中国が圧倒的首位:世界のプラム生産動向と今後の展望を解説

果物(南国)

2023年の世界のプラム生産量は12.49Mtで微減。中国が半数以上を占め安定。アメリカやフランスは大幅増、東欧やバルカン諸国では気候・構造問題で減産。チリやイランは堅調に成長。今後は気候対応や品種戦略により、輸出志向型と伝統果樹型に二極化が進む見通し。

プラムの生産量ランキング

2023年
降順昇順
各国最新値[Mt]全体比[%]前年比[%]
世界12.49100-0.592
1中国6.89555.21-0.409
2ルーマニア0.6455.165-3.1
3チリ0.4343.474+1.855
4セルビア0.3632.904-25.76
5トルコ0.3552.843+1.83
6イラン0.3552.841+6.79
7アメリカ0.3422.738+34.4
8ボスニア・ヘルツェゴビナ0.272.159-12.14
9フランス0.2081.662+107.6
10ロシア0.1891.515-10.88
11ウズベキスタン0.1781.427+0.332
12モロッコ0.1761.407-1.748
13ウクライナ0.1651.324-1.957
14スペイン0.1631.305+3.539
15イタリア0.1611.289-14.09
16モルドバ0.151.204+50.04
17ポーランド0.1271.018-4.58
18アルジェリア0.09830.787-0.536
19アルゼンチン0.09710.778-3.977
20南アフリカ0.09430.755-15.23
21パキスタン0.08140.652+6.298
22メキシコ0.06490.52-7.275
23ブルガリア0.05770.462+1.924
24リビア0.05560.445-0.376
25韓国0.05470.438+4.398
26ドイツ0.04960.397-3.387
27アフガニスタン0.0470.377-14.86
28アゼルバイジャン0.04370.35+6.253
29アルバニア0.03980.319-11.75
30エジプト0.03950.316-11.03
31ハンガリー0.03740.299+6.863
32レバノン0.03730.299-0.774
33トルクメニスタン0.0340.273+0.139
34アルメニア0.02980.239-12.8
35オーストラリア0.0240.193+18.4
36シリア0.0220.176-4.575
37北マケドニア0.02130.171-46.06
38ギリシャ0.02120.17-13.15
39チュニジア0.02090.168+4.695
40コロンビア0.01990.159+6.092
41ポルトガル0.01870.149+5.065
42日本0.01710.137-9.043
43イエメン0.01660.133-4.416
44イスラエル0.01650.132-13.16
45ジョージア0.01260.101-23.17
46キルギスタン0.01230.0987-0.17
47ベラルーシ0.01080.0868-6.64
48イラク0.009080.0727-30.66
49エクアドル0.008740.07+0.187
50ネパール0.007880.0631-24.6
51カザフスタン0.007860.0629-11.6
52ヨルダン0.007050.0565+48.93
53オランダ0.006430.0515+0.469
54オーストリア0.006370.051-39.33
55クロアチア0.005620.045-47.18
56チェコ0.005420.0434-49.25
57ペルー0.005150.0412-15.26
58イギリス0.005070.0406-19.52
59スイス0.004530.0362-28.6
60タジキスタン0.004150.0333+3.176
61ボリビア0.004140.0332-1.559
62タンザニア0.004110.0329-0.284
63カナダ0.003870.031+0.103
64マダガスカル0.002390.0191+0.332
65ウルグアイ0.002160.0173+0.111
66ノルウェー0.002120.017+5.412
67パラグアイ0.002020.0162+0.759
68キプロス0.001650.0132-9.341
69エスワティニ0.001430.0115-0.13
70パレスチナ0.001430.0115-30.54
71ニュージーランド0.00130.0104-0.749
72スロバキア0.001190.00953-5.556
73モンテネグロ0.001120.00894-11.82
74ケニア0.0009180.00735-10.78
75グレナダ0.0007560.00605+0.221
76リトアニア0.000650.0052-21.69
77カメルーン0.0006210.00497+0.265
78デンマーク0.000480.00384-2.041
79ベルギー0.000380.00304+90
80ルクセンブルク0.00030.0024+66.67
81ブータン0.0002750.0022-12.01
82ジンバブエ0.000270.00217-0.291
83スロベニア0.000270.00216-40
84スウェーデン0.000220.00176-24.14
85マラウイ0.0001490.00119-0.201
86ラトビア0.00010.000801-9.091
87マルタ3.0E-50.00024-50
88エストニア2.0E-50.00016-66.67
89フィンランド00
プラムの生産量
プラムの生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

