桃とネクタリンの世界生産量動向と国別の特徴、今後の展望

果物

桃とネクタリンの2023年世界生産量は27.08Mtで前年比+2.565%。中国が全体の65%を占め安定増加。スペインは前年不作から大幅回復、トルコやイランも好調。一方、アメリカやギリシャは気候や労働問題で減少。今後はアジア市場への供給強化と気候対応が鍵。

桃とネクタリンの生産量ランキング

2023年
降順昇順
各国最新値[Mt]全体比[%]前年比[%]
世界27.08100+2.565
1中国17.5264.69+4.159
2スペイン1.3825.103+58.69
3トルコ1.0773.977+6.811
4イタリア1.0343.818-10.22
5アメリカ0.6662.459-6.494
6イラン0.6142.267+6.346
7ギリシャ0.5752.123-35.75
8チリ0.3041.123-3.116
9メキシコ0.2580.952+7.795
10エジプト0.2490.919-4.16
11フランス0.2230.823-3.982
12ウズベキスタン0.2180.805+2.804
13ブラジル0.2010.741-3.885
14アルジェリア0.1990.736+4.483
15韓国0.1960.723+2.369
16南アフリカ0.1880.694-6.562
17モロッコ0.1860.685-25.15
18パキスタン0.160.591+6.501
19チュニジア0.1570.579+0.511
20アルゼンチン0.1530.567+1.302
21北朝鮮0.1230.453+0.172
22日本0.110.404-6.33
23ヨルダン0.1070.394+8.277
24アフガニスタン0.1060.393+4.783
25アゼルバイジャン0.06530.241+13.11
26オーストラリア0.06220.23-22.8
27アルメニア0.06220.23+25.09
28ボリビア0.05850.216-0.835
29イスラエル0.05810.215-13.41
30グアテマラ0.04890.181+0.634
31シリア0.0450.166+2.892
32ベネズエラ0.0450.166-41.36
33セルビア0.04470.165-1.419
34レバノン0.04450.164-17.29
35ロシア0.0430.159-7.965
36ペルー0.04140.153-13.94
37ボスニア・ヘルツェゴビナ0.03460.128+15.13
38ポルトガル0.03460.128+5.33
39サウジアラビア0.03270.121+11.74
40タジキスタン0.03140.116+0.146
41トルクメニスタン0.03040.112+0.261
42ジョージア0.02940.109-6.667
43コロンビア0.02610.0966-16.48
44カナダ0.02470.0913+2.999
45アルバニア0.02290.0847+2.069
46リビア0.01430.0529+2.742
47ハンガリー0.01430.0527-36.24
48モルドバ0.01280.0472-37.56
49ルーマニア0.01260.0463+1.455
50マラウイ0.01230.0455+0.68
51ウルグアイ0.01230.0454+0.32
52キルギスタン0.01140.0422+0.196
53ウクライナ0.01120.0413-12.58
54マダガスカル0.01120.0413+0.603
55イエメン0.01110.041-1.867
56ブルガリア0.01080.0399-55.33
57ネパール0.01040.0385-11.12
58ジンバブエ0.008950.033+3.155
59北マケドニア0.006160.0227-49.99
60ポーランド0.00530.0196-17.19
61エクアドル0.004560.0168+0.011
62カザフスタン0.003660.0135-2.823
63イラク0.003260.012-6.784
64クロアチア0.002710.01-28.87
65パレスチナ0.002570.00949+3.402
66キプロス0.002290.00846-10.2
67パラグアイ0.001430.00528+0.56
68オーストリア0.001210.00447-49.79
69モンテネグロ0.001150.00424-8.534
70スロベニア0.001020.00377-47.69
71カメルーン0.001010.00374-0.384
72スロバキア0.000880.00325-29.6
73ブータン0.0004860.00179-5.762
74マルタ0.000360.00133+24.14
75チェコ0.000190.000702-44.12
76ニュージーランド0.0001810.000669-1.915
77ケニア0.0001690.000623+76.33
78スイス0.0001640.000606-7.865
79エチオピア0.0001610.000593+0.312
80ルクセンブルク00
81リトアニア00
82ラトビア00
83ベルギー00
84フィンランド00
85デンマーク00
86スウェーデン00
87オランダ00
88エストニア00
89アイルランド00
桃とネクタリンの生産量
桃とネクタリンの生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

