世界のブドウ生産量の動向と将来予測【最新データ分析】

果物

2023年の世界のブドウ生産量は72.49Mtで前年比-7.315%。イタリアや中国など主要国での減産が顕著で、気候変動の影響が深刻。一方、インドやエジプトなど新興国は増加。今後は品質重視の栽培や新興国の台頭が焦点となる。

ブドウの生産量ランキング

2023年
降順昇順
各国最新値[Mt]全体比[%]前年比[%]
世界72.49100-7.315
1中国13.5718.72-12.16
2イタリア6.6699.2-20.97
3フランス6.2058.561+0.0856
4アメリカ5.3617.396-0.889
5スペイン4.8236.653-18.29
6インド3.745.16+9.968
7トルコ3.44.691-18.37
8チリ2.3213.202-5.733
9南アフリカ1.9742.723-4.404
10エジプト1.9242.655+7.464
11ブラジル1.7582.425+21.17
12ウズベキスタン1.7322.389-1.64
13オーストラリア1.552.138+6.901
14イラン1.4732.032+3.9
15アルゼンチン1.4552.008-24.86
16ドイツ1.1741.62-4.028
17アフガニスタン1.0861.498+19.37
18ペルー1.0111.395+9.555
19ポルトガル11.379+10.65
20ロシア0.8841.219-0.63
21ルーマニア0.8011.105-0.46
22アルジェリア0.620.855+0.0682
23モルドバ0.5710.788+7.525
24ギリシャ0.5640.778-31.24
25ニュージーランド0.5320.734
26メキシコ0.4810.664+4.8
27ハンガリー0.4110.567-0.861
28トルクメニスタン0.330.456+0.239
29オーストリア0.3110.429-7.784
30モロッコ0.310.427-3.249
31イラク0.2720.375-20.9
32タジキスタン0.2660.367-1.93
33ウクライナ0.2450.338-5.045
34シリア0.2340.322+2.257
35アゼルバイジャン0.2250.31+5.583
36ジョージア0.2210.304-23.18
37アルメニア0.2130.294-5.487
38韓国0.1850.256-1.874
39アルバニア0.180.248-17.52
40日本0.1670.23+2.706
41チュニジア0.160.22-3.839
42北マケドニア0.1490.206-43.89
43ブルガリア0.1480.204-8.607
44イエメン0.1390.192-2.82
45セルビア0.1320.181-19.05
46スイス0.1280.176+1.728
47カナダ0.1040.143+15.35
48サウジアラビア0.1030.143-6.366
49ウルグアイ0.09830.136-7.802
50クロアチア0.09490.131-19.23
51タイ0.08090.112-0.475
52スロベニア0.07870.109-3.871
53チェコ0.0770.106-16.11
54カザフスタン0.06350.0876-23.24
55イスラエル0.06260.0863-3.763
56パキスタン0.06240.0861-7.987
57レバノン0.0550.0759-1.744
58パレスチナ0.04190.0579-0.15
59スロバキア0.04070.0561-9.233
60ヨルダン0.03950.0546-14.23
61ナミビア0.03890.0537+3.111
62ベラルーシ0.03690.0509+4.94
63コロンビア0.0340.0469-1.637
64リビア0.03080.0425-1.182
65ボスニア・ヘルツェゴビナ0.02670.0368+16.09
66ベトナム0.02490.0344-5.739
67ボリビア0.02310.0318-16.2
68キプロス0.02150.0297-14.02
69ベネズエラ0.02110.0291-0.0424
70グアテマラ0.02070.0285+0.157
71キューバ0.01990.0274+0.479
72タンザニア0.01690.0233+9.077
73モンテネグロ0.01540.0212-22.78
74マダガスカル0.01370.0189+0.304
75ルクセンブルク0.01090.015-7.875
76ポーランド0.00740.0102+42.31
77キルギスタン0.005110.00705-30.28
78エチオピア0.004840.00667-0.124
79ジンバブエ0.003570.00493+0.293
80マルタ0.002880.00397-20
81オランダ0.002460.00339+17.14
82エクアドル0.0005550.000766+1.08
83パラグアイ0.0005390.000744-46.49
84イギリス0.0005120.000707-0.249
85スウェーデン0.000310.000428+121.4
86クウェート0.000220.000303+9.249
87マラウイ0.000210.00029-0.46
88ホンジュラス0.0001870.000258+0.484
89フィリピン0.0001850.000255-12.59
90アラブ首長国連邦3.5E-54.83E-5-0.114
91エストニア1.0E-51.38E-5
92ラトビア00
93フィンランド00
94バーレーン00
95カタール00
96アイルランド00
ブドウの生産量
ブドウの生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

