世界のアプリコット生産動向:主要国の特徴と将来予測を解説

果物(南国)
生産量



アプリコットの世界生産は2023年に3.728Mtで前年比4.2%減。トルコが生産量・輸出ともに世界トップだが、気候変動の影響を受けやすい。中央アジアや北アフリカでも生産が伸びており、今後は技術革新と輸出戦略が鍵となる。

生産量のデータとグラフ

アプリコット生産量の最大と最新

世界 トルコ ウズベキスタン イラン イタリア アルジェリア アフガニスタン パキスタン
最新 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年
最大期 2017年 2017年 2015年 2006年 2019年 2013年 2021年 2007年
最新値[Mt] 3.728 0.75 0.5005 0.3185 0.2072 0.2006 0.1554 0.1351
最大値[Mt] 4.789 0.985 0.606 0.509 0.273 0.3198 0.2075 0.2402
前年比[%] -4.216 -6.6 10.92 4.1 -9.949 -2.636 -8.843 -33.8
全体比[%] 100 20.12 13.43 8.542 5.557 5.38 4.169 3.623

 

これまでの推移

アプリコットの生産量
最新の割合

 

詳細なデータとグラフ

 

アプリコット生産量についての推移と展望

アプリコットは温暖乾燥気候を好む果樹で、地中海地域から中央アジアにかけての乾燥地帯で古くから栽培されています。2023年の世界総生産量は3.728Mt(メガトン)であり、前年から-4.216%減少しました。果実としての消費はもちろん、乾燥果実(ドライアプリコット)やジャム、菓子原料としても世界中で需要があります。生産の波は気象条件に大きく左右される傾向があります。

トルコ―世界最大の生産・輸出国

トルコはアプリコットの世界的な生産・輸出大国であり、2023年には0.75Mtを生産して世界全体の20.12%を占めました。特にマラティア地方は高品質のドライアプリコットの産地として世界的に知られています。ただし、2023年は天候不順や霜害により前年比-6.6%の減少が見られました。今後も栽培地の高齢化と気候変動への対策が課題です。

中央アジアのアプリコット大国―ウズベキスタンとイラン

ウズベキスタン(0.5005Mt、13.43%)は近年急成長している生産国で、2023年には前年比10.92%の増加を記録しました。農業の近代化と輸出志向政策により、アプリコットの収益性が高まりつつあります。イラン(0.3185Mt、8.542%)も長年の生産国で、乾燥地域における伝統的栽培技術が生きています。2023年は前年比4.1%増と堅調でしたが、水資源の確保が今後のカギとなります。

欧州と北アフリカの中堅国―イタリア、アルジェリア

イタリア(0.2072Mt、5.557%)では主に南部で生産されており、生食用としての品質に定評があります。しかし、2023年は悪天候などの影響で-9.949%と大きく減少しました。一方、アルジェリア(0.2006Mt、5.38%)は乾燥気候を活かした伝統的な生産国であり、近年は国内需要に支えられながら着実に供給を続けています。ただし、インフラの未整備や市場アクセスの問題が成長の障壁です。

アフガニスタンとパキスタン―不安定な中の伝統生産

アフガニスタン(0.1554Mt、4.169%)とパキスタン(0.1351Mt、3.623%)では、古来より農村部を中心にアプリコットが栽培されてきました。特にアフガニスタン北部では乾燥アプリコットの自給・交易が文化として根付いています。しかし、政治的・経済的な不安定さやインフラ不足により生産の継続性に課題があります。2023年はともに大きな減少を記録し、パキスタンでは-33.8%と深刻な落ち込みでした。

アプリコット生産の課題と将来展望

世界のアプリコット生産は気候リスクに強く影響される果物であり、開花期の霜害や乾燥、降雨パターンの変化が収量に直結します。また、労働集約的な収穫作業に対して、農村部の人手不足や高齢化が問題です。今後の対策としては、耐寒性や耐病性のある新品種の導入、高密植栽培やドローン活用などの技術革新が求められます。需要面では、健康志向によりドライフルーツや自然派食品としての需要が拡大する可能性があり、輸出を重視する国々では品質管理とブランド化が重要になります。

 

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