桃とネクタリンの現状と今後

2023年の世界全体の桃とネクタリンの生産量は27.08百万トン(Mt)で、前年比+2.565%の増加となっています。この果樹カテゴリは、果実の美味しさやビタミンCなど栄養価の高さから、世界的に需要が根強く、安定した成長傾向にあります。

特に近年は気候変動の影響による不作と豊作の年が交互に現れる傾向があり、品種選定や栽培管理が生産量に大きく影響する状況です。


中国 – 圧倒的な生産力と国内市場の吸収

中国は、世界の桃・ネクタリンの約65%(17.52Mt)を生産する圧倒的な最大国であり、前年比でも+4.159%と安定的に増加しています。

主な特徴:

  • 広大な生産面積と地域多様性により、長期間にわたる供給が可能。

  • 品種改良が進んでおり、極早生から晩生まで多様な市場ニーズに対応。

  • 国内消費が非常に大きく、輸出依存度は相対的に低い

将来も成長が見込まれますが、労働力コストの上昇や都市化による農地転用がリスク要因です。


ヨーロッパ南部 – 気候の影響と急変する生産量

スペイン、イタリア、ギリシャの3カ国は、欧州における桃・ネクタリンの主要産地であり、毎年の気候条件に大きく左右される特徴があります。

スペイン(1.382Mt、+58.69%)

2023年は前年度の不作からの大幅回復により、1気に生産量を伸ばしました。これは、前年の干ばつや霜害からの回復によるものと考えられます。

スペインは輸出志向が強く、欧州市場への供給基地として重要な役割を担っています。

イタリア(1.034Mt、-10.22%)

イタリアは近年、気温上昇や水不足、農地の縮小などの影響で、やや減少傾向が続いています。産地によっては果樹から他作物への転換も見られ、構造的な生産縮小リスクがあります。

ギリシャ(0.575Mt、-35.75%)

大幅な減産は、気候トラブル(遅霜・干ばつ)や流通課題が影響したと見られます。近年、ギリシャでは農業離れも進行しており、生産基盤の弱体化が危惧されています。


トルコ・イラン – 安定的な気候と中東市場の支え

トルコ(1.077Mt、+6.811%)

トルコは気候条件に恵まれた果樹栽培国であり、近年、輸出向け生産が拡大しています。比較的温暖で水資源の利用も進んでおり、今後も堅実な成長が見込まれます。

イラン(0.614Mt、+6.346%)

イランでは標高の高いエリアでの桃・ネクタリン栽培が盛んで、品質面でも評価が高いです。国内市場の吸収力が強く、また中東近隣諸国への輸出も徐々に進展しています。


アメリカ – 生産減少の兆しと構造的課題

アメリカは0.666Mtの生産量で、前年比では-6.494%の減少を示しました。特にカリフォルニア州が中心産地ですが、以下の課題が重なっています:

  • 干ばつや水資源の制約

  • 都市開発による農地縮小

  • 労働力不足とコスト増

また、ネクタリンなどは国内の消費志向変化により、輸入品との競争が激化している点も影響しています。将来的には生産の回復よりも、効率化や品種更新への投資が重視される局面になるでしょう。


南半球と新興国 – 季節補完と拡大の可能性

チリ(0.304Mt、-3.116%)

チリは南半球のオフシーズン供給国として重要な位置にあり、北米・アジア市場への輸出が主軸です。2023年はやや減少したものの、長期的には安定供給体制が構築されつつあります。

メキシコ(0.258Mt、+7.795%)

メキシコでは生産量が年々増加傾向にあり、アメリカ市場への輸出と国内需要が両立して拡大しています。気候も適しており、今後さらに拡大が期待される生産地です。

エジプト(0.249Mt、-4.16%)

エジプトは砂漠農業の成功例として、果樹栽培が発展しています。灌漑と品種選定の巧みさで成果を上げていますが、気候変動への対応力が将来を左右します。


将来展望(~2030年)

需要の安定とアジア市場の成長

桃とネクタリンは、生鮮果実としての需要が高く、加工具合が比較的少ない果実です。特にアジアでの中間層拡大により、高品質な品種への需要が増大しています。

生産のリスクと分散化

ヨーロッパやアメリカでは気候リスクや労働力コストの上昇が課題。逆に、南米・アフリカ・中東などでの生産拡大が進めば、地理的なリスク分散と需給のバランス調整が可能になるでしょう。

品質と収益性の2極化

世界的に、安価大量生産型の地域と、高品質・高価格市場を狙う地域の2極化が進行中です。生産国ごとの戦略が明暗を分けるポイントになると予測されます。

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