ブドウの現状と今後

2023年の世界全体のブドウ生産量は72.49Mt(メガトン)で、前年から-7.315%の減少となりました。これは果物全体で見ても大きな落ち込みであり、複数の主要生産国で深刻な減少が観測されました。主な要因は気候変動(高温・干ばつ・霜害)、病害虫の発生、そして経済的要因(労働力不足・生産コストの上昇)です。

ブドウは「生食用」と「ワイン・干しぶどうなどの加工用」に大別され、生産地によって用途と生産体系が異なる点が、他の果物との大きな違いです。


中国:世界最大のブドウ生産国の減少傾向

中国のブドウ生産量は13.57Mtと世界トップですが、2023年は-12.16%の大幅減少となりました。中国ではここ10年ほど急速に生産量を増やし、国内消費と1部輸出向けに大規模な果樹園が整備されてきました。

しかし2023年は、黄河流域など主要な果樹地帯での異常気象や病害が深刻であり、生育期の高温や水不足が影響したと考えられます。今後も気候リスクが続く中、品種の転換や耐候性の高い栽培技術の導入が求められています。


ヨーロッパ:伝統的ワイン生産国の苦境

イタリア(6.669Mt、-20.97%)

フランス(6.205Mt、+0.0856%)

スペイン(4.823Mt、-18.29%)

この3カ国は「世界3大ワイン生産国」であり、ブドウの用途は主に醸造用です。2023年はイタリアとスペインで極端な減少が見られ、特にイタリアの20%以上の減産は異例です。これは春の霜害、夏の干ばつ、降雨不足による実の肥大不足が主因とみられます。

フランスはわずかに増加しましたが、これは1部地域での気象条件の好転によるもので、全体としては安定的な維持にとどまっています。

ヨーロッパのワイン業界は今後、生産量より品質重視へと戦略を転換する可能性が高く、低収量・高価格化路線への移行が進むでしょう。


アメリカ・トルコ・南アメリカ諸国の動向

アメリカ(5.361Mt、-0.889%)

アメリカは生食・ワイン・干しぶどうすべての用途で生産が盛んですが、カリフォルニア州に集中しており、2023年も軽度の減少にとどまりました。将来は水資源の確保と持続可能な農業の推進が焦点になります。

トルコ(3.4Mt、-18.37%)

トルコは干しぶどうの輸出で世界的に有名ですが、2023年の大幅な減少は高温・乾燥・霜害の複合的要因によるもので、古い樹の更新が進んでいない地域も影響しています。

チリ(2.321Mt、-5.733%)

チリは主に南半球での輸出用生産国として知られます。収穫期が北半球と異なるため、オフシーズンに市場を補完します。2023年は減少したものの、輸出向けの品質保持技術が進んでおり、今後も安定供給が期待されます。


成長が期待される新興国

インド(3.74Mt、+9.968%)

インドは今や世界有数のブドウ生産国となりつつあり、2023年も約10%の増加を記録しました。マハーラーシュトラ州などの灌漑農業の発展、品種改良、農業支援政策が奏功しています。

今後は、欧州・中東市場への輸出増加食品加工需要の伸長が生産拡大の推進力となりそうです。

エジプト(1.924Mt、+7.464%)

エジプトは近年、砂漠地帯の灌漑農業を推進し、果物の輸出国として頭角を現しています。欧州に近い地理的条件と早期収穫が可能な気候が強みです。今後も輸出型果樹農業の成功事例として注目されます。


今後の世界ブドウ生産の展望(〜2030年)

気候変動の影響が加速

2023年の大幅減産からも明らかなように、異常気象(干ばつ、霜、豪雨など)の影響が年々深刻化しています。これにより、生産地域の北上高地移行が進む可能性があり、今後の生産地図が変化するかもしれません。

用途ごとの分化と付加価値化

ブドウは用途が多岐にわたる果実であり、ワイン用は品質重視、生食用は見た目と保存性、干しぶどうは糖度と乾燥性が重視されます。今後は市場ニーズに応じて、用途特化型の栽培技術と流通戦略が求められます。

新興国の台頭と輸出競争

インド、エジプトなどの新興国が生産量を伸ばす中、価格競争と輸出先の獲得競争が激化するでしょう。1方で、EUや北米市場では農薬基準やトレーサビリティ要件が厳格化しており、輸出拡大には技術的対応も不可欠です。

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