プラムの現状と今後

2023年の世界全体のプラムの生産量は12.49百万トン(Mt)で、前年比-0.592%の微減となりました。60年以上のデータレンジで見ると、プラムは果樹の中でも長期的に安定して生産されている果実のひとつですが、2023年は複数国で気候や構造的課題による減産が目立ちました。

その中でも、特定の国々は大きな増減を繰り返しながら、地域ごとに異なる動向を見せています。


中国 – 圧倒的な首位と持続的な需要

生産量:6.895Mt(世界の約55%)、前年比:-0.409%

中国は、世界のプラム生産の過半数を占める最大の生産国です。2023年はわずかに減少したものの、長期的に高いレベルで安定しています

  • 国内市場が非常に大きく、都市部での果実需要も堅調

  • 広大な農地と異なる気候帯を持ち、長期間にわたる供給が可能

  • 1部は加工(ドライフルーツやジャム)にも利用

将来的にも中国は引き続き世界の中心的なプラム供給国であり続けると見られます。


東欧とバルカン諸国 – 伝統と気候リスクの交錯

ルーマニア(0.645Mt、-3.1%)

ルーマニアは東欧におけるプラムの伝統的生産国であり、長く家庭果樹園や小規模農家で栽培されてきました。近年は気候変動の影響で安定供給が困難になってきています。

セルビア(0.363Mt、-25.76%)・ボスニア(0.27Mt、-12.14%)

両国とも2023年は大幅な減産となっており、特にセルビアは前年からの減少幅が顕著です。これは、以下のような要因が絡んでいると考えられます:

  • 晩霜・干ばつなどの気候異常

  • 高齢化・農業離れによる人手不足

  • EU基準との適応負担

とはいえ、伝統的な蒸留酒(スリヴォヴィッツ)やドライプラムの生産が根強く、1定の生産量は維持される可能性が高いです。


中東と南米 – 安定成長と市場拡大の兆し

イラン(0.355Mt、+6.79%)

イランは近年プラム生産で成長を続けており、特に内陸高地での栽培が品質と収穫量の安定化に寄与しています。国内消費が主体ですが、周辺国への輸出も増えています。

チリ(0.434Mt、+1.855%)

チリは南半球の主要供給国として、特に北米・アジア向けの輸出型プラム栽培が発展しています。2023年も小幅増で、安定的に成長中です。

  • 加工(ドライプルーン)向けが主流

  • 灌漑施設の拡充と輸出インフラの整備により競争力が高い


トルコとフランス – 対照的な増減と市場の位置づけ

トルコ(0.355Mt、+1.83%)

トルコは安定的にプラムを生産しており、多様な品種構成と輸出志向が特徴。2023年も小幅な増加にとどまりましたが、中東・EU市場への供給国として重要な役割を担っています。

フランス(0.208Mt、+107.6%)

2023年は前年比で倍以上の増加を記録。前年が非常に少なかった反動とも言えますが、フランスでは高品質品種(ミラベルなど)を中心に、加工・菓子・酒類向けの価値重視の生産が行われています。

今後も量より質を重視した生産体制が維持される見込みです。


アメリカとロシア – 地域の需要と安定のバランス

アメリカ(0.342Mt、+34.4%)

2023年は大幅な増産が見られました。アメリカではカリフォルニアを中心に、ドライプルーンの1大生産地として確立しています。

  • 機械化・管理技術の高度化により安定性が高い

  • 国内需要と輸出両面でのバランスの取れた供給

将来も高品質加工用の供給源としての地位が続くと予想されます。

ロシア(0.189Mt、-10.88%)

ロシアは気候リスクが大きい地域であり、2023年は収穫量が減少しました。国内の寒冷地でも育つ耐寒性品種の普及がカギであり、気候適応が今後の課題です。


将来展望(2030年まで)

地域別分業と輸出型産地の進展

  • 中国、チリ、アメリカ:輸出・加工を支える安定生産地

  • 東欧・バルカン諸国:伝統を維持するが減少傾向

  • トルコ・イラン・フランス:品質・品種・市場ニーズで個性を出す生産国

今後は、プラムの用途が加工用から生鮮デザート向けに拡大する可能性もあり、輸送性・保存性の高い品種開発がカギを握るでしょう。

気候対応と生産の2極化

気温上昇・干ばつなどの気候変動リスクへの対応が生産維持の前提となります。また、生産コストの高い地域では、付加価値型への転換が求められるため、量産型と高品質型の生産2極化が加速する可能性が高いです。

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