2023年の世界のブルーベリー生産量は1.221Mtで前年比-6.4%。アメリカやペルーなど主要国で減産が見られる一方、メキシコやモロッコなど新興国は高成長を記録。今後は気候変動や収穫コスト、輸出競争への対応が鍵を握る。
ブルーベリーの生産量ランキング
各国 | 最新値[Mt] | 全体比[%] | 前年比[%] | |
---|---|---|---|---|
世界 | 1.221 | 100 | -6.409 | |
1 | アメリカ | 0.334 | 27.33 | -5.17 |
2 | ペルー | 0.229 | 18.79 | -21.6 |
3 | カナダ | 0.167 | 13.68 | -10.11 |
4 | チリ | 0.121 | 9.95 | -0.797 |
5 | メキシコ | 0.0801 | 6.565 | +19.88 |
6 | モロッコ | 0.0621 | 5.089 | +18.1 |
7 | ポーランド | 0.0619 | 5.071 | -3.281 |
8 | スペイン | 0.0577 | 4.724 | -18.11 |
9 | ポルトガル | 0.0208 | 1.706 | +9.344 |
10 | オーストラリア | 0.0202 | 1.656 | +13.53 |
11 | ドイツ | 0.0153 | 1.255 | -0.325 |
12 | フランス | 0.0105 | 0.864 | +38.55 |
13 | イタリア | 0.0101 | 0.824 | +8.757 |
14 | オランダ | 0.00778 | 0.637 | -3.951 |
15 | ロシア | 0.00429 | 0.351 | +2.068 |
16 | ルーマニア | 0.00384 | 0.315 | +15.32 |
17 | ニュージーランド | 0.00381 | 0.312 | -0.0294 |
18 | ジンバブエ | 0.0028 | 0.229 | +42.28 |
19 | オーストリア | 0.00193 | 0.158 | -6.311 |
20 | ベルギー | 0.00086 | 0.0705 | +22.86 |
21 | チェコ | 0.00075 | 0.0614 | |
22 | クロアチア | 0.00069 | 0.0565 | -5.479 |
23 | ウズベキスタン | 0.000658 | 0.0539 | +0.175 |
24 | リトアニア | 0.00065 | 0.0532 | |
25 | スイス | 0.000635 | 0.052 | -10.06 |
26 | スロベニア | 0.0004 | 0.0328 | +8.108 |
27 | ブルガリア | 0.00023 | 0.0188 | +64.29 |
28 | ウクライナ | 0.00022 | 0.018 | +46.67 |
29 | フィンランド | 0.0002 | 0.0164 | +11.11 |
30 | スロバキア | 0.00019 | 0.0156 | +11.76 |
31 | スウェーデン | 0.00012 | 0.00983 | +20 |
32 | ラトビア | 0.0001 | 0.00819 | -76.19 |
33 | デンマーク | 0.0001 | 0.00819 | -16.67 |
34 | ハンガリー | 9.0E-5 | 0.00737 | +50 |
35 | ノルウェー | 4.0E-5 | 0.00328 | +5.263 |
36 | マルタ | 0 | 0 | |
37 | ギリシャ | 0 | 0 | |
38 | エストニア | 0 | 0 |


詳細なデータとグラフ
ブルーベリーの現状と今後
2023年の世界のブルーベリー生産量は122.1万トン(1.221Mt)で、前年比-6.409%の減少となりました。世界的に健康志向の高まりを背景に需要は拡大していますが、気候変動や病害、輸送・人件費の高騰などの影響により、生産が伸び悩んでいます。
ブルーベリーは高収益作物として注目されており、近年では従来の生産国に加え、新興国での生産拡大も見られます。1方で、気候に対する適応性が限定的で栽培が難しい作物でもあり、安定生産には技術力と投資が必要です。
アメリカ – 世界最大の生産国だが減産傾向
アメリカは依然として世界最大のブルーベリー生産国で、2023年には33.4万トン(0.334Mt)を生産しました。ただし、前年比-5.17%の減少であり、複数年にわたり成長が鈍化しています。
この背景には、以下のような要因が考えられます:
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主要生産州(ミシガン、ワシントン、オレゴン)での異常気象
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高齢樹園の収量低下
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収穫期の人手不足
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国内市場の飽和と価格下落圧力
今後の課題は、機械収穫対応品種への転換や、国内外市場の再開拓、そして気候変動への対応技術の導入です。
南米諸国の躍進と課題
ペルー(22.9万トン、-21.6%)
過去10年で急成長を遂げ、2021年頃には世界2位の地位を確立したペルーですが、2023年は-21.6%と大幅減少しました。これはおそらく、栽培地域の1部での水不足、気温上昇、生産過剰による価格下落といった複合要因が影響しています。
急成長後の調整局面に入った可能性が高く、今後は品質重視の転換や輸出先の多様化が鍵となります。
チリ(12.1万トン、-0.797%)
チリは長年の生産国であり、南半球の生産でオフシーズン市場を補完しています。2023年は小幅な減少にとどまり、比較的安定した水準を維持しています。欧州・アジアへの輸出力と品質維持技術が強みです。
北米以外の成長国たち
カナダ(16.7万トン、-10.11%)
野生種(ロー・ブルーベリー)と栽培種の両方が混在しているカナダですが、近年は気温上昇や降雨不足が影響しています。生産量はやや減少傾向にありますが、品質評価が高く、加工向け需要も堅調です。
メキシコ(8.01万トン、+19.88%)
メキシコは急成長中で、2023年には前年比+19.88%の増加と高い伸びを記録しました。アメリカ市場への近さ、労働力の確保、冬場の収穫が可能といった利点が強みです。今後は輸出管理と品質保持技術の向上が鍵です。
新興生産国の台頭
モロッコ(6.21万トン、+18.1%)
モロッコは近年、欧州向けの冬季出荷拠点として注目されており、2023年も高成長を維持。温暖な冬・近距離輸送・低人件費を武器に、スペインやポーランドの供給を補完しています。
ポーランド(6.19万トン、-3.281%)
ポーランドは欧州内でも有力な生産国ですが、2023年はやや減少。天候や市場価格の不安定さが影響しており、EU内の需給バランスによって影響を受けやすい立場です。
その他の注目国と地域的特徴
スペイン(5.77万トン、-18.11%)
スペインは高温干ばつの影響で大幅な減少。ブルーベリーは水ストレスに弱く、果実の肥大に直結するため、灌漑体制の強化が急務です。
ポルトガル・オーストラリア(共に+10%超)
両国とも生産量は小規模ながら、技術集約的な農業と高品質生産体制で安定成長を見せています。特にオーストラリアはアジア市場へのアクセスの良さから、今後の輸出拡大が期待されます。
今後のブルーベリー生産の展望(~2030年)
高温・干ばつへの対応がカギ
ブルーベリーは冷涼な気候を好む果樹であり、気候変動に対して脆弱です。今後は、高温耐性品種の開発や、スマート灌漑技術の導入が重要となるでしょう。
収穫コストと労働力問題
人手による収穫が中心のブルーベリー栽培では、労働力の確保と賃金上昇が大きな課題です。今後は、機械収穫に適した品種と技術革新が求められます。
新興国の輸出力強化と価格競争
メキシコ、モロッコなどの新興国が生産量を伸ばす中で、グローバル市場では価格競争と品質競争の両立が求められます。特に「鮮度」「味」「残留農薬基準」などが輸出先での重要な評価指標となっていくでしょう。
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