(-33.8%)となり、気候変動と収穫期の災害が影響したと見られます。
これらの国では、大規模輸出よりも国内消費や伝統的な利用法への供給が主であり、今後も国内需要を中心に展開されるでしょう。
アルメニア – 起源地にして品質重視の国
生産量:0.114Mt、前年比:+0.812%
アルメニアはアプリコットの原産地のひとつとされる国であり、伝統的な品種が今も多数残されています。
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高品質果実と独特の風味が評価され、主に地域内消費・高級市場向けに出荷。
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栽培面積は限定的ながらも、文化的・経済的に重要な作物。
生産量自体は大きくないものの、品質と文化的価値の両面で注目される存在です。
将来予測と課題(~2030年)
アプリコットの世界生産は、以下のような方向性で推移していくと予測されます:
気候変動への脆弱性
春の霜害・猛暑・干ばつといった気象変化により、今後も不安定な年ごとの収穫量が続く見込みです。とくにヨーロッパや中東は、気候変化に非常に敏感な地域であり、対策(品種転換・栽培時期の調整)が急務です。
中央アジアの台頭
ウズベキスタンなどの内陸乾燥地での持続可能な生産体制の構築が進めば、世界市場での存在感が増すでしょう。乾燥品や輸出向け加工製品の需要拡大がこれを支えます。
加工・輸出市場の拡大
世界的に生鮮アプリコットは保存性に難があるため、今後はドライアプリコットやジャム、ジュースなど加工品の需要が拡大していくと見られます。その流れに適応できる国が、将来の競争で優位に立つでしょう。
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